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『予告犯』①登場人物とあらすじ

映画・ドラマ日記
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個人的な映画・ドラマ日記です。
「ジャンル」は鑑賞媒体によるもの、もしくは独断により分類しました。
「評価」は自分のお気に入り度です。
ネタバレを含む箇所は非表示にしています。ご了承の上「▶こちらをクリック」をクリックまたはタップしてお読みください。
画像はすべてイメージ画像です。実際の映像とは関係ありません。

作品情報

タイトル:予告犯
監督:中村 義洋
脚本:林 民夫
原作:筒井 哲也
製作:辻本 珠子 久保田 修
公開:2015年6月6日
配給:東宝
上映時間:119分
ジャンル:クライムサスペンス,社会派ミステリー,警察
評価:★3.0/5.0 ※今回から表記を変更し、0.5刻みにしました
※出演者は「登場人物」を参照

登場人物(出演者)

主人公

ゲイツ/奥田 宏明(生田 斗真)
通称“シンブンシ”と呼ばれる予告犯グループの主犯格。
1982年生まれ31歳。3年前、IT会社で3年間派遣社員として働いていたが、精神的に追い込まれ退職。再就職が決まらず、始めた日雇いの現場でグループのメンバーと出会う。他のメンバーのあだ名は彼がつけたが、ゲイツ自身についてはカンサイが命名。
夢は「友達が欲しい」。

予告犯グループ

カンサイ/葛西 智彦(鈴木 亮平)
バンドを組んでいたが挫折。
陽気で豪胆。職歴の空白が多いが人生やり直せると前向き。グループのサブリーダー的存在。
ゲイツとは同じ公共職業安定所で出会い、産業廃棄物処理の仕事に誘う。
夢は「でっかいことをしたい」。

ノビタ/木村 浩一(濱田 岳)
神経質で小心者。元ニートで就業経験がなかった。父親を腎不全で亡くしている。
夢は「彼女を作りたい」。

メタボ/寺原 慎一(荒川 良々)
お調子者で愛想がよい。「了解でーす」が口癖。
作業中に転倒したノビタに駆けよるなど損得を考えない親切なところもある。横暴な現場監督、石田にも1人だけ返事をするが文句も一番多い。
夢は「回らない寿司を腹いっぱい食べたい」。

ヒョロ/ネルソン・カトー・リカルテ(福山 康平)
フィリピン人の母、日本人の父を持つ。父親を探すため来日。
かつてインターネットカフェ「ピットボーイ」で働いていたことがあり、偶然入手したセキュリティキーを持ち歩いていた。
過酷な労働現場で腎不全を発症し病死。
夢は「父親に会いたい」。
※予告犯グループではないが、仲間としてこちらに分類

警察関係者

吉野 絵里香(戸田 恵梨香)
警視庁サイバー犯罪対策課班長。26歳で警部補に上り詰めたキャリア。
幼いころは貧しく、いじめを受けていた。

岡本 大毅(宅間 孝行)
サイバー犯罪対策課所属。コワモテの中年刑事。
ITに関しては疎く、たびたび吉野や市川に説明を受ける。

市川 学(坂口 健太郎)
サイバー犯罪対策課所属。
非常に優秀で、IT関係の実働部隊として活躍。

金子(小松 利昌)
サイバー犯罪対策課所属。
聞き込みなど現場には出ず、課内で作業する。

北村(田中 圭)
公安刑事。吉野と同期。
優秀だが傲岸不遜で高圧的。公安情報収集には長けるがシンブンシに振り回される。

その他

栗原(滝藤 賢一)
ゲイツが過去に勤めていたIT会社の社長。
派遣社員から正社員への登用を希望したゲイツに対して社内いじめを行い解雇した。

青山 祐一(窪田 正孝)
インターネットカフェ「ピットボーイ」で働く店員。
予告犯グループとは無関係だったが、店を訪れたゲイツがシンブンシの一味であると気づき、逃走の手助けをする。

設楽木 匡志(小日向 文世)
衆議院議員。シンブンシの模倣犯が現れたことに乗じてニュース番組に出演。匿名掲示板の全面規制などを掲げたが、自身の事務所でネット投票の不正操作を行っていた。
シンブンシの5件目のターゲット。

