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『ティル・デス』吹替版

映画・ドラマ日記
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個人的な映画・ドラマ日記です。
「ジャンル」は鑑賞媒体によるもの、もしくは独断により分類しました。
「評価」は自分のお気に入り度です。
「▶あらすじ続き」「▶感想」にはネタバレを含みますので、非表示にしています。ご了承の上、クリックまたはタップしてお読みください。
画像はすべてイメージ画像です。実際の映像とは関係ありません。

作品情報

タイトル:ティル・デス
監督:S・K・デール
脚本:ジェイソン・カーヴィ
公開:2021年7月2日(アメリカ)/2022年2月11日(日本)
配給:スクリーン・メディア・フィルムズ(アメリカ)/クロックワークス(日本)
上映時間:91分
ジャンル:シチュエーションスリラー,サスペンス,ミステリ
評価:★★★★☆
※出演者は「登場人物」を参照

登場人物(出演者)

主人公

エマ(ミーガン・フォックス)
かつてボビーに襲われ重傷を負う。
その裁判が縁でマークと結婚した模様。

エマの夫

マーク(オーエン・マッケン)
大手弁護士事務所に所属する優秀な弁護士。
紳士的な物腰だが、妻の意思は無視するモラハラ夫。

強盗 兼 殺し屋兄弟

ボビー(カラン・マルヴェイ)
エマの元ストーカー。
エマを襲った際に左目を刺され失明。
約10年間服役し、出所した今もエマを恨んでいる。

ジミー(ジャック・ロス)
ボビーの弟。
盗みはやるが粗暴な兄とは違い、わりと平和主義。

エマの不倫相手

トム(アムル・アミーン)
マークの同僚。立場的には部下、後輩にあたる。

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あらすじ

エマが不倫相手のトムに別れを告げた翌日は、マークとの結婚記念日。
11周年「鋼鉄婚式」のお祝いにと、マークは変わったデザインのネックレスを贈る。気乗りしない様子のエマに着けてやり、さらに昔2人でよく訪れた湖畔の別荘での真冬のバカンスに誘う。
冷え切った関係を「やり直したい」という思いがけないマークの言葉に、2人は身体を重ねた。

翌朝、エマが目ざめたのを確認してマークが拳銃自殺。
エマの右手には手錠がかけられ、マークと繋がれていた。

手錠の鍵はなく、拳銃の弾倉は空で工具などもなくなっている。
死体を切り離そうにも、刃物類も一切ない。
仕方なく死体を引きずりながら、家中を探し回るエマ。
見つけた携帯電話は水没させられ、暗室にはエマの不倫写真、エマがストーカーに襲われた際の被害写真などが下げられており、車のガソリンは抜かれていた。

そこへ突然トムが現れた。

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あらすじ続き

以下はネタバレを含みます。ご了承の上、▶をクリックまたはタップしてください。

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トムはエマから助けを求めるメールが届いたと言うが、エマには覚えがない。
さらにマークの不正が露見して、弁護士事務所には警察が入り大騒ぎになっているとのこと。
事態を見越したマークは、自分を裏切ったエマとトムを巻き込んで復讐しようと綿密に計画を練り、自殺したのだった。

狼狽えながらもエマとトムが打開策を話し合っていると、修理に呼ばれたというジミーが車でやって来た。
トムは現金を与えて帰らせようとするが、ジミーはなかなか引き下がらない。
口論している間に、後から降りてきたボビーがトムをメッタ刺しに。
自分の左目を潰したエマを未だに憎むボビーを、エマへの復讐と金庫のダイヤモンドをエサに、マークが呼び寄せていた。

ボビーとジミーが家内を探し回る中、マークを引きずりながら敷地内のボート小屋に逃れたエマは、ボートの錨を使って死体を切り離す。
壮絶なかくれんぼの末、ボビーを殴りつけ、ジミーを部屋に閉じ込め、トムの携帯電話で911に通報。トムの車で逃げようとしたが、すんでのところでボビーに捕まってしまった。

