個人的な映画・ドラマ日記です。
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作品情報
タイトル:ボア(吹替版)
監督:クリス・サン
脚本:クリス・サン
製作:クリス・サン
公開:2017年11月23日
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
上映時間:96分
ジャンル:ホラー,パニック,動物,アニマルパニック
評価:★☆☆☆☆
※出演者は「登場人物」を参照
登場人物(出演者)
あらすじ
オーストラリアの田舎町で、牧場の柵が壊され家畜が襲われるという事件が多発。
正体不明の巨大生物が目撃され、ケンたちは半信半疑ながら警戒を強める。
夜にケンと友人ブルーが見張りをしていたところ、キャンパーの若い男女グループが襲われた。
謎の生物の正体は巨大なイノシシ。
それまでにもドライブ中のカップルや、牧場主とその愛犬を食い殺していた。
キャンプの様子を見に行き、銃でイノシシを追い払うも弾切れに気づいたケンが、ブルーを自分たちのトラックに戻らせるが、待ち伏せしたイノシシにブルーは殺される。
一方ケンは、襲われた中で唯一息のある女性を森の中で発見し、救おうとするが失敗。
自身も亡き妻の名を呼びながらイノシシに殺されてしまう。
そんな中、デビー一家が牧場を営む弟のバーニーに会うため町を訪れた。
一家は揃ってピクニックに出かけたが、ケンたちの行方不明を知り、バーニーだけが車で探しに行くことに。
バーニーが襲われ、異変を察して見に行ったブルースとロバートは茂みにいるイノシシと出くわす。
ロバートはブルースをイノシシに向けて突き飛ばし、自分だけ一家の元に逃げ帰ったが、急を知らせている途中で横から突進してきたイノシシに連れ去られた。
さいわい車をひっくり返されただけで済んだバーニーと、デビーら親子3人は川を渡り山に逃げることに。
町では父ケンを案じるサーシャが、ピクニック用の食料を取りに来たバーニーに頼んだものの、やはりこうしてはいられないと客に店を頼み、父を探しに1人で出かけた。
あらすじ続き
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バーニー一行は夜になってもまだ山中を逃げていた。
疲労困憊のバートが躓いて倒れたところを背後からイノシシが襲い、バートは引きずられて姿を消した。
バーニーはライフルを失くしており、3人はなす術なくバートを見捨てた形になった。
たどり着いたボロ小屋でバーニーに食ってかかるデビー。
エラは必死に母を支え、何かいい手はないかとバーニーと話すが、計画を立てる前にイノシシが現れた。
バーニーは自分が盾になり母娘を逃がしたが、大型ナイフで善戦するも腹部に大ケガを負い、さらにイノシシに踏みつけられ倒れてしまった。
デビーとエラは谷間の草地で火を起こし、たいまつで撃退しようとしたが通用せず、エラは足を噛まれて負傷。
そこへショットガンを携えたサーシャが現れ、車でイノシシを吹っ飛ばした。
そしてデビーに銃を持たせ、よろよろするイノシシを撃ち殺したのだった。
町へ帰ろうとしていると、何と重傷ながら生きていたバートとバーニーが現れた。
無事を喜び合い、5人が車で走り去った後には不気味な黒い影と、イノシシの雄叫びが響いた。
感想
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ネイサン・ジョーンズ
バーニーを演じたネイサン・ジョーンズは、1969年生まれのオーストラリア出身の俳優。
身長211cm(208cmとも)、体重154kg(148kgとも)の恵まれた体格を生かし、ウェイトリフティングのオーストラリアチャンピオン、WWA世界ヘビー級王座を獲得したプロレスラーでもある。
また1997年には日本の総合格闘技イベント「PRIDE(プライド)」のデビューイベントに参加し第1回大会「PRIDE.1」に出場。第60代横綱である元力士、北尾光司と対戦している。
16歳から18歳の時に8件の武装強盗を犯し2年間服役。服役中にウェイトリフティングと出会った。
ボディーガードを経てプロレスラーとしてのキャリアをスタート。
アメリカのプロレス団体及び興行会社WWEと2003年に契約を結んだが、2005年に引退した。
俳優としては1996年から出演記録があり、2010年に日本公開の『TEKKEN -鉄拳-』にクレイグ・マードック役で出演。複数のインド映画にも出演している。
2015年に『マッドマックス 怒りのデス・ロード』にリクタス・エレクタス役として出演しており、最新では2024年5月公開予定の『怒りのデス・ロード』のスピンオフ『マッドマックス:フュリオサ』(原題『Furiosa: A Mad Max Saga』)に同じ役で出演。
『マッドマックス』俳優が出演
本作には1979年公開のオーストラリア映画『マッドマックス』に出演していたロジャー・ウォード、スティーヴ・ビズレーが町の爺さん役として出演している。…らしい。
『マッドマックス』シリーズはそこそこ観ているが、面影…あるんか?
