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犬に与えてはいけない食べ物~魚介類~②貝

わんこのトリセツ
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「犬に与えてはいけない食べ物」シリーズ。今回は「貝」です。
貝はお味噌汁やお吸い物、お刺身やお鮨などの和食から、リゾットやパスタなど洋食まで、色々な料理に使われます。
人間にとっては身近な貝類ですが、犬に与えても大丈夫なのでしょうか?

絶対に与えてはいけない貝

犬は元々、海洋生物の消化がうまくできません。特に貝類を消化する酵素をまったく持っていないため、消化不良を起こす可能性が非常に高いのです。

生の貝類は消化不良のほか、「チアミン欠乏症」などを引き起こす可能性があるため、絶対に与えてはいけません。
また加熱したとしても、一部の貝の内臓には「光線過敏症」を引き起こす物質が含まれていることがあります。

少量なら与えてもよいとされる貝類もありますが、基本的に貝は犬に与えない方がよい食材です。

食品 生食 加熱 注意点
アワビ × × 生の内臓(中腸腺)に含まれる「フォエホルビドa」という物質が皮膚炎の原因になることがある
赤貝 × × チアミン欠乏症の原因になる可能性がある
ウニ × × チアミン欠乏症の原因になる可能性がある
生ウニにも塩分が含まれ、犬にとっては過多になる場合がある
サザエ × × 生の内臓(中腸腺)に含まれる「フォエホルビドa」という物質が皮膚炎の原因になることがある
つぶ貝 × × 中毒成分を含むため与えない
トコブシ × × 生の内臓(中腸腺)に含まれる「フォエホルビドa」という物質が皮膚炎の原因になることがある
トリ貝 × × 生の内臓(中腸腺)に含まれる「フォエホルビドa」という物質が皮膚炎の原因になることがある
バイ貝 × × 中毒成分を含むため与えない
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チアミン欠乏症とは?

「チアミン」とはビタミンB1のことです。
エネルギーの産出・代謝など多くの生化学反応に関与しており、神経・心臓の正常な機能に必要不可欠です。

哺乳動物は、体内でチアミンを生成することができないため、食物から摂取する必要があります。
欠乏すると疲労感に襲われ、重度の欠乏症(脚気)では、神経・筋肉・心臓・脳に影響が及び、最終的には死に至ります。

生の魚介にはチアミナーゼが含まれる

「チアミナーゼ(旧称「アノイリナーゼ」)」は、淡水魚・貝類・微生物などに存在するビタミン B1分解酵素です。
腸管内で食物中のビタミンB1を破壊するため,チアミン欠乏症の原因となります。

この酵素は加熱すると失活するため、魚介類は十分に加熱して与える必要があります。
カニ・イカ・タコ・エビ・貝類にも、チアミナーゼは含まれます。

のりまき
のりまき

ドライフードは長期保存中にチアミンが分解されやすいので、なるべく新しいフードを与えましょう!

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光線過敏症とは?

貝類の生の内臓に含まれる「フェオホルビドa」(「フェオホルバイドa」「フェルフォーバイドa」とも呼ばれる)というクロロフィルの一種が、紫外線に反応することにより引き起こされます。

症状としては、皮膚に腫れやかゆみが出て、犬がかきむしってしまい、毛が抜けます。重症化すると耳が壊死します。

特にアワビ・サザエ・トコブシ・赤貝・トリ貝などは注意が必要です。
また貝は2月~5月にかけて、毒素をため込む性質があり、危険度が高くなります。

トコブシ

トコブシはアワビによく似た、手のひらに乗るくらいの巻貝です。「フクダメ」「ナガレコ」などとも呼ばれます。
夏が旬ですが、おせち料理にも登場します。炊き込みご飯や塩蒸し、缶詰にも利用されます。

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赤貝

内湾や浅海の泥底などに生息している二枚貝です。
血液中に哺乳類と同じヘモグロビンを持つため、身が赤く、名前の由来となっています。
晩秋から春にかけてが旬です。寿司ネタや刺身、佃煮などで食されます。
A型肝炎ウイルスを保有する個体が確認されており、専門職が採取したもの以外は、加熱が不十分だと感染するリスクがあります。

トリ貝(トリガイ)

名前の由来は、食用にする足が鳥のくちばしのような形状をしていること、また味が鶏肉に似ていることからとも言われます。
旬は春と秋。国産は流通漁が少なく、高級な二枚貝です。 生でも食べられますが、湯通しして寿司ネタや刺身にします。

あず
あず

何で光線過敏症が重症化すると耳が壊死するの?