加藤(本田 博太郎)
印刷工場の経営を失敗し、現在は無職だが工場を買い戻し、再起を図っていた。
羽振りがよい頃には代議士と偽り、ホステスをしていたヒョロの母と出会い愛人関係にあった。
公安からシンブンシの黒幕ではないかと目をつけられる。

ハローワーク職員(野間口 徹)
ゲイツが職を求めて一時通った職安の職員。
嫌味な口調で職歴の空白期間などのあらを挙げ、仕事を紹介する気がない。

石田(仲野 茂)
ゲイツら5人が働いていた産業廃棄物処理場の現場監督。
日頃から非情な言動をしていたが、ヒョロが死亡した際にも、埋葬するよう放り投げたショベルが遺体の顔面に当たり、激昂したメタボに殴られ、最終的に殺害された。

楓(小松 菜奈)
ノビタ行きつけのラーメン屋の看板娘。
餃子をおまけしてくれたり、傘を持たずに帰ろうとするノビタにビニール傘を差しだす。

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あらすじ

シンブンシの制裁

Tシャツ姿で頭に新聞紙を被った男が犯行予告をする動画が動画サイトに現れる。
食中毒事件を起こしたにも拘わらず、不誠実な記者会見を開いた食品加工会社の社屋が予告通りに放火された。(実行犯:カンサイ)
吉野(戸田恵梨香)を始めとするサイバー犯罪対策課が、過去にアップされた予告動画を洗い出すと、放火事件は3件目であることが判明。
警視庁はこの男を“新聞男”と名付け、ネット上では通称“シンブンシ”と呼ばれるようになった。

1件目 アルバイト先の飲食店でゴキブリを揚げる様子をSNSに上げ、炎上した高校生が拉致され、実際に揚げたゴキブリを食べさせられた。(実行犯:ノビタ)

2件目 同じ大学の女子学生が強姦被害に遭ったことに対し、侮蔑的なつぶやきをした男子大学生が監禁され、肛門を凌辱された。(実行犯:メタボ)

サイバー犯罪対策課は動画の発信元が、関東圏だけに存在するインターネットカフェ「ピットボーイ」であることを突き止めるが、シンブンシが使用したと思われる日時には、入室記録がない。
吉野は遠隔操作を疑うが、「ピットボーイ」でサーバーにアクセスするには、ランダムでパスワードが変更される「ワンタイムパスワード」と専用のセキュリティキーが必要であり、キーは各店の責任者しか持っていない。
店長から事情聴取をしていると、またもやシンブンシから予告動画がアップされ、躍起になるサイバー対策課の努力も空しく、犯行動画が流された。

4件目 採用志望者の面接中、ネット上で馬鹿にした実況解説をした会社員が拘束され、プラスチックのバットで顔面を殴打され続ける。(実行犯:ゲイツ)

警察が到着した現場には既にシンブンシの姿はなかったが、各動画に映る男たちの体格がそれぞれ違うことから、吉野は「シンブンシは複数犯である」と考えた。
また「ピットボーイ」各店に残されたシンブンシらしき男の署名が、すべて「ネルソン・カトー・リガルテ」であることから、市川(坂口健太郎)は「ネットで炎上した人間を制裁するだけではない目的があるのではないか」と推測。

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ゲイツの過去

シンブンシの首謀者・ゲイツこと奥田宏明(生田斗真)は、かつてIT会社に派遣社員として勤務しており、結婚を考える恋人もいた。正社員登用を目指していたが、社長の栗原(滝藤賢一)にその気はさらさらなく、陰湿な社内いじめを受ける。
吐血して入院、退職した奥田は、公共職業安定所(ハローワーク)に通うも再就職はなかなか決まらない。
カンサイ(鈴木亮平)から声をかけられ、ノビタ(濱田岳)、メタボ(荒川良々)、ヒョロ(福山康平)も含む5人、違法な産業廃棄物処理場で、住み込みで働くことになった。
フィリピン人の母の死をきっかけに、日本人の父と会うため来日したヒョロは、以前「ピットボーイ」で働いたことがあり、閉店の際に偶然入手した電子キーを、そうと知らずにお守りとして持っていた。
それがセキュリティキーであると見抜いた奥田は、ゲイツと呼ばれるようになり、ヒョロに勉強を教え、みなと将来の夢を語り合うようになった。

