個人的な映画・ドラマ日記です。
「ジャンル」は鑑賞媒体によるもの、もしくは独断により分類しました。
「評価」は自分のお気に入り度です。
ネタバレを含む箇所は非表示にしています。ご了承の上「▶こちらをクリック」をクリックまたはタップしてお読みください。
画像はすべてイメージ画像です。実際の映像とは関係ありません。
作品情報
タイトル:レディ・ジョーカー
監督:前川 洋一
脚本:水谷 俊之 鈴木 浩介
原作:髙村 薫
制作:WOWOW
公開:2013年3月3日-4月14日
放送:連続ドラマW
放送時間:全7回(各54分)
ジャンル:クライムサスペンス,社会派ミステリー,警察
評価:★3.0 /5.0
※出演者は「登場人物」を参照
主な登場人物(出演者)
競馬場で知り合った競馬仲間。
物井 清三(泉谷 しげる)
薬局の店主。秦野(工藤阿須加)の母方の祖父。かつて日之出ビールを解雇された兄がいる。
半田 修平(豊原 功補)
蒲田北署刑事課強行犯係巡査部長。城山社長誘拐の発案者。
警察組織に不満を抱く一匹狼。
布川 淳一(板尾 創路)
トラック運転手。障害を持つ娘と鬱病を患う妻の面倒を1人で見ている。
松戸 陽吉(金子 ノブアキ)
旋盤工。物井(泉谷しげる)と仲がよく「ヨウちゃん」と呼ばれている。
高 克己(高橋 努) ※「高」の読みは「コウ」
信用金庫職員。パチンコ店の跡継ぎ息子。
菊池(田中要次)と通じ、誘拐事件とは別に株でひと儲けを狙っている。
城山 恭介(柴田 恭兵)
日之出ビール代表取締役社長。
誰に対しても穏やかで敬語を使う。妹の娘である姪の佳子(本仮屋ユイカ)を可愛がっている。
倉田 誠吾(益岡 徹)
日之出ビール取締役副社長。ビール事業本部長を兼任。
城山の腹心の部下。やや保守的。城山の妹(手塚理美)と以前から関係があった。
白井 誠一(石橋 凌)
日之出ビール取締役副社長。事業開発本部長を兼任。
城山の腹心の部下。ややタカ派。
杉原 武郎(光石 研)
日之出ビール取締役。ビール事業本部副部長を兼任。城山の義弟。
精神的に脆く、娘の破局が一連の事件を招いたと悩み自殺する。
野崎 孝子(矢田 亜希子)
日之出ビール社長秘書。八代(山本耕史)の大学時代の後輩。
合田 雄一郎(上川 隆也)
大森中央署刑事課強行犯係長。警部補。
警視庁刑事部捜査第一課から異動。加納(石黒賢)は大学時代の同期で元義兄。
平瀬 悟(津田 寛治)
警視庁刑事部捜査第一課警部補。何かと合田に突っかかる。
神崎 秀嗣(渡辺 いっけい)
警視庁刑事部捜査第一課課長。
土肥(モロ 師岡)
大森中央署刑事課課長代理。合田の上司。
加納 祐介(石黒賢・特別出演)
東京地方検察庁特別捜査部検事。
合田の大学時代の同期で元義兄。八代とは古書店で知り合った趣味仲間。
八代 芳伸(山本 耕史)
東邦新聞東京社会部記者。城山社長誘拐事件に端を発した金の流れを追う。
田部(小市 慢太郎)
東邦新聞東京社会部デスク。八代の上司。
佐野 純一(松尾 諭)
フリージャーナリスト。八代の情報提供元。西村に拉致され行方不明に。
田丸 善三(中村 嘉葎雄)
岡田経友会(総会屋)顧問。縁を切りたい日之出ビールに絡む。
西村 真一(高杉 亘)
田丸の部下。荒事を担当する。
菊池 武史(田中 要次)
投資顧問会社セルジェック代表。元東邦新聞記者。
実際は田丸の地下金融グループの一員で、高(高橋努)を利用している。
酒田 泰一(大和田 伸也)
民自党代議士。田丸の協力者。田丸を切ろうとする日之出ビールに圧力をかける。
秦野 孝之(工藤 阿須加)
物井(泉谷しげる)の孫。父親は被差別部落出身。
東京大学薬学部の学生で佳子の恋人だったが、日之出ビールの入社試験面接を中途退出したのち、自動車の暴走運転で死亡。
杉原 佳子(本仮屋 ユイカ)
杉原(光石研)の娘。城山(柴田恭兵)の姪。
秦野と結婚を視野に入れて交際していたが、秦野の父親の出自を理由に反対され破局。
布川 さち(柴田 杏花)
布川(板尾創路)の娘。障害を持ち車椅子生活。物井(泉谷しげる)に「レディ」と呼ばれている。
あらすじ
1984年の「グリコ・森永事件」から着想を得たと言われる、髙村薫のベストセラー小説をドラマ化。
城山社長誘拐事件