エマが意識を取り戻すと、再びマークの死体と繋がれていた。
殺しを嫌がるジミーの援護もあり、金庫の暗証番号と引き換えに解放を求め、手錠が外された。
しかしマークはそれも見越し、開けた金庫にダイヤはなく、エマが着けている特注の鋼鉄製ネックレスに収められているとメッセージが残っていた。
ネックレスは外せない仕様になっており、取り出すにはエマの首を切り落とすしかない。
エマを殺そうとするボビーと反対するジミーが揉み合い、はずみでジミーは死んでしまう。

エマはボビーを殴り倒し、マークの死体とボビーを手錠で繋げて車で逃げようとしたが、ボビーは死体を引きずりながら執拗に追いかける。
ボビーを轢いた勢いでボート小屋に突っ込み、車は雪に埋もれた。

車を捨て、凍った湖上でボビーと格闘するエマ。
開いた穴にボビー+マークを突き落とすことに成功したが、エマも引きずり込まれてしまった。
水中でエマは、ナイフでボビーの右目を刺し息の根を止め、自分だけ浮上。
凍った水面をナイフでこじ開け、這い上がったエマは警察のサイレンが近づく中、結婚指輪を外し穴に転がして落とした。

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感想

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ミーガン・フォックスについて

主演のミーガン・フォックスは、モデルとしても活躍するアメリカ合衆国出身の女優。
スリラーやアクションのほか、コメディ作品の出演も多い。

男性誌『FHM』の「世界で最もセクシーな女性」というランキングで2008年、2009年と2年連続で1位を獲得。
2009年には、イギリスのセレブリティ情報雑誌『HEAT』が行ったアンケート「女性が羨むボディ」で1位に選ばれた。
アンジェリーナ・ジョリーとしばしば比較され、メディアでは「アンジェリーナ・クローン」「アンジェリーナJr.」などと称されることも。

2001年、16歳の時に『ホリデイ・イン・ザ・サン』(日本未公開)で映画初出演。
2007年公開の『トランスフォーマー』ミカエラ・ベインズ役で注目を集め、第2作『トランスフォーマー/リベンジ』にも出演したが、第3作『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』では降板。
一説によると第2作公開時のインタビューで、監督のマイケル・ベイを「ヒトラーそのもの」とコメントしたことが、ユダヤ系アメリカ人である製作総指揮のスティーヴン・スピルバーグの逆鱗に触れ、キャスト変更に繋がったと言われている。

マイケル・ベイとは2014年公開『ミュータント・タートルズ』、2016年公開『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』で再び仕事をしており、エイプリル・オニール役を演じている。

私生活では2004年のテレビ番組共演をきっかけに俳優のブライアン・オースティン・グリーンと交際。2度の婚約発表ののち2010年に結婚。
3人の男児に恵まれるが別居を経て2021年に離婚した。
2022年に歌手マシン・ガン・ケリーとの婚約を発表したが、2024年に婚約解消した。

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作品背景

『ティル・デス』はS・K・デールの初の長編映画デビュー作であり、映画批評集積サイトRotten Tomatoesで41件のレビューに基づき90%の支持率を獲得しており、平均スコアは10点満点中6.6点となっている。

舞台設定はアメリカだが、主な撮影はブルガリアのソフィアで行われた。
マークの遺体は実際にスタントマンが演じて?いる。

モラハラ夫マーク

冒頭のトムとの別れは明らかに不倫の清算と判るが、その純愛ぶった雰囲気に少々鼻白んでいた。
さらにトムは夫マークの後輩ということが判明。
3人同じ職場で不倫はないわぁ。
ということで、エマに対する心証はかなり悪くなっていた。
だが、若く奔放で美貌の妻の「本気の恋愛ごっこ」かと思いきや、次々に繰り出される夫のマークの言動にドン引き。

結婚記念日のどでかい白薔薇の花束を職場に届けさせ、職員に「おめでとうございます、奥様」と渡させる。
え、アメリカってこんな外に向けてアピールするもんなの?うっわ無理無理。

