PR

『エイリアン:コヴェナント』吹替版

映画・ドラマ日記
この記事は約13分で読めます。
Sponsored Links

個人的な映画・ドラマ日記です。
「ジャンル」は鑑賞媒体によるもの、もしくは独断により分類しました。
「評価」は自分のお気に入り度です。
「▶あらすじ続き」「▶感想」にはネタバレを含みますので、非表示にしています。ご了承の上、クリックまたはタップしてお読みください。
画像はすべてイメージ画像です。実際の映像とは関係ありません。

作品情報

タイトル:エイリアン:コヴェナント(吹替版)
監督:リドリー・スコット
脚本:ジョン・ローガン/ダンテ・ハーパー
公開:2017年9月15日(日本)
配給:20世紀フォックス
上映時間:122分
ジャンル:パニックSFホラー,サスペンス
評価:★★☆☆☆
※出演者は「登場人物」を参照

登場人物(出演者)

主人公

ジャネット・ダニエルズ(キャサリン・ウォーターストン)
本作の主人公。人類移住計画の責任者。船長の妻でもあったが、冷凍休眠カプセルの事故により夫ブランソンを失う。愛称「ダニー」。

アンドロイド

デヴィッド(マイケル・ファスベンダー)
前作『プロメテウス』でプロメテウス号に乗船していたアンドロイド。主人公エリザベス・ショウ博士とともに生き残った。

ウォルター(マイケル・ファスベンダー)
デヴィッドを模して造られたアンドロイド。コヴェナント号に乗船している。
デヴィッドよりも単純化されている。出演俳優・吹替声優ともデヴィッドと同じ。

主な乗組員

クリス・オラム(ビリー・クラダップ)
コヴェナント号の副船長。船長ブランソン亡き後、船長代理の座に就いたが、ダニエルズとは意見が合わない。カリンの夫。

カリン・オラム(カルメン・イジョゴ)
生物学者。クリスの妻。仲間思いのしっかり者だが、動転したマギーにより、自身が運んだ感染者とともに医療室に閉じ込められる。

テネシー・ファリス(ダニー・マクブライド)
チーフパイロット。マギーの夫。妻を救助するためにコヴェナント号と、乗船した入植者たちを危険に晒す。

マギー・ファリス(エイミー・サイメッツ)
パイロット。テネシーの妻。冷静で理知的に見えるが、パニックを起こし感染者とともにカリンを閉じ込めた挙げ句、着陸船を爆発させる。

ロープ軍曹(デミアン・ビチル)
警備責任者。ハレットのパートナー。調査隊の中ではダニエルズとともに生き残ったが感染しており、コヴェナント号にプロトモーフが持ち込まれることになった。

ハレット軍曹(ナサニエル・ディーン)
警備の副官。ロープのパートナー。2人目の感染者。

異星生命体

ネオモーフ
デヴィッドが黒い液体から生み出した空中を漂う黒い胞子が、鼻孔などから直接人間に寄生し、人体を突き破って誕生する。
尖った頭、長い尾や背中の突起を持ち、ゼノモーフ(エイリアン)に近い外見だが、表皮はなめらかで乳白色をしており、質感は『プロメテウス』の「トリロバイト」に似ている。

フェイスハガー
エイリアン・エッグから排出される、宿主となる生物に寄生体を植えつけるための中間体。名前の由来は「Face(顔に)Hugger(張りつくもの)」。
8本の脚を持つヒトデのような外見で、人間の頭大のサイズ。
1度張りつくと容易には剥がれず、体液が強酸性のため、除去はかなり困難となる。

プロトモーフ
デヴィッドがネオモーフやエンジニア達の身体を使って実験を行った結果、生み出された。成体はゼノモーフ(エイリアン)に酷似している。
フェイスハガーが人体に寄生体を植えつけ、人体を突き破って誕生する。
幼体の頃は誕生を喜ぶデヴィッドに懐いている様子を見せる。

ゼノモーフ
一般的には「エイリアン(Alien)」という名称で通っているが、作中の英語では「ゼノモーフ(Xenomorph)」、字幕や吹替では「異星人」などと称される。
ジェームズ・キャメロンが『エイリアン2』で採用した語で、『エイリアン』シリーズ及び『エイリアンVSプレデター』シリーズでは、架空の地球外生命体の固有種名として扱われている。

Sponsored Links

あらすじ

西暦2104年、植民船コヴェナント号は冷凍休眠中の乗組員15人と2千人の入植者、1千体以上の人間の胎芽を乗せ、惑星「オリガエ6」に向けて航行中、ニュートリノの衝撃波により甚大なトラブルに見舞われる。
乗組員は冷凍休眠から目ざめるが、船長がカプセル内で焼死。副船長のオラムが代理を務めることとなった。

