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『旅人検視官 道場修作』庄内・湯野浜温泉殺人事件

映画・ドラマ日記
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個人的な映画・ドラマ日記です。
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作品情報

タイトル:旅人検視官 道場修作
監督:柿原 利幸
脚本:安井 国穂 村川 康敏
制作:BS日テレ ユニオン映画
放送枠:令和サスペンス劇場
上映時間・放送時間:全5回(各115分)
ジャンル:サスペンス,旅情ミステリー,トラベルサスペンス
評価:★3.5/5.0
※出演者は「登場人物」を参照

登場人物(出演者)

主人公

道場 修作(内藤 剛志)
元警視庁検視官。
定年後は亡き妻・由美子の趣味だった俳句ゆかりの地を巡る旅をしている。

ヒロイン

吉崎 沙織(中山 忍)
東都大学国文科講師。
道場と宿泊先が同じだったことから親しくなる。

田中 志織(中山 忍)
沙織の双子の妹。

警察関係者

柏木 翔平(入江 甚儀)
鶴岡中央警察署鑑識係主任。
現役時代は伝説の検視官と呼ばれた道場に憧れ、師と仰ぐ。

柴崎 義男(山田 純大)
鶴岡中央警察署刑事課強行犯係係長。

水元コーポレーション

水元 洋一郎(金山 一彦)
水元コーポレーション代表。水元家の婿養子。
女癖が非常に悪いが、妻には頭が上がらない。

水元 明世(紫吹 淳)
洋一郎の妻。

被害者

工藤 一馬(浜田 学)
フリージャーナリスト。
羽黒山で遺体となって発見される。

あらすじ

他殺死体と白骨遺体発見

元は警視庁検視官だった道場(内藤剛志)は定年後、亡き妻の日記を携えて、生前には果たせなかった旅行を楽しんでいた。妻の趣味だった俳句にまつわる地、今回は松尾芭蕉ゆかりの山形県庄内地方を旅する。

最上川の山頭火碑を訪れた際に、大学の古文の講師だという沙織(中山忍)と出会い、俳句の話で意気投合した。偶然、宿泊ホテルが同じだったことから親しくなり、沙織に誘われ羽黒山にハイキングに出かけたが、そこで男性の首吊り死体を発見。

駆けつけた鶴岡署の刑事、柴崎(山田純大)は状況から自殺と判断したが、道場の助言に従った鑑識係の柏木(入江甚儀)が、他殺の証拠を発見した。
被害者は記者の工藤(浜田学)。しかも道場らと同じホテルに宿泊しており、沙織と揉めていたという。
柴崎らが工藤の客室を調べたところ、山頭火の句集があり「誰もゐないでコスモスそよいでゐる」という句に二重線が引かれていた。

後日、道場は沙織、柏木とともに新庄市のコスモス畑で白骨遺体を発見する。鑑定の結果、吉崎沙織と判明。
これまで沙織を名乗っていたのは、沙織の双子の妹、志織だった。

あず
あず

どうしてサスペンスの主人公って殺人事件ホイホイなんだろう?

のりまき
のりまき

そりゃ話が始まらないからね

沙織と志織の半生

中学生の頃、両親が事故死。その後、沙織は裕福な会社経営、志織は貧しい食堂経営という違う親戚に引き取られ、別々に暮らしていた。
志織は大学進学を諦められず、沙織の養父母に学費の援助を申し込む橋渡しを沙織に頼むが断られ、溝ができたままだった。

1年前、沙織が失踪。手がかりを求めて沙織のマンションを探していた志織は、沙織の日記を見つける。
日記には沙織が高校生の頃、養父母の息子に乱暴されたことが綴られており、志織の頼みを断ったのも、志織を彼らに近づけたくない一心からだったという。
さらに沙織名義で山形県のホテルが予約されていたことを知り、志織は沙織になりすまして宿泊していたのだった。

きな臭い水元コーポレーション

水元コーポレーションは庄内地方で絶大な影響力を持ち、地元の政治家に賄賂を贈り公共事業を請け負うともっぱらの噂だった。
警察にも相当なコネがあり、過去に贈収賄事件の捜査が入ったが、末端の自殺で落着させている。当時、県警本部捜査二課にいた柴崎は徹底捜査を訴え、鶴岡署に左遷された。

かつて沙織を乱暴した洋一郎(金山一彦)は水元会長の娘婿に納まり、現在は代表を務めているが、実権は妻の明世(紫吹淳)が握っている。
目下、水元コーポレーションが進めているアジア国際大学の誘致に関する会合で道場の宿泊先ホテルを使い、道場も志織も彼らと面識があった。

あず
あず

紫吹淳って「ばあや」のいる人?