日之出ビール(以下、日之出)の城山社長(柴田恭兵)が誘拐されたが、すぐに解放された。
真の人質は自社ビール。異物混入を匂わされ20億円を要求されていた。
城山、倉田(益岡徹)、白井(石橋凌)は警察には真実を伏せ、犯行グループ「レディ・ジョーカー」の指示に従うことにした。
城山の解放を不審に思う警察は、合田(上川隆也)を城山の警護という形で監視させる。
城山宅に届くレディ・ジョーカーからの指示書は警察には知らされぬまま、目くらましの現金受け渡しも行われたが、犯人は現れない。
一方、記者の八代(山本耕史)は事件の背後にある、日本最大の金融・証券街である兜町の金の動きを追う。
犯行グループの狙い
誘拐事件の5か月前、物井(泉谷しげる)の孫・秦野(工藤阿須加)が無謀運転で死亡した。秦野と娘・佳子(本仮屋ユイカ)が交際していると知った杉原(光石研)が身辺調査を行い、秦野の父・浩之(伊藤洋三郎)が被差別部落出身であることから別れさせたのだった。
浩之は息子の死の原因が日之出にあるとして抗議。さらに総会屋の西村(高杉亘)が浩之に接触し、昭和22年に日之出を解雇された岡村(物井の兄)の手紙のコピーを秦野に渡して抗議を続けるよう焚きつけるが、浩之は自殺した。
競馬仲間の5人組、物井、半田(豊原功補)、布川(板尾創路)、陽吉(金子ノブアキ)、高(高橋努)は、鬱屈を晴らしたいという共通の思いから、日之出に目をつけ、大金を奪ってやろうと計画を練る。
異物混入

行き違いから城山が指示に従えず、レディ・ジョーカーは市場に出回る日之出のビールに異物を混入させ、大騒ぎになる。
レディ・ジョーカーの計画が順調に進む一方で、半田が警察内部犯行者のリストに挙がる。
3度目の現金受け渡しの指示書が届き、合田は城山に犯人逮捕のための捜査協力を訴えるも、黙殺される。
現金受け渡し現場に現れた男を警察は誤認逮捕。
合田は警察組織に恨んでいるかのようなやり口から、半田の犯行だと睨む。
城山に新たな指示書が届き、20億円を支払う決断を迫られる中、警察には日之出に関する内部告発書が届いた。

黄金色のピルスナーが大半を占める日本ならではの騒ぎかも

世界には赤いビールもあり、ベルギーの「フランダース・レッド・エール」などが有名だそう

日本では新潟発「エチゴビール レッドエール」、黄桜酒造の「悪魔のビール」「桜桃の雫」などのレッドエールが造られてます
狂う計画
日之出と同様に異物混入された毎日ビールの商品が発見される。半田と対立していた高の仕業だったが、レディ・ジョーカーの犯行声明が出された。
計画が狂い始めた半田に合田が迫る。
一連の事件が娘の恋愛に端を発していると、責任を感じていた杉原が心労から自殺。
また総会屋と地下金融グループの線を追っていた佐野(松尾諭)が西村に拉致され行方不明となり、八代も襲われる。
レディ・ジョーカーの模倣犯も現われる中、警察は半田が犯行グループの1人であると断定。
半田の上司・三好(中村育二)は立場を失い、焼身自殺した。
城山社長の決意