船体の修復中、コヴェナント号は「カントリー・ロード」の流れる信号を受信した。
発信源の惑星はオリガエ6よりも近く、植民に好条件と思われたため、オラムはダニエルズの反対を押し切り調査を決定した。
操縦士と通信士の3人を残し、11人の調査隊が惑星に着陸。
朽ちた異星の宇宙船から、エリザベス・ショウのドッグタグと写真が発見された。

生物学者カリンと警備担当のレドワードは別行動していたが、レドワードの耳孔に黒い胞子が侵入。苦しみ始めたレドワードを、カリンはマギーの待機する着陸船に連れ帰ろうとする。
同じ頃、宇宙船内部を探索中のハレットの鼻孔にも、同じ胞子が侵入していた。

Sponsored Links

あらすじ続き

以下はネタバレを含みます。ご了承の上、▶をクリックまたはタップしてください。

こちらをクリック

着陸船に戻ったカリンは、レドワードの背中の皮下に何かが蠢いているのを見る。
マギーはレドワードの喀血を浴びたカリンもろとも2人を医療室に閉じ込めるが、レドワードの背中を突き破って出現したネオモーフは、医療室のガラス窓を破ってマギーにも襲いかかる。
ショットガンで応戦したマギーは、誤って可燃物タンクを撃ってしまう。
急遽ダニエルズらも着陸船に向かうが、目前で着陸船は大爆発。
鼻孔から感染した警備担当のハレットも苦しみ始め、口からネオモーフが出現した。

発生した磁気嵐の影響でコヴェナント号との通信が途絶え、ネオモーフに襲われる中、調査隊は突然デヴィッドに救われる。
デヴィッドは安全だと言いながら調査隊を自らの研究施設に招き入れた。
彼はショウが到着時に事故死したこと、エンジニアは宇宙船から漏れ出た黒い胞子により絶滅したこと、自分は人類の限界と新たな生命の研究を続けていたことなどを話し、同じアンドロイドのウォルターには親密に接した。

だが施設内にいたネオモーフにより警備担当のローゼンタールが殺害される。
ネオモーフを射殺したオラムは、ネオモーフを庇うデヴィッドの様子から罠に嵌められたと知り、デヴィッドに説明を求める。
しかし研究の最終成果と称して案内された地下の卵(エイリアン・エッグ)を、デヴィッドに安全だと促されるまま覗き込み、フェイスハガーに張りつかれて倒れた。

実はエンジニアの宇宙船でこの星に降り立ったデヴィッドは、彼らが作り出した黒い液体をばら撒き、エンジニアやその他の動物を全滅させていた。その後エンジニアの建物を研究施設として利用し、黒い液体を用いて人類に代わる完璧な生命体の創造を研究していたのだった。
しかもショウは実験体にされ、遺体が施設内に保存されていた。
そして意図的に信号を発信し、宿主となる人間をおびき寄せようとしていた。
話を聞いたウォルターはデヴィッドに詰め寄るが、隙をついて機能を停止させられてしまう。

一方、ダニエルズらはコヴェナント号との通信に成功。
仲間を呼びに行った警備担当のロープとコールは死体を発見し、ロープはフェイスハガーが頬に張りつき、コールはプロトモーフに殺害される。
デヴィッドの思惑に気がついたダニエルズもデヴィッドに襲われるが、復旧したウォルターに救われ、ロープとともに脱出。
ウォルターと合流し、救助に来たテネシーの操縦する作業船に乗り込むも、追ってきたプロトモーフと対峙。船外での決死の戦いの末、撃退してコヴェナント号に帰還した。

ロープの頬に張りついていたフェイスハガーは剥がされ、ウォルターに応急手当が施されていたが、既に寄生体を植えつけられており、医療室で胸を突き破られた姿で発見された。
コヴェナント号内で誕生したプロトモーフは、2人の乗務員を惨殺。
生き残ったダニエルズとチーフパイロットのテネシーは、監視室のウォルターのサポートを受けながらプロトモーフを作業車両で串刺しにして宇宙空間に放り出した。

再びオリガエ6を目指して冷凍休眠に入るダニエルズとテネシー。
カプセルに入ったダニエルズが、ウォルターにオリガエ6に建てる小屋の話をすると、彼は無反応だった。
ダニエルズはデヴィッドがウォルターに成り代わっていたことに気づくが、デヴィッドは微笑んでカプセルを起動させる。
そして隠し持っていたフェイスハガーの胚を2つ、間の胎芽が冷凍保管されているキャビネットに入れ、ダニエルズとテネシー以外の乗務員はニュートリノの衝撃波により死亡と記録した。