のりまき
のりまき

そうそう、元はファンだった人がマネージャーになったんだよね

あず
あず

じゃあ、あたしは「じいや」のいる犬だね

相方
相方

……うん?

復元されたスマホ

あず
あず

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何者かに壊された工藤のスマホのデータが復元された。
洋一郎宛のメールにはコスモス畑に埋められる直前の沙織の遺体写真が添付され、以降毎月100万円の振り込みがあったことから、工藤は洋一郎の手先だったと判明。

アジア国際大学への就職を希望していた沙織の教え子が、洋一郎に呼び出され乱暴されたことを知った沙織は、大学の誘致を止めに山形県へ。
だが洋一郎が耳を貸す筈もなく、揉み合いになり突き飛ばしたはずみで沙織が死亡。その後始末を工藤に依頼したという。
洋一郎は逮捕され、早々に明世からも見放されて離婚となった。

工藤殺しの犯人

あず
あず

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工藤の殺害犯が洋一郎ではなかったことで捜査は振り出しに戻ったかと思われたが、志織が黙ってホテルをチェックアウトし、崖から投身自殺を図りかけたところを真相に気がついていた道場が止めた。

志織は工藤殺害を告白。偶然ホテルで顔を合わせた初対面の工藤が動揺したことで、沙織の失踪について何か知っていると直感したという。
しつこく食い下がる志織に、工藤は「(どうせ沙織には)二度と会えない」と口を滑らせた。
沙織が既に亡くなっていると知った志織は逆上し、工藤を絞殺。我に返ってその場を逃げ出した。

では誰が工藤を羽黒山まで運び、自殺に見せかけて木に吊るしたのか?
いつの間にか道場の隣に立っていた柴崎が事後共犯者を名乗り出る。
左遷されても単独で捜査を続けていた柴崎は1年半前、山形県を訪れた沙織と出会い、すべての事情を沙織から聞く。ともに闘ううちに2人は恋に落ちた。

沙織の失踪後、手がかりを探してホテルを見張っていた柴崎は、志織が沙織の双子の妹だとすぐに気づき、工藤殺害の現場も目撃。
志織に疑いが向かないよう、あえて女性の力では不可能と思われる偽装工作を行った。その際、工藤のスマホも見て沙織が亡くなっていたことを知り、早く掘り出してほしいと工藤の客室に細工した山頭火の句集を置いたという。

道場は「自分はもう警察官ではない」と立ち去り、志織と柴崎はともに鶴岡署に自首した。
その頃、道場は最上川の川下り舟に乗り、志織に頼まれたヒトガタを流しつつ「我が罪も流れて行くか最上川」と詠んだ。

のりまき
のりまき

回想シーン?しかなかったけど、工藤役の浜田学さんはサスペンスやミステリ作品でもよく見るゲスな記者とか野卑な武士とかがよく似合う役者さん♪

あず
あず

のりまきの好きなコヒィ主演の『嫌われ監察官 音無一六』6にも出演してたんだよ

あず
あず

ご本人の出演作も多いけど、お父さんは名悪役で知られる浜田晃って役者さんなんだって

のりまき
のりまき

この人『ホンボシ〜心理特捜事件簿〜』で見た医者じゃん!お父さんだったの!?

感想

剛志は「たかし」

のりまき家では、なぜか「ゴーシ・ナイトウ」と外国風に呼ばれている内藤剛志。
「剛志」の読みは「ごうし」「つよし」が主で、人名には「つよし」が多く使われているらしい。他には「たけし」「たかし」とも読む。

振り仮名のないスタッフロールと、ごつく実直な警察官のイメージから勝手に「ごうし」だと思っていたが、正しくは「たかし」で、ご本名だそう。
お名前を読み間違えたままなのは大変失礼だと解っているが、小さい頃から「あ、ごーし!」と親しんでいたのを今さら「あ、たかし!」と改めるのは難しい。
これからも家内でこっそり「ごーし」とお呼びするのを許していただきたい。

相方
相方

のりまきがゴーシゴーシ言うから、てっきり「ごうし」かと…

あず
あず

あたしも「今日はゴーシだよ」って言われて一緒にサスペンス観てたよ…

新鮮なセーター姿

いつもビシッとしたダークカラーのスーツ姿を見慣れていたせいで、本作の道場は非常に新鮮だった。
濃いオレンジ色のセーターにカーキのモッズ風コート。洒落たショルダーバッグにコートと同色系のパンツ。
これが「ホシを!あげる!」の退官後かぁ…(違う)。
妻に背中を預けて仕事一筋。多忙で家事はしないが、妻への気遣いと感謝は常に忘れない、昭和の男のお手本タイプは本シリーズでも健在。