さらにエマが選んだ黒っぽいワンピースを全否定し、わざわざ家に寄って自分が買ってやった露出の多い真っ赤なドレスに着替えさせてからレストランへ。
うわあ…こんな半分乳見える服が好みなのか。
いかにもトロフィーワイフって感じ。

浮かない顔をしている妻には頓着せず体調も気遣わず、これまた趣味の悪いぶっといネックレスを強引に着けてやる。
外国のレストランなら、記念のアクセサリーを夫が席を立って妻に着けることもあるのかしらん。でもこんな蛇みたいなの私ならいらないけどなー。

そしてとどめの一発。
エマが用意したNFL(プロアメリカンフットボールリーグ)のチケットを無造作に受け取り、嬉しがる素振りも見せない。挙げ句に置きっぱなしにして退店。
えーと、アメフトのいい席ってお高いんじゃなかったっけ?取るのも大変なんでしょ?
ちなみに「NFL チケット 値段」で検索したら、スーパーボウルの平均価格は1万26ドル(約147万3822円、1ドル147円換算)って出てきたよ…。
普通のアメフト観戦では、最安の席で約57ドル(8265円、1ドル145円換算)ってブログも見かけたけど、駐車場料金や軽食代も結構かかるらしい。

ああこりゃダメだ。別れた方がいいよ。
不正がバレて自殺する直前だったと後で知れば、チケットの件だけはまあいいとして、妻の意思や嗜好を尊重する態度がまったく見られない。
不倫を知っていたのなら解らなくもないが、エマの様子からするとバレる以前からのデフォルトだったようだし、この時点でエマの不倫は、感情的には仕方ない派に傾いていた。

さらに明晰な頭脳の使い道を完全に間違えている復讐計画が明らかになるにつれて、マークの擁護をする気は1ミリもなくなっていた。
そりゃ引きずり回されて、手首を切り落とされて、湖に沈められる目にも遭うわ。

それによ?
浮気していたのはマークも同様で、しかもマークの方が先だし複数回ときたもんだ。
「口紅のついたアンタのシャツを何回洗ったと思ってんのよ!」というエマの台詞に、不覚にも噴き出した。お前が復讐できる身分かよ。

いやぁ~、マークいけ好かんわぁ~。

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不屈の男ボビー

マークと双璧をなすのは(といっても登場人物は5人しかいないけど)、かつてエマを襲って返り討ちに遭ったボビー。
エマのカメラを狙った強盗かと思いきやストーカーだったらしい。

まあこいつがしつこいしつこい。
左目を刺されたのを一方的に恨んでいるが、そもそもアンタが彼女を刺したり殴ったりしたのが悪いんでしょ?…という当たり前の理屈が通じない。
弟のジミーも盗みを働く小悪党ではあるが、ボビーと並べるとすごくいい子に見えてくる不思議。

ガタイがよく体力もあり、カンも判断力も鋭い。
ダイヤはともかくエマに対してはもう痛み分けにして、まともに働けばいいのに、どこまでも粘着して復讐しようとする。
ゴキブリのような男だなと思っていたら生命力もG並みで、ゴルフクラブか何かで殴り倒されてもSUVで跳ね飛ばされても復活する。

いやぁ~、ボビーしつっこいわぁ~。

失明したボビーの左目は義眼がはめ込まれている設定なのか、外見からはあまり分からなかったのが少々残念だった。
いきなり片目になると距離感が狂うので、演技のために両目が見える状態にしておかなければならなかったのかもしれないが、映画を彩る重要事項だと思われるので、失明しているのが明らかな状態、せめて眼帯にしておいてほしかった。

自由になるには

映画の見所の1つでもあるので文句ではないのだが、マークの返り血を洗い流す、携帯電話を探すくらいまではいいとして、ちょっと死体を引きずりすぎじゃない?と思ってハラハラ半分イライラ半分。