イノシシに待ち伏せされたブルー役がロジャー・ウォード。
『マッドマックス』ではメルギブの上司で、観葉植物を育てるのが趣味のM.F.P.隊長フィフィ役だったらしい。変わり者だけどすごくいい人だったから覚えている。
カッコイイこと言って退職じゃなく休暇にしてくれた人よね。
スティーヴ・ビズレーはボブ役とのことだが、ボブってごめん誰よ。爺さん多すぎて誰が誰やら区別がつかん。
こちらは『マッドマックス』ではメルギブの親友。M.F.P.一番の荒くれ隊員で、別名「不死身のグース」。単独で運転していた車両をトーカッター一味に横転させられ、生きたまま火をつけられて死亡。…とくれば「あーあーあの人!」となったが、それでも「ボブって誰よ」。
彼らに『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のネイサン・ジョーンズを加えて、Amazonの商品説明には「新旧マッドマックスシリーズキャストが夢の競演!」とあったが、前知識なしに観ていた時にはただただ「爺さん率高いな」としか思わなかった。
ちなみに『怒りのデス・ロード』でフュリオサを演じていたのは『プロメテウス』にも出演していたシャーリーズ・セロン。あら実はお馴染みさん?
観たかったのはヘビ映画
B級アニマルパニックものが大好物ののりまき家。
実は『ボア』は「久しぶりに大蛇のB級が観たいなー」と思って選んだ映画だった。
B級なのは字幕版がなく、オープニングの段階で解っていたことだったが、まさかイノシシとは予想外だった。
野生動物が列をなして逃げ出すシーンでもどこで大蛇が現れるかとワクワク。
トンチキな会話を交わすカップルの車が横転させられた時点で、ようやく「蛇が?車を?」とハテナが出たが、B級映画ならではの演出だと思っていた。
ヘビ映画だと思い込んでいるので、黒い背景にどんと出てきた血文字のような「BOAR」のロゴのスペルは深く考えず、「B級にしてはなかなか凝った作り」とデザインに目がいっていた。
薄く違和感を持ちながら、いつ獲物を飲み込むシーンが出てくるか飲み込まれるのは何かと、今か今かと期待していたのに、出てきたのは出来はいいが作り物感満載のおっきなイノシシ。
そこで初めて「騙された!」と気がついた(騙してない)。
ちなみにヘビの「ボア」のスペルは「Boa」。
爬虫綱有鱗目ボア科ボア亜科に属するヘビの総称とする「ボア科」の最大種はオオアナコンダで、最大全長が10mに達するとされ、アミメニシキヘビとともに世界最大のヘビとして知られる。体重は5m以上の個体では100kgを超えることも珍しくない。
本来のボアとされるボア科ボア属の「ボア」、代表種のボア・コンストリクターは、最大全長は4mほど、体重は45kgを超えることもある。
名言(迷言)は多い
姦しい爺さんたちの各会話シーンは無駄に長く、いちゃいちゃデビー一家の会話もほぼ下ネタだが、たまにゴールデンフレーズが挟まれる。
パブの留守番を任された先住民族のおっちゃん「黒人はタダ。白人は料金2倍」
白人のおっちゃん「じゃあ外で日焼けしてくる」という小気味いい会話は特に気に入った。
これ、いいのかな?と思わなくもないが、何かこれくらい雑で対等な方が世界はうまく回るんじゃないかと感じる。
パブといえば、とうの立った厚化粧のお姉さま方が「あたしみたいな女には絶倫男じゃなければね」「あたしも食後にど~お?」などと、主要登場人物でもないのに山椒(ただし大味)のような台詞を入れてくるのも面白かった。
「結婚は永遠の誓いだ」と娘の彼氏を牽制?するブルースが「でもあんた結婚3回目だろう?」と言い返されるシーンでは「3回目かよ!」と突っ込み、イノシシを待ち受けるケンが「貴様がイノシシなら俺はオオカミだ!」と決め台詞を吐くわりにあっさりやられ「期待外れかよ!」と突っ込む。
無駄な会話やオヤジギャグにイライラする人、下ネタが苦手な人には向かないかもしれないが、個人的には由緒正しいB級を堪能させてくれる数々の台詞は秀逸ではないかと思う。
誰が主人公?