のりまき
のりまき

耳は皮膚が薄いから影響を受けやすいんだって

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与えてもよいが注意が必要な貝

少量であれば、犬に与えることのできる貝類もあります。

食品 生食 加熱 注意点
あさり × 2~3個程度を細かく切って与え、様子をみる
貝類の中でビタミンB12を最も多く含む
うまみ成分のコハク酸が含まれ、食欲増進が期待できる
カキ(牡蠣) × チアミン欠乏症の原因になるので基本的に与えない
加熱したものをごく少量であれば問題ない場合もある
手作り食のミネラル、特に亜鉛を補う目的で与える
しじみ × 肝臓・腎臓の働きを助けるオルニチンを含む
タウリン・鉄・亜鉛も含んでいる
しっかり砂抜きをして、加熱して与える
ハマグリ × チアミン欠乏症の原因になる可能性があるので、与えすぎに注意する
ホッキ貝
(ウバガイ/姥貝)
× チアミン欠乏症の原因になる可能性があるので、与えすぎに注意する
ホタテ × 加熱した貝柱を少量与える
貝柱は高タンパク質で、ビタミン・ミネラルが豊富
生・水煮・乾燥いずれの商品も塩分を多く含む
貝柱以外の部分は犬にとって有毒なので与えない
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与えるポイント

少量を与える

ドッグフードを主食としている場合は、トッピングやおやつとして与えます。1日の摂取カロリーの10%以内にとどめます。
手づくりごはんの場合でも、他の食材と組み合わせ、トッピングやスープとして与えましょう。

必ず加熱する

与えてもよい貝でも、生の状態で摂取すると、チアミン欠乏症になる可能性があります。
与える場合は、十分に加熱します。

小さく切る

どの貝も小さく切って与えます。
特に小型犬の場合は、喉に詰まらないように細かく切ります。

アレルギーに注意

貝を初めて与える時は、ごく少量を与えて様子を見ます。
以下の症状が現れた場合は、アレルギーが疑われるので、動物病院を受診しましょう。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 皮膚のかゆみ
  • 目の充血
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ホタテに注意

貝柱以外はNG

ホタテは、加熱した貝柱と貝ひも以外、与えてはいけません。
貝ひもは消化がよくないため、細かく切ります。

もし貝柱以外の部位を食べてしまった場合、嘔吐・震え・ふらつき等の症状があれば、すぐに動物病院を受診します。
何も異常が見られない場合でも、かかりつけの病院に連絡をして、獣医師の判断を仰ぎましょう。

塩分に注意

ホタテは、生・水煮・乾燥などで市販されていますが、いずれも塩分が多く含まれます。
いずれも真水でよく洗い、必要なら一度ゆでこぼしてから与えましょう。
人間用に味つけされた、缶詰やおつまみ、顆粒だしなどの加工品は、与えてはいけません。

犬用のおやつはOK

貝柱や貝ひもを利用した、犬用のおやつであれば、与えても問題はありません。
アレルギーやカロリー過多に気をつけて、少量を与えます。

のりまき
のりまき

とにかく貝類は加熱が必須!

相方
相方

ゆで汁をフードにかけたり、小さく切ったものをトッピングしたりするのがよさそう♪

あず
あず

同じ食材を長期間にわたり摂取することで、後天的なアレルギーを発症する可能性もあるので、他の食材と組み合わせるのも大切かもね

参考:
MSDマニュアル家庭版-チアミン
petokoto「犬は貝を食べても大丈夫? 牡蠣やしじみ、ホタテなど危険性や注意点を解説」
子犬の記念日「犬が食べてはいけない魚 食べていい魚 貝類や海藻類は大丈夫?アニサキスに注意!」
わんちゃんホンポ「犬が食べても大丈夫な魚介類8つ」等
ロイヤルカナン「犬と猫の栄養成分辞典」
ノア動物病院「チアミン(ビタミンB1)欠乏症」
ブリタニカ国際大百科事典「アノイリナーゼ」「中腸腺」
百科事典マイペディア「中腸腺」
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』ほか