救助が期待できない状況下では、手錠を外す or 死体を切り離すのが最優先になりそうだが、使えそうな刃物や工具が処分されている中では、どうすればいいのだろう。

手錠を何とかするのは難しそうだし、死体の骨を折り、鏡やガラス窓を割ってナイフ代わりに肉を切るのが現実的だろうか。
少量のガソリンをかけて手首部分だけ炭化させられないかとも考えたが、種々の危険もあり、そう都合よくはいかないだろう。

運よくマークがクローゼットにでも仕舞ってある裁断機を忘れてくれる他に、解決策はないかもしれない。

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不自然なジミー

ボビーたちに捕まったエマが無事でいられるのは、人殺しを嫌がるジミーのお蔭が大きいのだが、ジミーが庇えば庇うほど不自然さが目立った。
いや、もうアンタら人殺しじゃん。

序盤に兄貴がトムを刺し殺したの忘れたの?
顔もがっつり見られているし、今さら1人も2人もないと思うんだけど。

今日会ったばかりの赤の他人。しかも兄の仇で首にダイヤをかけられている。
早くダイヤを頂いてずらかるためにも、生かしておくメリットはない。
良心?ボビーにしがみついて止めるほどのことかなぁ…と観ていたら、はずみでジミーは壁にぶっすり磔に。

主人公のエマは際どい危機に陥らせなければ面白くないし、エマVSボビーだけだとだれるしエマがすぐ殺される。
ジミーはストッパー兼盛り上げ役であると同時に、こういうちょっとした見せ場(ジミー退場&ボビー逆上)に持っていくためでもあったのだろうが、ちょっとご都合主義に見えてしまった。

エマ無双

これを言っては映画が成り立たなくなるが、エマが有能すぎる。
元は写真家、今はセレブ妻である筈のエマが、車にガソリンを手動で入れるなど生活の知恵というかサバイバル能力がバカ高い。

重い死体も引きずり回して、なにげに力もある。
他にも機転は利くわ、危機察知能力は高いわ、度胸も座っているわで、信じられないほどの無双ぶりを発揮する。

もちろん完璧な無敵状態ではなく、ボビーに殴られたり刺されたり散々な目には遭う。
だがあまりにも頼もしすぎて「あなた軍隊経験者?」途中からランボーかGIジェーンに見えてきた。

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まとめ

・わりと離れたボート小屋にたどり着くまでボビーたちが窓の外を見ない
・隠れるタイミングばっちりでシンデレラフィットの雪の窪みがある
・ボビーがゾンビかサイボーグ並みにしぶとい
・金庫のある寝室までマークの死体を丸ごと運ぶ
・ジミーがしつこくエマの助命を主張する
・何度もボビーを中途半端に攻撃して逃げ、自分の首を絞める
・水中からナイフ1本で這い上がれるほどの穴を開ける

等々、細かいところで疑問点がわき、不自然に感じられるところもあったものの、映画自体はテンポもよく、鬼2人のかくれんぼは存分に楽しめた。
見るからに低予算映画だが、コストパフォーマンスは非常によいと思う。
早々に種明かしもあり、映画のジャンルとしてはサスペンス、ミステリ要素は少なく、むしろアクションかもしれない。

「鋼鉄婚式」「ネックレス」「手錠」「金庫」など随所に「鋼鉄」がリンクされ、硬く冷たい金属と冷え切った夫婦関係、雪に埋もれた極寒の地という組み合わせも気が利いている。
左目を刺された後、約10年の時を経て同じ女性に右目も刺されるという設定もよかった。

最後に。
トムがサクッと殺されてしまい、エマとトムの関係性はあまりクローズアップされなかったが、悲痛な表情のエマが遺体となったトムの両手を握りしめるシーンは愛情が感じられ、個人的には好きだった。
まあ、マークのことだから一筋縄ではいかないだろうけど、不倫する前にちゃんと別居なり離婚なりしておけば、こんな事態にはならなかったと思うんだけどね。