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『テミスの求刑』

映画・ドラマ日記
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個人的な映画・ドラマ日記です。
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画像はすべてイメージ画像です。実際の映像とは関係ありません。

作品情報

タイトル:テミスの求刑
監督:権野 元
脚本:久松 真一 香坂 隆史
原作:大門 剛明
制作:WOWOW
公開:2015年5月10日-5月31日
放送:連続ドラマW
放送時間:全4回(各54分)
ジャンル:クライムサスペンス,リーガルサスペンス,社会派ミステリー,警察
評価:★2.5 /5.0
※出演者は「登場人物」を参照

主な登場人物(出演者)

主人公

平川 星利菜(仲 里依紗)
静岡地方検察庁の検察事務官。田島検事の立会事務官。元は検察官志望。
3年前に警察官の父・章造(螢雪次朗)を殺害され、事件の担当検事だった田島(岸谷五朗)を尊敬している。

田島 亮二(岸谷 五朗)
静岡地方検察庁の三席検事。静岡地検のエース。
章造の殺害事件では、担当検事として健太郎(山根和馬)から自白を引き出した。
黒宮(佐藤二朗)殺害事件の被疑者として逮捕される。
幼い娘を持つシングルファーザー。

検察庁

滝川 要(杉本 哲太)
検事。
田島が殺人事件の被疑者となったため、後任として東京地検から異動。
被疑者の取り調べでは、無言でペンを机に打ち続けて自白を待つ。

宇佐美 亮輔(モロ 師岡)
静岡地方検察庁の次席検事。

久我 俊之(大鷹 明良)
静岡地方検察庁の検事正。静岡地検の長。

平川家

平川 章造(螢 雪次朗)
元・弥生町交番勤務の巡査部長。星利菜の父。
勤務中、何者かに撲殺される。
生前は取り調べた相手をすぐに逮捕せず、自首する猶予を与えていた。

平川 穂乃果(堀田 真由)
星利菜の妹。水谷(高岡奏輔)に好意を抱いている。

澤登家

澤登 健太郎(山根 和馬)
章造殺害容疑で逮捕され、自供し有罪判決を受ける。
服役後半年ほどで無罪を主張し始め、獄中で首吊り自殺した。

澤登 栄太郎(世良 公則・特別出演)
健太郎の父。
健太郎が逮捕されてからは自営の工場をたたみ、心労により倒れた妻の看病をしている。

その他

水谷 康介(高岡 奏輔)
静岡県警地域課巡査部長。章造(螢雪次朗)の元同僚。
星利菜たちとも旧知の仲で、章造亡き後も姉妹を気にかけてよく平川家を訪れている。
健太郎の実家である澤登家の見回りも自主的に行っている。

黒宮 和彦(佐藤 二朗)
弁護士。田島の司法修習時の同期。健太郎の弁護を担当。
健太郎の冤罪を疑い調査を始めるが、田島と接触した後、事務所で何者かに刺殺される。

深町 代言(袴田 吉彦)
東京の弁護士。
過去に田島と裁判で争い負けたことがある。黒宮殺害事件では田島の弁護を申し出る。

牧原 智也(遠藤 雄弥)
かつて章造に窃盗の現場を押さえられ、自首を促されていたが逃亡。
何者かに怯え章造殺しを告白、保護を求めて星利菜に電話をかけてくる。

あらすじ

父の殺害事件が冤罪疑惑に巻き込まれた真相に、主人公が立ち向う大門剛明のリーガルサスペンス小説をドラマ化。

第1話

検察官を目指していた平川星利菜(仲里依紗)の父・章造(螢雪次朗)が勤務中に撲殺される事件が起きた。
3年後、星利菜は章造殺しの犯人と目された澤登健太郎(山根和馬)を自白に追い込んだ、検事の田島(岸谷五朗)の元で検察事務官として働いていたが、検事室に「田島は人殺し」「絶対に許さない」という脅迫電話がかかってくる。
電話の主が健太郎の父・栄太郎(世良公則)と知り、澤登宅を訪れた星利菜は、服役中の健太郎が1年前に無実を訴え自殺したことを知る。

第2話

健太郎の冤罪を疑い、独自に調査を進めていた弁護士の黒宮(佐藤二朗)が刺殺体で発見され、現場の防犯カメラにはナイフを持ち、返り血を浴びた田島が映っていた。
田島は乗ってきた自動車を燃やし、行方不明に。被疑者として特別手配される。

