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犬に与えてはいけない食べ物~果物~

わんこのトリセツ
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シリーズ化(予定)の「犬に与えてはいけない食べ物」。今回は「果物」です。
「生食」は生で与える場合「加熱」は何も加えず火を通して与える場合です。
缶詰やジャムなど加工品は、糖分が高くなるのでおすすめできません。

スイカなど園芸分野では「野菜」とされるものも、こちらに分類しています。
アボカドは野菜のイメージが強いのですが、実は果物です。ただ犬には非常に危険な食品のため、果物・野菜の両方でご紹介しています。

絶対に与えてはいけない果物

犬に絶対に与えてはいけない危険な果物です。
最悪、死に至ることもあるので、十分に注意しましょう!

「干し柿」など、干した果物は「ドライフルーツ」に入ります。
種類が多いので、別にまとめています。「ドライフルーツ一覧」をご覧ください。

食品 生食 加熱 注意点
アボカド × × 果肉・葉・枝・種に中毒成分が含まれている
犬も含め人間以外の動物は中毒症状を起こし死に至る危険がある
いちじく × × 皮・葉にソラレン・フィシンという毒性物質が含まれている
食べると、嘔吐・大量のよだれ・口の中の炎症などが起きる
グレープフルーツ × × 外皮部分に中毒性物質が含まれており、嘔吐や下痢の原因につながる
ざくろ × × 根皮・樹皮に中毒性物質が含まれている
大量に食べると、嘔吐・下痢・消化器障害を引き起こす
すだち × × 酸味が強く、皮・種には消化器系や神経障害の原因になる物質が含まれている
ドライフルーツ × × 与えてもよい果物でも、乾燥させると食物繊維や糖分が凝縮されてしまい、下痢や腹痛の原因になる
ぶどう
マスカット
× × 体重1kgあたり10g以上を食べた場合、大量摂取で急性腎不全を発症し、最悪の場合死に至ることがある
プルーン × × ドライプルーンは毒性がかなり強くなる
茎・葉・種に毒性物質があり、摂取すると呼吸困難やショック症状が出る
レモン × × 外皮部分に中毒性物質が含まれており、嘔吐や下痢の原因につながる

アボカド

栄養豊富で美肌効果もあり「森のバター」と称されるアボカドですが、実は犬に与えてはいけない果物の中でもトップクラスに危険な食品です。
人間以外の動物は、中毒症状を起こす危険性があるので、もちろん猫にも与えるのは厳禁です。
心臓血管系の問題を起こし、死に至る場合もあります。

ぶどう

ぶどうは近年に危険性が判明した果物です。
アメリカの研究において、2001年に犬がぶどうやレーズンを食べた後、急性腎不全を発症した10例を発表したことから、このぶどう中毒が知られるようになりました。
日本では、2010年の『ブドウ摂取後に急性腎不全を発症して死亡した犬の1例』が日本小動物獣医学誌に掲載されています。

犬のぶどう中毒については、獣医師さんにお話を伺う機会がありましたが、原因物質やメカニズムなど、まだ解明されていないとのことでした。
また個体差があり、症状が出ない犬もいるそうです。

青沼貴子さんのコミックエッセイ『青沼さんちの犬は腹黒だ その手にはのらない6年目』(2015年12月初版)において、発熱した青沼さんが、ご自身がぶどうを食べながら、愛犬のダックスフント、ジュラにも与えているシーンがありました。
その後ジュラは何事もなく、10歳を迎えています。ジュラは大丈夫な犬だったということでしょうか。
いずれにせよ、犬にとってぶどうはハイリスクな食品であることに変わりはないので、最初から愛犬に与える選択肢はないと言えます。

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ドライフルーツ一覧

種類が多いので、大体のところをまとめてみました。

あんず
(アプリコット)
いちご いちじく オレンジ
オレンジピール
カシス キウイ 金柑 クコ クランベリー さくらんぼ
サンザシ 生姜 デーツ
(なつめやし)
トマト ドラゴンフルーツ なつめ
パイナップル バナナ パパイヤ ブルーベリー プルーン プラム
(西洋すもも)
マンゴー みかん メロン 洋梨 ラズベリー
りんご レーズン レッドカラント
(赤すぐり)
レモン
レモンピール
   

最近ではドライフードメーカーが簡単に手に入り、自分でドライフルーツを作る人も増えてきましたが、犬には与えてはいけません。
特にレーズンは危険なので、家庭での拾い食い・盗み食いや、レーズン入りのお菓子やパンには注意が必要です。

相方
相方

生で与えてもいい果物なら、ドライフルーツもうっかり与えてしまいそうだね!

のりまき
のりまき

中には加糖されたものもあるから、最初から与えないって決めた方がいいよ!

あず
あず

レーズンは超ヤバイのに、わりとどこにでも使われてるから注意してね!

与えてもよいが注意が必要な果物

こちらでは、与え方に少し注意が必要な果物をピックアップしてみました。

食品 生食 加熱 注意点
いちご ビタミンCが豊富
ヘタは取り、刻むかつぶして与える
表面の種(実は果実)は与えてもよい
ビタミンCが豊富
利尿作用があるため、尿石症によい
ヘタ・皮・種を取って与える
× デンプン・ビタミンを含み、エネルギー補給によい
渋皮を取り除いて細かく刻んで与える
さくらんぼ 茎・葉・種に中毒性物質が含まれているので、必ず取って与える
デコポン 外皮には毒性物質であるソラレンが含まれている
薄皮もむいて与える
みかん 与えすぎると消化不良を起こし、下痢や嘔吐の原因になる
茎・葉・外側の皮には、中毒性物質が含まれている
薄皮や筋も取り除いて与える
種にはアミグダリンという毒性の成分が含まれるので、与えない

