シリーズ化した「犬に与えてはいけない食べ物」。今回は「豆類」です。
「生食」は生で与える場合、「加熱」は何も加えず火を通して与える場合です。
「ピーナッツ」は、実はマメ科植物の種子ですが、ナッツとしてのイメージが強いので、「ナッツ」に分類しました。
与えてもよいが注意が必要な豆類
低アレルゲン食材として知られるヒヨコ豆などは、食物アレルギー対策として、犬用フードにもよく使用されています。
またグレインフリー(穀物フリー)フードのたんぱく源としても、豆類が使われることが多いようです。
基本的に安全性の高い食材といえますが、犬に対しての安全性・危険性・適正量がよく分かっていない豆類もあります。
食品 | 生食 | 加熱 | 注意点 |
小豆 | × | 〇 | 砂糖を加えたものはNGで、小豆のみをよく加熱して与える 排便促進をし、体内の毒素を排泄する 小さじ1杯程度を目安に与える |
油揚げ | × | 〇 | 油で揚げてあるため高カロリー ゆでて余分な油を取り除いてから与える 油揚げ1枚の10分の1程度を目安に与える |
枝豆 | × | 〇 | 亜鉛・カルシウム・ミネラル・マグネシウム・カリウム・鉄などが含まれており、適量を与えれば体の調子を整えてくれる 豊富に含まれるマグネシウム・カリウムには注意が必要 必ず塩なしでゆでて与える。 |
エンドウ豆 | × | △ | サヤエンドウ・グリーンピース・スナップエンドウ等の総称 豆アレルギーの原因物質といわれる「ヴィシリン」を多く含む 安全性・適正量についてはよく分かっていない |
キャロブ イナゴ豆 |
× | △ | イナゴ豆の果肉を乾燥させたもので、粉末状にした「キャロブパウダー」はココアやコーヒーの代用品として用いられる キャロブを原料とした犬用チョコレートもあるが、安全性・適正量についてはよく分かっていない |
大豆 | × | △ | 生の大豆には消化酵素「トリプシン」の働きを阻害する物質「トリプシンインヒビター」が含まれており、消化不良を起こすことがある 加熱または発酵させると壊れるので、必ずよく加熱したものを与える 大豆アレルギーにも注意が必要 |
ヒヨコ豆 ガルバンゾ チャナ豆 エジプト豆 |
× | △ | 体内でエネルギー代謝に関与している酵素を阻害する「酵素インヒビター」を含むため、消化不良を起こすことがある 脱穀した豆をよく加熱して与える |
レンズ豆 ヒラマメ |
× | △ | 生の大豆には消化酵素「トリプシン」の働きを阻害する物質「トリプシンインヒビター」が含まれており、消化不良を起こすことがある 必ずよく加熱したものを与える 安全性・適正量についてはよく分かっていない |
「小豆」の注意点にも書いてありますが、与える時は必ず「無糖」「無塩」で!「あんこ」はNGです!
どの豆も生はNG!消化不良を起こすので、よく加熱して柔らかくしたものを与えてね!
…てか、わざわざ犬に豆を食べさせなくてもいいんじゃ…
エンドウ豆
エンドウ(エンドウ豆)はマメ科の一・二年草です。
日本での栽培種には、ウスイエンドウ(うすい豆)、キヌサヤエンドウ、オランダエンドウがあります。
さやの硬さにより「硬莢種(こうきょうしゅ)」「軟莢種(なんきょうしゅ)」とがあります。
「硬莢種」はさやが硬く、主に完熟して乾燥した豆を収穫して利用します。
日本では、完熟後に乾燥させた硬莢種の「青えんどう豆」を煎り豆・煮豆・うぐいす餡などに、「赤えんどう豆」をみつまめ・ゆで豆などにして食されています。
「軟莢種」はさやが柔らかく、早い時期に摘んだものを「さやえんどう」、完熟前に摘んだものを「グリーンピース(グリンピース)」と呼びます。グリンピースを完熟させたものを「えんどう豆(青えんどう豆/赤えんどう豆)」と言うこともあります。
スナップエンドウは軟莢種ですが、さやが柔らかいままグリーンピースのような種子を形成し、さやも豆も野菜として利用できます。
種実以外に、若い苗や蔓の先の柔らかい茎葉も野菜として利用されます。日本でもメジャーになってきましたが、中国で豆苗(とうみょう)と呼ばれているものです。
ヴィシリン(ビシリン)
マメ科の植物が含むグロブリンの一種です。
完全には解明されていませんが、ヴィシリン及び類似物質のコンヴィシリンが、豆アレルギーの原因物質(アレルゲン)になっているのではないかという推測がなされています。『Wiley Online Library』「Vicilin and convicilin are potential major allergens from pea」2004年11月