田島の後任となった滝川(杉本哲太)と組んだ星利菜に、田島から連絡が入る。
頼まれた通り星利菜は地検の職員用通用口を開けたが、田島を裏切って警察に相談しており、田島は取り押さえられた。

第3話

拘束された田島の弁護を深町(袴田吉彦)、取り調べを滝川と星利菜が担当することになったが、田島は黒宮殺害について無罪を主張するものの、その他の問いには黙秘。公判が始まる。

3年前の平川事件を洗い直せと田島に言われていた星利菜は父の事件を再び調べ始め、健太郎が検事の誰かに脅され自白を強要されたことを知る。
また章造が猶予を与えた者の中で、唯一自首をしていない牧原(遠藤雄弥)という人物に行き当たる。
星利菜が接触すると牧原は共犯の存在を匂わせ、星利菜に保護を求めてきた。

あず
あず

以下はネタバレを含みます。ご了承の上、▶をクリックまたはタップしてください。

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一方、公判では弁護側の証人として水谷(高岡奏輔)が出廷。5年前、健太郎を恐喝で取り調べた際、凶器とよく似たナイフを所持していたと証言する。
さらに黒宮殺害の直後、慌てて逃げる栄太郎を目撃したという女性も現れる。

澤登宅を星利菜、滝川が訪れると、栄太郎は発見された凶器のナイフが自分の物だと認めた上で、盗まれたと説明。渡された購入時の領収書には3年前の日付が入っており、滝川は「栄太郎は犯人ではない」と断言した。
その後、星利菜は牧原と約束した静岡駅に急いだが、牧原は刺殺体となって発見される。

第4話

あず
あず

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警察には牧原と会うことは誰にも話していないと告げたが、星利菜には思い当たる人物がいた。
次の公判を控える田島から、平川事件、黒宮事件に最初に臨場したのが水谷であることを告げられ、星利菜は牧原と水谷の繋がりを突き止める。

二人きりで相対する星利菜に、水谷は牧原との関係、牧原が章造を殺害した経緯を語り、黙っていてくれるよう頼むが、自首を勧める星利菜を手にかけようとする。
水谷は待機していた警察に拘束。星利菜は後日、栄太郎に謝罪した。

寝たきりの妻を案じて真実を明かせなかった栄太郎は、妻に促されて公判に証人として出廷。
黒宮弁護士事務所の事務員を騙る何者かに呼び出され訪れたところ、黒宮は既に殺害され、そばには凶器のナイフ。
それが自分の所有するものであることに驚愕していると、黒宮に呼び出された田島が来訪。
息子と同様に嵌められると恐れた栄太郎は、揉み合いの末、田島を刺してしまう。
田島は健太郎の冤罪に責任を感じており、栄太郎を逃がして偽装工作を行ったのだった。

田島は無罪。即刻勾留を解かれた田島は星利菜とともに次席検事・宇佐美(モロ師岡)の元へ。
実は章造は、宇佐美が新人時代から世話になった恩人。否認していた健太郎が突然自白し始めたのは、宇佐美が家族を盾に脅したためだった。

半年後、時は春、栄太郎は妻と息子が眠る墓に手を合わせ、訪れた田島に穏やかな目を向ける。
田島は弁護士に転身。星利菜は再び検察官を目指す決意を固め、互いに報告して満開の桜の下、別れた。

感想

写真は静岡駅

いろいろユルい

全体的には面白く、謎や伏線も回収されており完成度も高い。
それなのに個人的評価が★2.5と低めなのは、「こんなの普通はなくない?」と随所に疑問が浮かんだからだ。

この手の警察や検察を舞台にする重厚なリーガルサスペンスで、現実と乖離する設定は視聴者の興ざめに繋がる。
検察庁の決まり事についてはよく知らないが、検事が被疑者となった場合、それまでその検事についていた事務官が取り調べに臨んだり、面会したりすることなどあるのだろうか。
また事件資料を事務官が自宅に持ち帰ったり、自分を襲った相手と取調室で2人きりで話したりするのは、検察庁でもご法度ではないのか?

主人公の星利菜の言動にも首を傾げる場面は何度かあった。
簡易宿泊所に牧原を訪ねていくシーンでは、犯罪者であり初対面の男性である牧原にいきなり強気に出る。ドアをバンバン叩きながら大声で健太郎の自殺など個人情報をベラベラ喋る(そして他の住人に注意される)。さらに自分の名刺を置いていく。

ちょいといろいろユルすぎやしませんかねえ?