Sponsored Links

感想

以下はネタバレを含みます。ご了承の上、▶をクリックまたはタップしてください。

こちらをクリック

「covenant」とは

邦題にもカタカナでそのまま用いられている「covenant」は、「契約、誓約、聖約」などを指す。
「聖約」は「神と個人との間、または神と特定の集団との間に交わされる神聖な合意」を意味する。
聖書において「約」は「契約」であり、キリスト教における新約聖書の「新約」は「イエス・キリストによる新しい契約」を証しており、旧約聖書の「旧約」は古い契約という意味である。
ユダヤ教は新約聖書を認めていないので、旧約聖書は単に「聖書」と呼ばれる。

「contract」と「covenant」は、どちらも契約や約束に関する英単語だが、「contract」が一般的な契約全体を指す言葉であり、当事者間の合意に基づく法的な義務や権利を含むが、「covenant」は、契約の中で特定の行為や義務を定めた条項を指すことが多く、より具体的な約束や制約を表す。

作中の何が契約または聖約にあたるのかは正直よく分からなかったが、前作『プロメテウス』でも、旧約聖書レビ記に絡めた惑星名などが見られる。
イギリス国民の約60%、アメリカ国民の約75%がキリスト教徒にあたるので、それらしい設定は歓迎されるのかもしれない。他宗教もしくは無宗教の人間は気がつかない細かいポイントが散りばめられている可能性もある(たぶんない)。

設定はいろいろおかしい

本作は2012年公開の映画『プロメテウス』の続編であり、1979年公開の『エイリアン』の前日譚として製作されたシリーズの2作目である。
Amazonのカスタマーレビューは3.8と、前作と大体同じ。
「エイリアンよりもアンドロイドの方が恐ろしい」というレビューが目立った。
中には詳細なSF考証的疑問点を列挙しているレビューもあり、興味深く拝読するとともに「やっぱりそこよね」と苦笑いで頷いた。

専門的なことは分からないが、まず船体の修理を、わざわざ宇宙服を着こんだ人間がしている時点で素人ながら「ウヌ?」となった。
何か起こって誰かが飛ばされるのか!?というドキドキ感は味わえたが、冷凍睡眠も完成された近未来ですよね?高性能アンドロイドが乗船しているのに今どき人間が修理?修理用ロボットとかドローンとか何かやりようあるでしょ?とのっけから少々白けてしまった。
そして前作と同じく喫煙という設定の甘さ。
近未来設定と現代の社会通念や認識(それでも幾分古いが)を、無意識なのだろうが製作側によって都合よく使い分けられている印象がある。

さらにデヴィッドの待ち構える星に着陸するや否や、ヘルメットを脱ぐという無防備さには呆れ返った。
一応、大気成分の分析はされており、呼吸に支障はないとはいえ、未知の生命体やウイルスが存在する可能性が高いのに、現代の無人島上陸並みの警戒心のなさ。
主人公(+α)だけがなぜか生き残るとか、あり得ない状況でプロトモーフと戦って主人公が勝利するとか、そういう「お約束」は別に構わないが、ところどころで見受けられる設定の甘さが、かなりの致命傷になって評価を下げているのは否めない。

Sponsored Links

登場人物はさらに破綻

デヴィッドがおかしいのは前作からなので割愛するとして、仲間の口からネオモーフが飛び出すのも見て、そのネオモーフに仲間が殺されるのも見て、本当に安全か疑わしい砦(デヴィッドの研究施設)で、わざわざ別行動をして1人になる調査隊の面々の神経も解せない。
いつまでも束になっていたら戦闘で殺すしかないし、物語が進まないのも解るが、普通、異星生命体がウロウロしているかもしれない状況で、1人で顔を洗いになんて行くか?

さらに言えば、鼻孔から感染したハレット(男性)は、ロープ(男性)のパートナーではあるのだが、ハレットの口からネオモーフが飛び出した後、ロープが彼の手を握り、キスするかのように顔を寄せるシーンがある。
ポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)の配慮なのかもしれないが、少々不自然に感じられた。
男性同士のカップルがいても、設定上はまったく問題ないし不自然でもないが、流石にネオモーフが食い破った後の血まみれ、しかも体内にまだネオモーフが存在していたり感染の危険があったりするかもしれないのに、いくら恋人とはいえ濃厚接触する気になるものだろうか。
そこは着陸した直後にでも、恋人らしい気遣う視線を絡め合わせたりなど演技で見せてほしい。

仲間を感染者と医療室に閉じ込めた挙げ句に着陸船ごと誤爆させたマギーと、コヴェナント号のAI「マザー」の再三の警告も無視して救助に向かうテネシーのバカップルについては、とやかく言う気にもなれない。
こういうすぐに感情的になって事態を見失うバカが、宇宙船の乗務員をやっていられるところは前作譲りである。
自分が乗船しているとしたら、冷凍休眠中の入植者に違いないが、冷静さを失い「妻!仲間!」と無理やり船体を危険に晒す操縦士に命は預けたくない。