ヴィシリンはエンドウ豆やレンズ豆などに多く含まれており、犬に与える危険性についての詳細は判明していませんが、与えすぎには注意が必要かと思われます。
グレインフリーとの関係性
2018年7月、アメリカ食品医薬品局(FDA)が、「グレインフリーのドッグフードと、犬の拡張型心筋症との間に因果関係が認められるかもしれない」と発表し、消費者へ警告を発しました。
グレインフリーのフードには、穀物の代わりに豆類やいも類が使用されることが多いのですが、心筋症を発症した犬が食べていたフードは、その含有量が多い(パッケージラベルの上位に記載されていた)ものが多かったのです。
その中でも特に「エンドウ豆が多く含まれていた」というのです。
ただし、この時点では、特定の食材と拡張型心筋症との因果関係は解明されませんでした。
その後2019年2月、収集した症例データを元に因果関係を検証した結果が報告されました。
拡張型心筋症を発症しやすいとされる、特定の大型犬種・超大型犬種以外にも、グレインフリーのフードを常食していた小型犬種・中型犬種にも、拡張型心筋症が見られました。
それらの犬たちが食べていたフードの90%以上が「グレインフリーのフード」であり、報告された製品の93%にエンドウ豆またはレンズ豆が含まれていました。
原材料リストで最初の10項目に含まれ、かつビタミンやミネラルの前に記載されているものとして、特にエンドウ豆とレンズ豆(ヒラマメ)が多く、その他にサツマイモ・ジャガイモ・ヒヨコ豆などが確認されました。
動物性たんぱく源については、チキン・ラム・フィッシュ(魚)などが主原料となりますが、どれか1つが飛び抜けて多いという傾向は認められませんでした。
結論としては、特定のフードと拡張型心筋症との明確・単純な関連性はなく、「複数の要因が絡み合った」ものであるとされています。
「エンドウ豆を摂取すると拡張型心筋症を発症する」というデータも現段階では出ていません。
のりまき家の愛犬あずに与えているフードは、特にグレインフリーではありませんが、主原料に「エンドウタンパク」が含まれていました。
私(=のりまき)が調べた限りでは、他のフードでも「エンドウ豆」「レンズ豆」及びそれらの豆を原材料とした成分が含まれた商品は多く存在します。というよりも、含まないフードの方が少ないほどです。
さらに、あずはお腹が弱く、せっかく合っている今のフードを切り替えることに不安があります。
そのため、のりまき家では今のところフードを切り替えるつもりはありません。
ただ、豆類を与える場合には(現在フード以外は与えていませんが)、エンドウ豆やレンズ豆は念のため避けようと考えています。
与えてもよい豆類
大豆そのものを与える場合は注意が必要ですが、大豆製品は、豆の状態よりも消化がよく、加熱もされており、適量であれば与えても問題はないとされています。
食品 | 生食 | 加熱 | 注意点 |
インゲン豆 | × | 〇 | たんぱく質と炭水化物が主成分で種皮には食物繊維が豊富 解毒作用の効果もある 加熱して細かく切って与える ※特に赤インゲン豆は十分に加熱する |
おから | 〇 | 〇 | 繊維質が豊富に含まれる 低カロリーで腹持ちがよいためダイエットや食べすぎ防止に役立つ お腹で水分を吸って膨らむので水分を多めに用意する |
豆乳 | 〇 | 〇 | 鉄分が豊富 塩分や糖分、植物性油脂を含むものもあるので、与えすぎには注意 与えるときは、水で薄めるとよい |
豆腐 | 〇 | 〇 | 消化吸収性が抜群で、たんぱく質も豊富な胃に優しい食材 低カロリーだが、与えすぎは肥満の原因になる |
納豆 | 〇 | 〇 | 発酵食品なので酵素がたくさん摂れる つぶしたものかひきわりタイプの納豆がよい |
大豆製品には「大豆イソフラボン」が含まれています。
「イソフラボン」は、食品安全委員会により、人間の安全な一日摂取目安量の上限が定められています。
犬については、イソフラボンを体重1kg当たり1日50mgまで摂取しても問題はないという意見がある一方で、長期的にはやはり内分泌系に影響をもたらすのではないかと指摘する研究もあります。
また大豆を原料としたフードには、ほぼ確実にイソフラボンが含まれており、常食している犬は、「人間においてステロイドホルモンや甲状腺ホルモンの値に影響を及ぼすとされている「2mg/kg」に近いかそれを超える値」のイソフラボンを摂取しているという、ペンシルベニア大学調査チームのデータもあります。
犬がイソフラボンを長期的に摂取した結果による統計などは存在しないので、どのような影響があるのかは明確には分かっていませんが、大豆製品の与えすぎには気をつけましょう。