水谷と会う時も、電話したのは昼間なのに、会ったのは日がとっぷりと暮れてから。それも人影のない神社ときたもんだ。
おまけに昼間と同じ膝上タイトスカートのスーツにヒールって、警戒心や危機感に顔色を変えていたのがただの演技に感じられてくる。着替える時間はたっぷりあったよね?
「女性は」と言うと主語が大きいかもしれないので、「自分は」としておくが、何をされるか分からない相手と会うのに、タイトスカートとヒールは絶対に避ける。
とりあえずワークマンの耐切創手袋は買いに行け。

検察官志望と言いつつ察しが悪いのもビミョー。
ナイフの購入時の領収書だよ!? 見るとこ1つでしょ!? アンタ公判で何を聞いてたの!?
流石に即気づいていたらしい滝川が種明かしをしてくれるまで、まさに「志村、後ろ後ろ!」の気分。説明されても「えっ…?」と怪訝な星利菜には苦笑するしかなかった。

そんなこんなで至る所にずっこけそうな場面があり、★2.5の評価となった。
いや最初は★2.0だったんだけど、記事を書くにあたり観直したら「あ、意外といいじゃない」とちょっぴり上がったまである。

あず
あず

そういや田島さん、ナイフがぶっすり刺さってたと思うけど、2週間かそこらで自然治癒するもん?

のりまき
のりまき

裏社会の人間だったら、御用達の闇医者に担ぎ込まれるシーンとか見るけどね

あず
あず

妹には長々子守させるわ凶器を家に隠すわ、とんだ大迷惑兄貴だったよね

不良は信ずるに値しない

健太郎が嵌められたのは気の毒だが、信じてもらえなかったのは自業自得といえる。
もちろん警察や検察、裁判所は人となりから犯人を決めつけるべきではないが、個人的には「信ずるに足る人間でもなかったくせに」という思いが強い。
この感情は、普段はいきがって周りに迷惑をかけている癖に、いざとなると警察に助けを求める無頼気どりに対する軽蔑と等しい。

健太郎は成人済みと思われるが、親の仕事を手伝いもせず、輩のような恰好をして下らない犯罪を繰り返している、ろくでもない人物だった模様。水谷には恐喝、章造には車上荒らしと、結構な犯罪で取り調べられている。

更生した不良に対する世間の評価は高くなりがちだが、真に評価されるべきは「最初から普通に生きている人たち」だと個人的には考える。
無論、ことが起きて信用されるべきなのも、それまで真面目に生きて周囲の信頼を得ていた人々であって、健太郎のような人間ではない。
更生すらせず世間に唾を吐いていた癖に、司法に守られようなどと片腹痛い。

そんな人間でも「身体の弱い母ちゃん」を毎日呼びつけて尋問してやると脅されれば、あっけなく陥落。頭は悪いが、根っからの悪人ではなかったのかもしれない。
だがやはり肩を持つ気にはなれない。

見る目のなさ

すべては平川章造の見る目のなさに端を発する。
すぐに逮捕せず、自首を勧めて猶予を与えるのも時にはありだと思うが、車上荒らしや空き巣にまで温情をかけるのはおかしくはないか。というか巡査長の一存で、勝手に野放しにしないでほしい。

章造自身は優しいお巡りさんで、理想を持ち続ける立派な警察官だったのだろうが、帰らせて再犯でもされたら責任はどうとるつもりだったのか。
相手を見てやらないからこんなことになるのだ。
すぐ近くで一緒に勤務していた水谷の本性も見破れないで、何が猶予だと怒りさえ覚える。

人生はやり直せない

検察官を目指していた星利菜に、章造は「人生は何度でもやり直せる、失敗は宝物」と語っていたが、薄ら笑ってしまったのはひねくれているだろうか。

罪を犯せば、その重さにもよるが刑罰によって償ったとしても、犯す前の人生や生活水準には戻れない。
世間の目は厳しく、過去がいつまでもついて回る場合もあるだろう。
間違っているとまでは思わないが、やり直すスタートラインも道程も同じにはならない。
死なない以上、やり直すことは可能というか、やり直していると言えなくもないが、それは本当にやり直しているのだろうか。
比喩だと解っていても、「心を入れ替えるなんて物理的に無理じゃん。何キレイゴト言ってんの?」と冷笑する自分がいる。