以下はネタバレを含みます。ご了承の上、▶をクリックまたはタップしてください。
こちらをクリック
すべてを自らの責任と考えた城山は会社を離れる決意を固め、東京地検検事・加納(石黒賢)を訪ねた。
一方、面子を重んじる上層部が半田を逮捕しないことに憤る合田は、半田を挑発し続け、半田に刺される。逮捕された半田は黙秘を貫き、レディ・ジョーカーの面々は散りぢりに。
20億円は古いアパートの一室に放置され、布川(板尾創路)だけが金の一部を持ち、競馬場に娘・さちを置き去りにして姿を消した。
逃亡しようとした高には総会屋の手が伸びる。
城山は背任の罪を被り退任。
総会屋と会社の縁を断ち切ったかに見えたが、自宅前で刺殺される。
物井はさちを引きとり、陽吉(金子ノブアキ)とともに故郷の青森に帰る。
そこへ警察に見切りをつけた合田が岡村(物井の兄)墓参りに訪れた。
車椅子に乗るさちを物井が「レディ」と呼ぶことに合田は気がついたが、黙って立ち去り、刑事を続けることを決意した。
感想

背景が弱い
原作は未読だが、原作ではもっと踏み込んで描かれたと思われる部落問題がぼかされ、説得性に欠けているように感じる。
非常にセンシティブであるがゆえにメディアではタブーとされ、かつては「部落」という言葉自体も事実上の放送禁止用語となっていたと聞く。
作中では総会屋との関係に重点が置かれているように見受けられた。
物井(泉谷しげる)の兄と関連づけるのであれば、(不謹慎な言い方になるが)部落問題の方が都合がよいが、作中の動機が兄と孫の復讐劇というには薄いので、部落問題を要素として入れる必然性は感じられない。
正面切って扱わないのであれば、中途半端に取り入れない方がよかったのではないだろうか。
秦野の死因
ハンドルさばきと秦野(工藤阿須加)の表情から、単なる自動車事故ではなく自殺であることは察せられるが、秦野の死に日之出は無関係であると倉田(益岡徹)が明言しており、城山(柴田恭兵)も単に道義的な面から自責の念に駆られているようだった。
そうであるなら、秦野が日之出の入社面接を中途退出した理由がない。
父親の出自について何も知らずに育ったであろう秦野が、就職と結婚を前に事実を突きつけられたと思われるものの、例えば娘と引き離したい杉原と秦野が対峙するなどの場面は記憶にない。
同様に秦野の父親の自死についても、わりとあっさり。何だか唐突に感じた。
レディ・ジョーカーの動機
日之出とある意味、関係が深いのは物井だが、積極的に復讐をしたがっている風ではなく、むしろ日之出に恨みもない半田(豊原功補)が主導権を握り、主犯格となっていた。
「日之出に対する復讐」ではなく、「鬱憤晴らし」からの「身代金誘拐」が先になっており、ターゲットはどこでもよかったように見える。
人生が詰んでいるのは布川くらいで、他の者は金にも困っていない。
露見すればそれこそ人生終了級の犯罪に手を染めようというのに、ふんわりしすぎてやしませんかね?
さすがの恭サマ

『両刃の斧』で知った柴田恭兵の魅力が、本作でも炸裂。

益岡徹、石橋凌とともにビジネススーツをビシッと着こなしたイケオジ三人衆は、目の保養。そりゃ秘書(矢田亜希子)もお慕いするわけだ。
どれほど大きな問題を抱えようと胸のうちに仕舞い、動揺する女性陣には何も知らせず優しく守り、時には諭し叱咤激励。古き良き昭和のデキル男。
男尊女卑が論外なのは前提として、別に昭和でなくとも、やはり男性はこうであってほしいと個人的には思う。
誰に対しても敬語を使い、家族にも穏やかな口調を崩さない恭サマには胸を射抜かれっぱなし。
利害の一致しない上川隆也とうどんを啜るシーンは特に好きで、もっと2人のシーンを見たかった。

光石さんと津田さんは?

お二方も好きな俳優なんだけど、今回は役柄がちょっとね…
遺留捜査?