妻は亡くなっている設定だが、日記を読むのが妻の声ではなく道場だったのが個人的にはよかった。
第2弾以降、妻との再現シーンなど出てくるのかもしれないが、あくまで道場が旅先で遭遇する事件をメインにしてほしいので、余計なキャラは出してほしくないかな。

ロケとグルメ

かなりのロケが実際の地方で行われている印象で、各名所が説明つきで紹介されており、ミニ旅番組感覚で楽しめる。

道場がいただく食事なども丁寧に撮影されていた。羽黒山の精進料理は全品の説明があり、ホテルの夕食や朝食バイキングもおいしそう。
水元コーポレーションの接待で出されたお膳は松花堂弁当風の趣で、見た目もきれいだった。

柏木の差し入れはバイ貝と塩辛で、それほどそそらなかったが、日本酒好きなら大山大吟醸、十水(とみず)と聞けば唸るのかもしれない。鶴岡市の銘酒だそう。

筋はやや単純

被害者は1名、追加で白骨遺体と多くはなく、どんでん返しもきちんと用意されているものの、謎解きはさほど難解ではない。
これぞ2時間サスペンスという単純な筋に、令和風味をプラスした程よい展開。

降ってわいた柴崎に違和感はあるが、「ここまで新キャラが出てないんだから、まあそうでしょうね」という感じ。むしろここで新しい登場人物や、視聴者の記憶に残っていない程度のキャスト(ホテルのフロント係とか工藤の死体を一緒に発見したおじさんとか)を持ってきたりしなくてよかった。

崖は健在

石川県観光公式サイトより「ヤセの断崖」

2時間サスペンス必須の崖もちゃんと出てきた。
今回は定番の開けた崖ではなく、2時間サスペンス終焉の頃によく見た、比較的狭くゴツゴツした岩場のような崖だった。
もう、分かってるなぁ感満載。

最終盤の崖はなくてはならないので、知り合って日の浅く土地勘もない道場が、なぜ速攻で志織の行く先を特定できたのかとか、さらに柴崎までタイミングよく合流したのは不自然だとか、そこは流そう、ねっ。

ツバメノート

妻の日記帳はツバメノートの100ページタイプだと思うが、表紙の手ずれ感や繰り返しの使用によるふくらみがきちんと施されていた。作ったのは小道具さんかな。細かいなー。

ただし道場がそれを裸で持ち歩いているのが、文房具マニアとしては少し気になった。…鞄に直接入れると傷むんだけどなー。
ホテルの食堂でも平気でテーブルに置いていたし、料理の跳ねやお茶でも意外に汚れるよ?
もう奥様が書き込んでくたびれてるけど、カバーをかけたりジップロックに入れたらいいのに…と思わず眉をひそめたが、逆にドラマ内でそんなことをされたらひく。

わんこ柏木

ちょいちょい出てきて道場に絡む鑑識係の柏木は、年齢層の高い出演者の中で唯一若く、わんこキャラが立っていてかわいい。
事件の話をされるのを嫌う道場に、お酒をエサにホテルまでやってきて助言を乞い、追い出されそうになると「やだー帰りたくなーい…飲みたいです♥」と両手で戸を閉める場面では、危うく心を持っていかれそうに。

第1弾だけでは勿体ないキャラなので、『温泉殺人事件シリーズ』の片岡鶴太郎と浅利陽介のように、シリーズを通して道場の相棒になるのでは?と期待しているが、鶴岡署勤務なので難しいかも。出張や研修にも限度があるだろうし。

相方
相方

俳優さんがタイプというよりこれは…あずっぽいからだわね?

のりまき
のりまき

その通り!

俳句

今回は「松尾芭蕉ゆかりの地」だったのに、あんまり芭蕉感はなかった。
最初にちょっと出てきただけで、道場が読み上げるのは亡き妻の詠んだ俳句ばかり。その上、途中から山頭火まで混ざってきたからかもしれない。

そういえば本シリーズは全5回とのことで、だから「開かれない旅行雑誌がもう5冊」(妻作)なのかとニヤリ。

ついでに、2023年12月から2025年8月にかけて放送された本シリーズだが、つい最近、2026年1月に第6弾の放送が公表された模様。
「5冊じゃなくなるけどどうするの」と思っていたら、第5弾までは「妻が道場と行きたかった場所」、第6弾からは「妻が実際に旅した場所」を道場が訪れるのだという。
第1弾を観始めたタイミングでの発表には運命すら感じてしまう2時間サスペンス好き。「やだーうまいじゃなーい…楽しみです♥」とまたまたニヤリ。
来年の放送を座して待つ…前に第2弾以降をゆっくり楽しむとしよう。