人生は試験ではない。
試験でも失敗し続けていれば、どこかで頭打ちになり、重荷になる。
たった1度の失敗でも、その後の人生に大きな影響を及ぼすこともある。
安泰と思われた大学受験を失敗して、立ち直れなかった人や、気を取り直して上を目指した筈が1年間の浪人生活で病んだ人を知っている。浪人を経て大学に合格しても、僅かな年齢差に苦しみ続ける人もいた。
長い人生の中でのたかが受験、たかが1年やそこらと言う向きもあるだろうが、その人にとっては取り返しのつかない失敗なのだ。
もちろん自分自身で克服しなければならない問題だが、他人に軽々しく「失敗は宝物」などと言われたくはない。

のりまき
のりまき

浪人はねぇ…実際は大した問題ではないんだけど、その時は生きるか死ぬかに感じる人もいる、と思うよ

のりまき
のりまき

長年嫌がらせをしてきた人が浪人決定した時、「いい気味」とはあんまり思えなくて、「自分じゃなくてよかった」って安堵の方が大きかった

のりまき
のりまき

ただでさえ辛い浪人が、「あいつは受かったのに」って思いながらだと想像したらゾッとした

イマイチな妹

田島の妹が、兄のせいで多大な迷惑を蒙りつつも笑って許し、兄への信頼を失わない一方で、星利菜の妹・穂乃果は非常~にイマイチだった。
三文安と言うのだろうか、見る目のない章造が育てただけはある、と一人納得。

一家の大黒柱を亡くした挙句、それまで住んでいた官舎も出ざるを得なかったと思われるが、検察官という夢を諦めて生活を支えている姉に対して、あまりにも感謝がなさすぎる。
高校生にもなって、いつまでも自分だけ我がままいっぱいのお気楽ぶり。

いや姉ちゃん働いてんだよ?
ソファにふんぞり返ってないで、夕食くらい作ってもバチは当たらんだろ。

そのくせ、遊びに来た水谷にはマズそうなパスタか何かをいそいそと出してくる。その分かりやすさは愛らしくもあるが、出してやる相手、間違えてるからな?

特に後半、散らかし放題にしていたのを帰宅した星利菜に注意され、逆切れしていたのには心底腹が立った。
すぐに機嫌をとるように謝ってきたのには「かわいいとこもあるじゃない」となったし、穂乃果が散らかしたお陰で、重要な章造のノートが見つかったのでよしとするが、基本的に好きになれないキャラだった。

あず
あず

星利菜も言い方キツイけど、穂乃果が一方的に悪い気がするわ

のりまき
のりまき

姉に対する思いやりや気遣いが見られないのが、かなーりマイナスポイント

よかったところ

静岡テレビ

先に書いたように、いろいろとユルそうなところはあったが、リーガルサスペンス然とした雰囲気はよかった。
黒い背景に浮かぶタイトルロゴのデザインも内容に合っていたし、エンディングテーマに歌手を使わないのも余韻を壊さない。音楽そのものも好みだった。

公判で、栄太郎の宣誓のシーンはないのに、水谷は省略せず描かれていたことも意味深で皮肉が効いていた。
目星をつけていた視聴者だけがニヤリとできる演出だろうなあと、当然ニヤリ。
刑事ドラマでは普通、真犯人を突き止めるのが目的で、判明するのは最終盤、動機とセットなのがセオリーだと思われるが、本作ではかなり早くから匂わせが始まり、第3話の最後に犯人が明かされる。
星利菜との怒鳴り合いは、個人的には今さらというか安っぽく感じてしまったが、第4話で動機から後日談まできっちり回収されているのはすっきりした。

最もよかったシーンとしては、宇佐美(モロ師岡)が恨み骨髄といった様子で、相手の短髪を無理くり引っつかんで呪詛の如く脅しつけるのが、いちばんの山場だったかもしれない。状況を考えたら不謹慎だが「いいぞぉモロさん」とワクワク。

細かいところを気にしなければ、大がかりな展開にハラハラできるし、散りばめられたパーツがカチカチと嵌まるような感覚は気持ちがよい。
登場人物もそれぞれキャラが際立っており、滝川の高速ペントントンと我関せず串カツ屋はよかったし、世良公則が演じる栄太郎ははまり役だったと思う。

あず
あず

世良公則って昭和の優しい夫役がホントに似合うよね

のりまき
のりまき

グレーのスウェット着て奥さんにおかゆ食べさせるとことかね

相方
相方

実生活でもすごい愛妻家らしいよ