合田雄一郎シリーズ第1作『マークスの山』の連続ドラマWでも思ったが、野暮ったい白いスニーカーとショルダーバッグとくれば、上川隆也ファンであればピンとくる人気シリーズ。
そう、『遺留捜査』である。
ただし『遺留捜査』の糸村(上川隆也)は、飄々としてどこか愛嬌もあって許せたが、いつも眉根を寄せている合田には、些か不釣り合いなダサ白スニーカー。いや靴のデザイン云々ではなく、ダークスーツには絶望的に似合わない。
懐かしさからクスッときてしまったが、ちょっと待て。
膨張色だからか、形がごついからか、〇ナルドダックっぽくて妙に短足に見えがちなのもいただけない。
唯一、平瀬(津田寛治)に厭味ったらしくコーヒーをぶちまけられるシーンでは白に茶色が映えてよかったが、そこまで映えさせんでいい。
わたくしの隆也には、もっとかっこいい服装をさせていただけないかしら?
ところで『マークスの山』では、合田が儀式のように靴を洗ってベランダに干すシーンがたびたび登場するが、本作には1度も見られなかった。元妻にも靴を贈られており、白い靴は合田にとって刑事としての矜持、象徴的なものである筈だが、違っていたのだろうか。
余談だが、『遺留捜査』は村木さん(甲本雅裕)とのかけ合いが毎回楽しみで、スペシャルか新シーズンを未だに期待しているが望み薄の模様。
2025年にフジ系列で放送された『問題物件』も隆也&コラレが最高だったけど続編こないかな。

コラレって犬太(いぬた)役のワンちゃん?

そうそう、あずと同い年くらいだと思うよ

最初はスリムで短毛めのジャーマン・シェパード・ドッグかと思ったけど、ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアなんだって

のりまき、タービュレンの方が好きだよね

あ…今は…ラブラドールがいちばん…かな…?(超忖度)

レディ?

以下はネタバレを含みます。ご了承の上、▶をクリックまたはタップしてください。
こちらをクリック
タイトルの「レディ」とは、布川が競馬場に連れてくる娘の愛称とのことだったが、ドラマでは確か「娘さん」「さっちゃん」などと呼ばれており、存在感は薄かった。
世話をする人間がいないから仕方なく連れてこられているといった感じで、特にみんなから可愛がられている印象はない。
でも、ただの「ジョーカー」よりも「レディ・ジョーカー」の方が様になるので、まあいいか。
捉えどころがなく、あまり感情の読めない物井が、終盤になって「レディ」と呼び始めたのには少々違和感があったし、身代金の分け前がないのに引きとったことにも驚いたが、娘さんの表情が明るく見えたので、またもやまあいいか、という気分になった。
いったんは東京から離れた陽吉も一緒だったことにも安堵した。逮捕されなくとも彼らが犯罪者であることに変わりはないが、血の繋がらない3人が穏やかに暮らせるといいな、と思わざるを得なかった。
ついでに、自分だけ大金を手にして、妻や娘の世話は外部頼みでもどうとでもなるというのに、競馬場に置き去りにした布川は無責任としか言いようがないが、何もかも捨てていきたい自由になりたいという気持ちも解るような気がする。
どこぞで野垂れ死ねとまで強い感情は持たないが、「深イイ話」の「う~ん」がこだました。
まとめ

社会派ミステリーにはあまり興味がなく、今回の大企業と総会屋の癒着、危険を冒して追うマスコミ、みたいな内容も積極的に鑑賞したいとは思わない。
ただ元が合田雄一郎シリーズという警察ものであること、主演が上川隆也、他の出演陣も豪華だったので食指が動いた。
ドラマ自体は骨太で、物語も面白い。いちばんの悪が変わらず上級国民然と生きているのにはモヤモヤするが、それはドラマの出来とは関係ない。
やはり動機など肉づけが甘いと感じられたのが残念だった。
個人的に最も気になるのは佐野の行方。拉致されてからは一切の情報がないが、流石にただで済むとは思えないので、まあ…そういうことなんだろうな…。

原作は「このミス」1999年版国内第1位になっているんだね!

『マークスの山』を第1作とする合田雄一郎シリーズは、『我らが少女A』まで6作品が出ているよ

ちな『レディ・ジョーカー』はシリーズ第3作ね
参考:
福岡大学「〔研究者コラム〕「あまり知られていない犯罪心理学の世界(最終回)」―異物混入事件のプロファイリング―」
弁護士法人デイライト法律事務所「威力業務妨害罪とは?罰則や偽計業務妨害罪との違いについて解説」