桃の種などに含まれる「アミグダリン」は、ウメ・アンズ・ビワなどバラ科植物の未成熟な果実や、種子・葉などに含まれます。アミグダリンそのものに毒性はありませんが、加水分解されると猛毒であるシアン化水素を発生します。
サイズも大きいので、丸のみすると喉や腸に詰まらせる恐れもあります。
種は必ず取り除いて与えましょう。

ソラレンについて

よく出てくる「ソラレン」とは、紫外線に反応をして肌にシミ・シワを作る光毒性物質です。
ソラレンを含む食材を食べてから日光にあたると、2~6時間ほどは、通常より紫外線を多く肌に吸収すると言われています。
果物では柑橘類・キウイに多く含まれています。
特に柑橘類の外皮に多く含有されているので、犬には食べさせないようにしましょう。

光毒性については、特定の精油(エッセンシャルオイル)でも、注意書きがなされています。
オレンジ・レモン・グレープフルーツ・ベルガモットなど、柑橘系の精油は、外皮を絞って採取され、そのままでは光毒性物質を含みます。元々、精油は直接肌に塗ってはいけないのですが、これらの精油には特に、希釈したとしても、塗った肌を日光にさらさないように言われています。

ちなみに、ソラレンはじゃがいもにも含まれますが、緑色の皮や芽に含まれて、食中毒を起こす「ソラニン」とは別の物質です。

柑橘類

「絶対に与えてはいけない果物」にも数種ありますが、全般的に柑橘類はあまり与えない方がよさそうです。
「ソラレン」の項でもご説明したように、柑橘類の外皮には中毒物質である「ソラレン」が含まれています。
外皮を取り除けば問題はありませんが、念のため、皮を剥く際に飛び散るしぶき(=精油成分)が手についたまま、果肉をさわらないようにご注意ください。

また酸の強い柑橘類は刺激となります。
酸味が強く、生食にむかない柑橘類を「香酸柑橘類」(こうさんかんきつるい)といいます。
レモン・スダチ・ユズ・ライムなど、生で食べるよりも料理に使われるような柑橘類は、犬にとっても刺激となり、そのまま与えるには向いていません。

与えても大丈夫とされる柑橘類も、いずれも白い筋や薄皮は取り除いて与えます。

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与えてもよい果物

人間が食べる時と同じように、皮や種を除けば、安心して与えられる果物です。
愛犬が丸のみしないように、適当な大きさに切って与えましょう。
適量であれば健康によい果物でも、摂り過ぎは肥満につながります。
犬にとって、果物は必ずしも必要な食品ではありませんので、与えすぎには注意してください。

食品 生食 加熱 注意点
キウイ たんぱく質分解酵素を含み、消化を助けたり、腸内環境を整えたりする
食物繊維が多いため、与えすぎると下痢や腹痛の原因につながる
スイカ 利尿作用や高血圧、ガン予防になる場合もある
食べやすくカットしておやつとして与えるには最適
皮・種・芯をとって与える
パイナップル ビタミンB2・クエン酸を含む
食物繊維が多いため、与えすぎると下痢や腹痛の原因につながる
バナナ カリウム・マグネシウムが豊富
カリウムは、細胞の働きをよくし、筋肉の収縮や腸の蠕動運動を助ける
びわ β-カロテンを多く含み、老化を防ぐ働きがある
ブルーベリー ビタミンC・ビタミンE・β-カロテンを含み、抗酸化作用がある
食物繊維が多いため、与えすぎると下痢や腹痛の原因につながる
マンゴー β-カロテン・葉酸が豊富に含まれる
皮・種は取り除いて与える
メロン 赤肉メロンには、β-カロテンが含まれる
吸収のよい糖分を含むため、夏バテや食欲不振の時によい
ライチ ビタミンCが多く含まれており、疲労回復作用がある
与えすぎると、消化不良を起こす
りんご 整腸作用があり、食物繊維や酵素も含む
下痢や便秘対策にも使え、抗酸化作用も高い
加熱すると成分の効果が高まる
皮・種は取り除いて与える

果物全般に言えますが、カロリーが高く、糖分が多いので、与えすぎには注意が必要です。
小型犬であれば、いちごやライチなら1日1粒。その他の果物も10~20g程度が許容量とされています。
おやつやごほうび、トッピングなどで少しだけ与えるのが無難と言えそうです。

のりまき家の愛犬あずには、人間の食べ物は一切与えていません。
パピー期でお腹が弱かった頃は、何とかしてやりたくて、少量のゆでキャベツや小松菜などを与えていたこともありますが、今はドライフード一択です。
シャンプーなどのごほうびで、デンタルトリーツ(牛タン皮・アキレス腱など)を与えることが、たまにある程度です。
フードのごはんがおいしく食べられるうちは、果物や野菜も与えるつもりはありません。

のりまき
のりまき

ただでさえ食いしん坊で太りやすいラブラドールだしね

相方
相方

まだあずも飼い主ズも歯みがきが苦手だから、歯垢のつきそうなものはなるべく与えたくないよね

のりまき
のりまき

手作りごはんの本も読んでるけど、シニア期以降のお楽しみにしてます♡

あず
あず

あたしはフードのごはんとごほうびで十分よ♡

参考:
『ぶどう中毒を発症した犬の考察』藤森康至/岩手大学獣医病理学研究室
『ブドウ摂取後に急性腎不全を発症して死亡した犬の1例』伊東輝夫,西敦子,池田文子,串間栄子,串間清隆,内田和幸,椎宏樹/日本小動物獣医学会誌
わんちゃんホンポ『犬が食べてはいけないもの一覧』
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