あずを飼う前までは、ご多分に漏れず「ラブラドール=盲導犬」というイメージが強く、「フレンドリーで地頭のよい犬種」と思っていましたが、大きく当てが外れ続けているのりまき家。
それなりに色々な犬種を見たり飼ったりしてきましたが、本当に全犬種中トップ5に入る知能の持ち主なのか、疑わしいこと甚だしく「ラブってこんなアホなん?」を毎日更新中です。
いや、うちの子だけかもしれませんが。
拾い食いは悩みの種
特に散歩中の拾い食いは悩みの種で、色々と対策を講じてきましたが、正直言ってお手上げです。
何にでも口を突っ込みたがり、匂いを嗅いでは反射で食べてしまう。
煙草の吸殻は本人が嫌いらしく目もくれませんし、ゴミ袋などは訓練の甲斐あって、見つけると顔を見上げてくるので、後はいかに人間側がマズそうなもの(泥やら虫やら石やら鳥の糞やら)を先に見つけて回避するかにかかっています。
それから、気になるものには猪突猛進タイプなので、普段は隣をきちんと歩いていても、いきなりぐいっと引っ張られるため、常に転倒や腰痛に注意していなくてはなりません。
本当はよくないのでしょうが、リードを長くして愛犬を自由にさせていたり、スマホ片手の飼い主さんを見かけると、「のんびり散歩できていいなぁ…」と羨ましさが先に立ちます。
そんな気を抜かない(抜けない)散歩なだけあり、本当に危険なものを口にして病院のお世話になったことはありません。
把握している限りでは、虫も食べたことがないと思うのですが、この間ついにやらかしてくれました…。
ふと見ると泥の塊をむしゃむしゃしてたりね…
すべてをやめさせられるレベルじゃないから、今は害のなさそうなものはスルーしてます
よりによってカメムシ食い
夜の散歩が終わり、もうすぐ自宅という時でした。
一瞬、歓迎すべからざる例の独特の臭いが鼻をかすめたような気がしました。
暗くてよく見えませんでしたが、それらしき存在は確認できず「気のせいかな?」と。
「大発生って聞いて過敏になってたのかもなー」と、ヤツを憎悪していると言っても過言でない私(=のりまき)は、無理やり「気のせい」にして帰宅。
玄関に入った途端、床を転がり悶絶するあず。
そしてどこからか漂う例の悪臭。
「踏んだか!?」「どっかにいる!?」と半ばパニックの飼い主ズでしたが、あずの足は臭くないし、飼い主ズの靴も無事。ヤツ本体もいない。
臭いもそこまで強くはなく「おかしいなぁ…」と首を傾げながら、あずはハウス。
その後フリータイムで遊ばせたのですが、何だか家じゅうクサい気がするぞ…?
本体が直接発した臭いの強烈さは知っていますが、そうではなくて、本体が噴射する意志がなく、けれども漏れ出させながら、ふわりふわりと移動していった後の、ほのかな残り香のような、長続きしないそこはかとない臭いなのです。
またも首を傾げながら、再びあずをハウスさせた後でした。
のりまき「ウヌ!?」
相方「ウヌ!?」
今度は風に乗ってはっきりと臭いがしました。
それも定期的に吹きつけられてきます。
元凶は…。
………。
……。
あずでした。
寝転がったあずがハアハアする度に、漂う例の悪臭。
相方がにじり寄り、あずの鼻先を確認しました。 「…くっさぁぁぁ!」
もう疑いようがありません。
いつものように、のりまきを待ちながら匂い嗅ぎをした、あのほんのちょっとの間に、あずは「食べてはいけないあの虫」を口に入れてしまったのでした。
「ふわりふわり」どころか、実際のヤツはとてつもなく力強く羽ばたきます…!
「触れてはいけないあの虫」…!!!
カメムシは食べても大丈夫?