設楽木のイベント

最初はシンブンシに対して辛辣だったネット上でも、次第に支持されるように。
模倣犯まで現れ、ネット規制論が持ち出され始めたが、その旗手を買って出たのが国会議員の設楽木(小日向文世)だった。
設楽木はニュース番組に出演し、匿名掲示板をなくすと宣言。これを受けた形で5件目の予告動画「設楽木議員の抹殺」が出された。

ついに公安が動き出し、特に吉野と同期である北村(田中圭)は、吉野らサイバー犯罪対策課に協力を強要してきた。
公安により「ネルソン・カトー・リガルテ」を名乗り「ピットボーイ」を利用していたゲイツの、ある程度の人相が防犯カメラの映像から判明する。

一方、厳戒態勢の中、設楽木は飲料メーカーのイベントに出席。
予告時間には、シンブンシが蓋に仕込んだ菓子が原因で、新商品の炭酸飲料が暴発しただけだったが、直後に設楽木の秘書がアルバイトたちに命じて、ニュース番組の投票について裏工作している動画が流され、設楽木の議員生命は抹殺されることになった。

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青山の共感

動画が発信されている場所を絞り込んだ吉野らは「ピットボーイ」に乗り込み、逃走したシンブンシを確保するが、「ピットボーイ」のアルバイト店員・青山(窪田正孝)が新聞紙を被って身代わりになっていた。

青山を追跡中、吉野はすれ違ったゲイツに気がつき、吉野だけがゲイツを追う。
下水道に逃げ込んだゲイツに追いつけず「全部社会のせいにしてネットで神様気分に浸ってんじゃないわよ!」とずぶ濡れで叫ぶ吉野。
「給食費も払えない家庭から立派に這い上がった知り合いがいる」との言葉に「あなたには解らない」とゲイツは呟いた。

連行された青山は沈黙を貫く。
「ピットボーイ」に来店したゲイツに気づいた青山は、全店がマークされており、すぐに逆探知されることをゲイツに教えて逃がしたのだった。
青山はシンブンシとは無関係だったが、過去に派遣社員として勤務していた会社で、「正社員の倍働けば正社員にしてやる」と言われ、身体を壊して派遣切りに遭っていた。
そのため「シンブンシに共感したのでは」と言う市川に、吉野は「ボランティア精神でブタ箱に入るバカがどこにいるのよ」と怒鳴る。

ノビタの裏切り未遂

行きつけのラーメン屋の看板娘・葵(小松菜奈)に淡い恋心を抱いていたノビタは、自分たちのしていることに疑いや恐怖、ためらいを覚えていた。
警察に密告の電話を入れ、シンブンシの一味として本当の目的を話そうとしたところにゲイツが現れ、静かにノビタの携帯を没収する。

シンブンシの秘密

以下はネタバレを含みます。ご了承の上、▶をクリックまたはタップしてください。

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5人が産業廃棄物処理場で働き、夢を語り合っていた頃、ヒョロが倒れた。
だが現場監督の石田(中野茂)は病院に連れていくどころか「手を貸すな」と怒鳴りつける。
ヒョロの訴える症状から、腎不全ではないかと言い出すノビタ。その時にヒョロが日本に渡るために腎臓を1つ売っていたことが判明する。

苦しみながら息を引き取ったヒョロに対し、石田が「埋めておけ」と無造作に投げたショベルが遺体の顔面を強打。激昂したメタボがそのショベルで石田を殴りつけ、続いてゲイツ、カンサイ、最後にノビタが殴り、石田を4人で撲殺してしまう。
宿舎ごと石田の死体を燃やし、我に返った4人は追い詰められる。
そこへカンサイが「楽に死ねる」と、バンドを解散する時にファンがくれたという青酸カリを差し出した。
だがゲイツは、他の3人に「ここで死ぬくらいならまだできることがあるんじゃないか」と自殺を止め、シンブンシが誕生したのだった。

最後の予告

シンブンシの6件目にして最後の予告動画がアップされた。
設楽木議員の殺害を失敗したシンブンシ、すなわち自分たちを24時間以内に処刑すると予告し、さらに生中継すると宣言。そして全員が頭から新聞紙を取り素顔を晒した。
また発信元の「ピットボーイ」にはゲイツの本名が記された用紙が残され、公安はシンブンシのメンバー4人の身元をやっと割り出した。