大豆を主原料に使用しているフードを主食としている場合には、特に注意が必要です。
豆腐や豆乳って、いくらでも摂っていいイメージがあったけど…
人間の場合は「サプリメントでイソフラボンを摂取するなら量に気をつけよう」って感じなんだけどね
犬に与える場合は、少量のトッピングくらいであれば問題はなさそう
グレインフリーやベジタリアンフードは、原料に大豆を使っていることが多いから、さらに大豆製品をたくさん摂らないように気をつけた方が無難かも
納豆について
納豆は、実は好きなわんこが多いようです。
また愛読しているわんこエッセイコミックでは、「毛づやをよくするために与える」という、犬飼いにとっては見逃せない情報が。
青沼貴子さん『青沼さんちの犬は腹黒だ-その手にはのらない6年目-』第6話「避妊手術のメリットデメリット」の中で、青沼さんのアシスタント兼ご友人の「あっちゃん」が、愛犬ラブラドールの「フースケ」に毛づやをよくするために与えている食べ物の一つとして「納豆」を挙げています。
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ついでに最新刊(2020年2月現在)もご紹介しておきます。
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避妊手術をすると、それまでのつやつやした毛ではなく、子犬の頃のようなホワホワした毛になるのだそうです。
のりまき家の愛犬あずは、黒ラブなので毛のつやが目立ちますが、避妊手術をした後でこれといった変化は見受けられませんでした。
飼い主ズも「ホワ毛もかわいいし❤」と思っていたので、特に毛づや対策はしませんでした。
それよりも、お腹が弱かった子犬期に、ドライフードにヨーグルトやスムージーを少量トッピングして与えていましたが、納豆も試してみたことがあります。
市販の納豆そのままは、ネバネバして扱いづらいので、「人間用の納豆ふりかけみたいなものはないか」と探していたら、犬用のドライ納豆を見つけました。
フードをふやかした後にパラパラとふりかけるだけのお手軽さ。
まだ味覚が発達していない時期+何でもよく食べるラブラドールなので、特にお気に入りかどうかまでは分かりませんでした。初めて与えた時はクンクン匂いをかぎ、何の抵抗もなく勢いよく食べていたので、嫌いではなかったようです。
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残念ながらお腹の調子は相変わらずだったので、購入した分がなくなったところで終わりにしましたが、散歩の時に使っている今のトリーツがなくなったら、また購入しようと思っています。
とても手軽なので、毛づやを気にする飼い主さんや、ごはんをあまり食べない子のトッピングに試してみてはいかがでしょうか。
150gの他に、お試し用のミニサイズ30gもあります。
大きな声では言えないけど、人間が食べてもわりとイケました❤
フードを味見してたのは知ってたけど、ドライ納豆も食べてたの!?
人間用の食べ物は与えてないから、同じものを食べたければ、人間が犬用のを食べるしかないんだもーん
絶対そんな殊勝な理由じゃないよな…好奇心で食べてるだけだよな…
参考:
わんちゃんホンポ『犬が食べてはいけないもの一覧』
ワンペディア『犬に与えてはいけない危険な食べ物【獣医師が解説】』
子犬のへや『犬の食事』
子犬のへや【2019年2月のFDA報告】グレインフリーのドッグフードと拡張型心筋症との関係性
FDA Investigation into Potential Link between Certain Diets and Canine Dilated Cardiomyopathy
『特定の食事と犬の拡張型心筋症の潜在的な関連性に関するFDAの調査』
FDA Investigating Potential Connection Between Diet and Cases of Canine Heart Disease
『FDAが犬の心臓病の食事と症例との潜在的な関係を調査』
内閣府食品安全委員会「新開発食品専門調査会」-安全性評価の考え方『大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A』(平成18年5月16日更新)
アマノ食堂【漫画で解説】グリーンピース・さやえんどう・えんどう豆の違い
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』ほか