一応、出演者の中では最も名が知られているネイサン・ジョーンズ演じるバーニーが主人公扱いとなっているようだが、バーニーの存在感は抜群ではあるが、正直誰が主人公なのかは曖昧だった。制作側からするとどうでもよかったのかもしれない。
最初はパブのオーナー、サーシャが父親ケンを「気をつけてね」と見送ったところから、サーシャが女性側の主人公でデビー一家は刺身のツマだと思っていた。
父を殺されたサーシャがバーニーと共闘してイノシシを倒す、ラブありストーリーかと思ったら、デビー一家がいちゃついているだけで一向にサーシャが絡んでこない。
しまいには自分の持ってきたショットガンをデビーにレクチャーしてまで撃たせるし、バーニーとはパブとラストでちょっと話しただけ。
ラブロマンスのラの字も出てきやしない。
実はサーシャの方がツマで、デビー一家が大活躍かと思いきや、エラはいい子だが特に活躍せず、デビーは自分も手を出せなかった癖に息子を見殺しにしたと弟を責め立てる。
とんがりボーイのバートに至っては、実はボーイスカウト経験とかあって母と姉をしっかり支えるのかと思ったら、引きずられて消えてゆき期待外れもいいとこだった。
これならサクッと殺された結婚3回目パパや、厚かましく彼女の家族旅行についてきて何かといえばイチャイチャしていた娘彼氏の方がキャラが立っていた。
というか、狭い後部座席に当たり前のようにいるから、最初は三人兄弟かと思った。
親兄弟の前であんなにキスとか引くわ。オーストラリアってそういう風土?(風評被害)
清々しいほどのB級
肝心のイノシシや死体は、B級にしては結構よくできていたと思う。
家畜や犬の死体は出てこず、キャンパーの死体とバーニーの腹の傷、エラの足の傷くらいだったが、作りはまあまあながら少々作り物臭さがあり、そこまでグロテスクではないのが却ってよかったかもしれない。
ただ鉄条網に足を引っかけた牧場主が、何とか抜けようとずりずりやるところはとても痛そうだった。
イノシシは黙って立っていればそこそこリアルだが、作りが甘いのか牙で獲物を引っかけて振り回すのが画一的でつまらない。
噛みつくところもフガフガして「噛みついてる感」を出すばかりで、「お前本当に噛んでないだろ」と突っ込みたくなる。
キャンパーの女性が襲われて悲鳴を上げている場面も「ハイハイ、テント越しにぐいぐいやってるんでしょ」程度には嘘くさい。そしてテント内に入り込んだイノシシも「とりあえずスタッフが尻を押して左右に揺らしてるかな?」という感じで怖くない。
あとイノシシ何気にお行儀悪いよね?
食うために襲っている筈なのに、ほとんど食べず死体を散らかす。その癖次々と殺す。
「お残しは許しまへんで」と『忍たま乱太郎』の食堂のおばちゃんが脳内をグルグルしたのは私だけだろうか。
とまあ、本格的な作品では決してないし夢にも思わない方がいいが、だがそれがいい。
B級なんてものはおバカさとチープさを突っ込みながら、ポテチ片手にキャーキャー言って観るのが楽しいのだから。
ラストではお約束の、他のイノシシが実はいるぞ的な、さも続編に繋がるかのような演出があったが、本当に続編が作られたら観るかどうかは迷うところである。
すごーく暇なら観てもいいかな…となるかもしれないが、もし劇場公開であれば絶対に行かないと思う。
映画としての評価は★1だが、B級映画としてならかなりの高評価をつける。
本当に魂が洗われるような、清々しいほどのザ・B級だった(褒め言葉)。
参考:
ナショナル ジオグラフィック日本版サイト「ボア・コンストリクター」
Wikipedia