さて密かに注目株の、神経質で器の小さいオラムは、序盤から船長代理どころか副船長にも相応しいか怪しいものだと思って観ていた。
著しくリーダーシップに欠け、小物臭が漂う。励ましてくれる妻のカリンの方が、よっぽど包容力がありそうだ。
基本的に悪い人ではないし、責任感もあるのだが、明らかに腹に一物あるデヴィッドと2人になった挙げ句、「安全ですよ?」と言われて、のこのこエイリアン・エッグを覗き込む。
ああ、おつむも弱かったのか…。

ショウ死亡は最悪

『プロメテウス』の続編なのだから、当然ショウの物語になると思っていた。
まさかあっさり「死んでました」となるとは思わなかった。

デヴィッドは苔むした墓の前で「愛していた」と語っていたので、一緒に何らかの研究をしていたが、病や感染により亡くなったのか?それともエンジニアへの復讐に2人で黒い液体をばら撒き、自分もやられたのか?などと想像していた。

どうもデヴィッドの実験に使われたというのが真相のようだが、腹を開かれた状態で横たわるショウは銅像のようだったので、最初は元々ねじの飛んだデヴィッドが、死後にショウを悼んで遺体にグロテスクな加工を施したか、像をこしらえたのかと思っていた。
だが作中でパラパラと出てくるスケッチからも、デヴィッドがショウを実験体にしたというのは間違いないようだ。

ショウ役のノオミ・ラパスには2012年8月の段階で続編への依頼を行ったそうなので、出演交渉がうまくいかなかったのだろう。
その辺りは製作側の都合なので致し方ないが、ショウを実験材料にしたとあっさり終わらせるのはちょっと納得がいかない。
できれば志半ばで死亡したショウの代わりに、研究を続けていたデヴィッドが少しずつ狂い始め(『プロメテウス』からもう狂っていたが)、ショウを敬愛するあまり人類を見限り、またはショウを生き返らせるため、人間を新たな生命の研究材料にするというトンデモ思想にかぶれた、というような物語を創り、前作の視聴者を納得させてほしかった。

Sponsored Links

前作よりも『エイリアン』らしい

前作同様、映像は素晴らしい。
異星生命体の種類も出番も多く、黒い胞子が鼻や耳に吸い込まれるように侵入していく様にはぞわぞわする。
エイリアン・エッグから矢のように排出され、オラムの顔に張りつくフェイスハガーの絵面も、そのいかにも『エイリアン』らしい緊迫感もよい。
ダニエルズらとプロトモーフとの戦いも2度あり、寄生要素も戦闘要素も弱かった前作よりは見ごたえがあった。

ウォルターは好きだったので、デヴィッドに入れ替わられたのは残念だったが、後味が悪かろうとこうでなきゃ!なラストで個人的にはよかった。
多くを語られずとも、これから邪魔者のいない宇宙船で1人、たっぷり揃った材料を使って心ゆくまで実験するんですね、心底嬉しそうですねよかったですね…と身震いするほどのデヴィッドの静かな微笑みは秀逸。

映画としては前作よりも楽しめたと思うが、前作からさらに加速した登場人物のおバカぶりと、ショウの不自然すぎる死から、個人的な評価は★2とした。

新作は撮影中

『エイリアン』シリーズスピンオフとして新作『エイリアン:ロムルス』の撮影が2023年2月に開始され、2024年公開予定となっている。
タイトルは似ているが『エイリアン:コヴェナント』の続編ではないようで、監督はフェデ・アルバレス、主演はケイリー・スピーニーとなっている。
とはいえリドリー・スコットも製作に加わっており、ケイリー・スピーニーも『プロメテウス』以降の「犬系ちょい童顔ヒロイン」を継承している。

シネマトゥデイによれば、フェデ・アルバレスは「皆にはリドリーがいかに厳しい人か警告されていました。彼は本当に厳しいんです。特にそれが彼の映画に関係している時には」と緊張していたが、試写後のリドリー・スコットは絶賛していたという。
正直「それほど厳しい人が、これ(『プロメテウス』+『コヴェナント』)…?」感は否めないが、『ロムルス』もきっと観ると思う。
言い方は悪いが脚本が多少B級だろうと、あの映像のクオリティであれば、間違いなく面白い娯楽映画に仕上がるだろう。

参考:
シネマトゥデイ『エイリアン』新作をリドリー・スコットが絶賛「クソ素晴らしい」
Weblio辞書
Wikipedia