とりあえず犬がカメムシを食べても大丈夫なのか、ネット検索してみたところ、ザクザク出てくる実例の数々…。
どうやら、わんこがカメムシを食べてしまうのは犬飼いあるあるのようです。
食後が地獄のように臭いだけで、幸い一般的なカメムシには毒性はなく、食べても大丈夫な模様。
寄生虫などは心配なところですが、それは他の昆虫でも同じです。
息が臭い以外は特に変わった様子は見られず、「混合ワクチン接種済みだし、フィラリア予防薬は虫下しを兼ねてるし、まあ大丈夫かな」という結論に達しました。
その後お腹を壊すこともなく、ぷぅ(排泄物・大)の中にそれっぽい残骸も見受けられませんでした。
野良猫も虫を捕らえて食べますし、「臭いタンパク源」として消化されたのでしょう。
南アフリカ共和国やメキシコ、ラオスなどでは食用にされることもあるそう…
干物にしたり油で揚げたり…
種によっては食後に清涼感が広がる…らしい…
カメムシの寄生虫
とはいえカメムシの寄生虫は気になったので、少し調べてみました。
自分が見た限りでは、犬に感染する類いのものはないようでした。
一般的に「カメムシ」と呼ばれているのは、「カメムシ亜目」の水生種、グンバイムシ、トコジラミを除いた陸生種の総称なのだそうです。
アメンボやタイコウチも「カメムシ亜目」に含まれており「水生カメムシ類」と呼ばれます。
サシガメ類や肉食の水生カメムシ類はヒトを刺し、一部の吸血性の種には寄生虫病を媒介するものがあります。
カメムシは様々な種がありますが、よく見かける茶色のヤツは「クサギカメムシ」です。
果樹などの農業害虫として知られますが、家屋に侵入することも多く「衛生害虫」「不快害虫」とされていますが、吸血性ではありません。
カメムシの寄生虫として知られるのは、ある種のカメムシの卵や成体に産卵する寄生バエや寄生バチで、カメムシ防除法のための研究が進められています。
カメムシ類は植食性と肉食性とがあり、植食性の種は農業上の重要な害虫になっています
ちなみにトコジラミは「南京虫」としても知られる吸血性の昆虫ですが、「シラミ目」ではなく「カメムシ目トコジラミ科」です
カメムシの臭い
カメムシは腹面にある臭腺から、悪臭を伴う分泌液を飛散させます。
外部からの刺激を受けると分泌され、捕食者などからの防御の働きとともに、仲間への警報の意味があるとされます。
群れを作るカメムシの場合、低濃度では集合フェロモン、高濃度では警報フェロモンとして働き、1匹が臭いを発すると周辺一帯のカメムシたちが逃げ出す現象が見られるそうです。
カメムシの分泌液は本人にとっても化学的に有害で、瓶の中にカメムシを入れ刺激して臭いを出させて蓋を閉めると失神、放置すると死ぬこともあるとのこと。
また臭いが拡散されないので、カメムシを捕らえる時には瓶やペットボトルが適しています。
ペットボトルは上から1/4ほどの辺りでカットし、上の部分を逆さにして下の部分に差し込みます。キャップははめておきます。
カメムシは下に逃げる習性があるので、覆うように壁面にくっつければ落ちてきます。
瓶なら蓋を閉め、ペットボトルならラップをします。
中に台所用中性洗剤を入れておくと殺虫駆除ができるそうです。
殺虫成分の入っていない、瞬間冷凍タイプの殺虫スプレーもいいみたい
犬飼いとしては、殺虫剤は使いたくないよねえ
耐久4時間
さて、あずが口から息を吐き出す度に臭気にさらされたのりまき家。
臭いがいつまで残るのか気になるところですが、あずの場合は3~4時間ほどでなくなりました。
あんまり想像したくないですが、消化されるにつれて臭いは弱まるようです。
その後のぷぅからは、例の悪臭はしませんでした。
といっても、ぷぅの臭い自体がかなりのものなので、よく解らないというのが正確なところですが、少しだけ嗅いでみた中には、それらしき臭いはなかったように思います。
ゴミの日まで保管してある消臭袋入りのぷぅから、臭いが漏れ出てくるということもありませんでした。
これ何の罰ゲーム的なあの時間…
カメムシは苦手だった筈なのに
数年ほど前、あずがカメムシという存在を知らなかった頃。
道路に落ちていたヤツと偶然出くわし、人間側が気づく間もなく、いつものように興味津々で鼻を寄せた途端。
電撃でも食らったかのような反応でジタバタしつつ距離をとるあず。
どうも鼻先でヤツを刺激してしまい、分泌液をお見舞いされたようでした。
すぐに飛びのいたせいもあり、鼻が臭くなることはありませんでしたが、苦手意識は十分に植えつけられたようで。笑
それ以降ヤツを見つけると、嫌な顔をして横目でチラ見し、足早に通り過ぎるようになりました。
この上なくヤツを忌避するのりまきが運悪く発見者となり、「ぴっ」と悲鳴を上げてリードを引っ張ると、顔を見上げて何やら得心。
小走りするのに合わせてすたこら走り出しますが、途中で楽しくなっている様子です。
心底嫌なものに遭遇すると、喉から空気が出るような悲鳴になりますね…。
今回はやはり反射で拾い食いしてしまったようですが、本人も悶絶していたので、今後は自重してくれるものと期待しています。
食べられるよりも、踏んづけた足で家じゅうを歩き回られる方が、飼い主ズの被害は大きかったのですが、精神的には食べる方が参りました。
怪しげな気配を感じては空目して二度見、「空鼻」してはクンクン、という後遺症?に今も見舞われています。
それにしても、もう絶対に鼻チューしたりできないと思っていましたが、次の日にはもうチュー復活。
ベロベロ舐められて嬉しがってしまい、我ながら「犬バカ極まれり」でした。
しばらくは「カメ・ムシ子」というあだ名で呼ばれることに…
「おーいカメムシ子」って呼ばれて、いいお顔で振り向くのはどうなの
だって何かいいことあると思うじゃん!
参考:
農研機構「マルボシヒラタヤドリバエの寄生がチャバネアオカメムシの寿命と生殖能力に及ぼす影響」
農研機構「カメムシタマゴトビコバチの2種カメムシ卵に対する産卵行動の差」
九州大学大学院生物資源環境科学府「天敵昆虫である寄生蜂の行動、生態」
日本植物防疫協会 桧垣守男『果樹カメムシ類の天敵, マルボシヒラタヤドリバエの寄生生態』
龍谷大学 農学部ブログ「カメムシの卵に寄生するハチ」
くらしのマーケット「カメムシ対策に効果的な駆除・侵入防止・悪臭対処法」
Yahoo!ニュース「【カメムシ注意報発令】殺虫スプレーは使わないで!ペットボトルでできる「カメムシ捕獲器」のつくり方」
となりのカインズ「クサギカメムシの駆除方法とは? 被害の特徴や天敵を使った対策も紹介します」
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