吉野はゲイツの過去を追い、単独で聞き込みを行う。
IT会社では、社長は「派遣?覚えてないなあ」と鼻で笑い、社員たちは追随。帰ろうとする吉野に、外の灰皿スタンドを掃除していた男性社員が「血を吐いて救急車で運ばれた」と話す。彼はかつて社長らと一緒にゲイツを笑いものにしていたが、今はゲイツと同じ扱いを受けていた。
ゲイツが運ばれた病院では、彼が健康保険未加入、治療費を分割で支払っていたことが判る。
ハローワークでも「覚えてないなあ僕は」と苦笑いされ、外の休憩所で喫煙する求職者たちに訊き、日雇いの集まる場所に行くも収穫はない。
橋から川を見下ろす吉野の脳裏に、給食費が払えずいじめられていた小学生時代がよぎる。
「そう。頑張ればいいのよ、それでも」と呟く吉野に、ゲイツの幻影が「頑張れるだけ幸せだったんですよ、あなたは」と冷めた目を向けた。

本当の目的

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公安はヒョロの父親が、静岡で印刷工場を営んでいた加藤という男であると突き止めた。
シンブンシを思想犯であると踏んだ公安は、かつて加藤が過激派組織の機関誌を印刷したことがあることから、加藤こそがシンブンシの黒幕であると決定づけ、静岡に急行する。
だが加藤は手放した工場を買い戻して再起を図っており、機関誌の印刷も経営難から仕方なく引き受けたという。シンブンシとは無関係だった。

一方、ゲイツの過去を調べ上げた吉野らは、シンブンシの生中継が流れる中、彼らが最後に働いていた産業廃棄物処理場に向かっていた。
青酸カリを飲んで倒れていた4人のうち、ゲイツは死亡。他の3人は脈があった。
同時に服毒した筈が、3人はゲイツがすり替えた睡眠薬を飲んでいたらしい。

ゲイツが握りしめていたスマホには吉野宛の動画が残されており、ヒョロの骨を父親の元に届けてほしいこと、身元を警察に探らせ父親を探すために騒ぎを起こしたことが語られていた。
「もし生き残ったら全部死んだやつのせいにしろ」とゲイツに言い渡されていた3人は、約束通りすべてゲイツの責任であると不自然ながらも主張。
ゲイツが他の3人を恫喝し、支配している様子の動画もあり、3人はゲイツが殺した石田の死体遺棄を手伝わされ、脅されていたということになった。
ヒョロの遺骨は警察の手により掘り起こされ、吉野は「踊らされてやろうじゃないの。最後まで」とにやりと笑う。

束の間の青春

浜辺でゲイツ、カンサイ、メタボがアウトドアチェアに座っている。
ゲイツは没収したノビタのスマホでこっそり動画を撮り始め、カンサイに命じてなかなか目を閉じないメタボに目隠しをさせる。「俺の言うことが聞けないからこうなるんだ」と凄んでみせた。

そこへノビタが買い出しから戻ってくる。ノビタの不手際を咎めた後で動画の撮影を終え、そっとノビタの荷物にスマホを忍ばせるゲイツ。
「誕生日おめでとうメタボ」と、簡易テーブルにはパック寿司がぎっしり並べられていた。「回ってない寿司って確かに回ってないけど、これは違うだろ!」楽しげな面々。

ゲイツは「みんなに会えてよかった」と笑って呟いた。

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原作、関連作品

『予告犯』は筒井哲也による同名漫画の実写化。
漫画は『ジャンプ改』(集英社)にて、2011年から2013年まで連載された。全3巻。

スピンオフ漫画『予告犯 -THE COPYCAT-』(作画:小幡文生、ストーリー協力:宝生仁海)が2014年から2015年まで連載誌を変えて連載。全3巻。
「シンブンシの模倣犯(コピーキャット)を行う高校生グループ」を主役にしたサイコサスペンス。オリジナルの登場人物とは接点がない。

スピンオフ小説『予告犯 -THE CHASER-』(作者:久麻當郎)が2015年に刊行。
吉野と警視庁サイバー犯罪対策課のその後を描いている。

テレビドラマ『予告犯 -THE PAIN-』2015年、全5話がWOWOW『連続ドラマW』で放送。
映画版から1年後を描いたオリジナルストーリーで、原作者の筒井哲也がストーリー監修を行い、映画版の監督・中村義洋が本作品でも監督を務めている。