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『ターミネーター:ニュー・フェイト』吹替版

映画・ドラマ日記
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個人的な映画・ドラマ日記です。
「ジャンル」は鑑賞媒体によるもの、もしくは独断により分類しました。
「評価」は自分のお気に入り度です。
「▶あらすじ続き」「▶感想」にはネタバレを含みますので、非表示にしています。ご了承の上、クリックまたはタップしてお読みください。
画像はすべてイメージ画像です。実際の映像とは関係ありません。
「ターミネーター」は略して「T」と表記している箇所もあります。

作品情報

タイトル:ターミネーター:ニュー・フェイト
監督:ティム・ミラー
脚本:デヴィッド・S・ゴイヤー/ジャスティン・ロードス/ビリー・レイ
製作総指揮:ジェームズ・キャメロン
公開:2019年11月8日(日本)
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
上映時間:129分
ジャンル:アクション,SF
評価:★★★★☆
※出演者は「登場人物」を参照

登場人物(出演者)

主人公1

サラ・コナー(リンダ・ハミルトン)
1998年に息子のジョンとともにグアテマラのビーチに滞在していたところをT-800に襲撃され、目の前でジョンを殺害される。
酒浸りの日々を送っていたが、ターミネーターの出現時間と場所を匿名のメールにより教えられ、独りでターミネーター狩りを続けていた。
自らと同じ運命を背負うことになったダニーを守るため、新たな戦いへ身を投じる。

主人公2

T-800 / カール(アーノルド・シュワルツェネッガー)
スカイネットによって造られた人間抹殺用のアンドロイド「ターミネーター」のモデルの1つ。動力源の寿命は約120年、体重は180㎏。
ジョン抹殺のため過去に送られ、目的は達成したもののスカイネットが消滅、元いた未来がなくなってしまい過去の時代に取り残される。
2020年時点ではテキサス州の森の中に居を構え「カーテン屋の主人カール」として暮らしていた。夫に虐待されていた女性とその息子を救い、彼らと家族として暮らしてきたことで愛情を学習し、ジョン殺害に対して後悔の念を抱くようになった。
実は匿名でサラに「ジョンのために」とターミネーターの出現時間と場所を知らせるメールを送り続けていたのはカールであり、サラやダニーと共に闘いに参加する。

本作の主人公

ダニー・ラモス(ナタリア・レイエス)
2020年のメキシコに暮らす若い女性。
自動車組立工場で働いていたが、Rev-9に命を狙われサラ、グレースと共に逃亡生活を送ることになる。
サラには「リージョンに抗う人類抵抗軍を率いる指導者の母親」と推測されたが、彼女自身が指導者になる未来が待っている。

グレース(マッケンジー・デイヴィス)
「スカイネットが存在しない未来世界」から送り込まれた人類抵抗軍の女性兵士。
2020年時点ではアメリカで暮らす普通の少女だったが、リージョンの反乱による混乱の過程で家族とはぐれ、未来のダニーに助けられる。
それ以来彼女を守るために兵士として尽くし、志願して強化手術を受け、生身でもターミネーターと渡り合う戦闘能力を持つ。

ターミネーター

Rev-9(ガブリエル・ルナ)
「スカイネットの存在が抹消された未来」において、人類に反逆したAI「リージョン」が開発したターミネーター「REVシリーズ」の2042年時点での最新型。
液体金属を用いた擬態能力を備え、作中ではダニーの父親などに擬態している。
武器は内蔵していないが、本体から外皮を分離して独自の行動をとらせることが可能になっている。
また外部のコンピューターに液体金属を接触させることでハッキングを行い、情報を操作することもできる。
軽量のため俊敏性が高いが、重量のあるT-800に力負けする場面も見られた。
総合的にはサラ、強化人間のグレース、T-800の3名を同時に相手にして互角以上に渡り合える戦闘能力を持つ。

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あらすじ

2020年、メキシコに住むダニーが、弟のディエゴと共に勤務先の工場に出勤すると、彼らの父に擬態したRev-9が現れ襲われる。
駆けつけたグレースに助けられ3人で逃亡を図るが、Rev-9の執拗な追跡によるカーチェイスの最中にディエゴが致命傷を負い死亡する。

分裂したRev-9により絶体絶命に陥ったダニーとグレースはサラに救われるも、あくまでダニーを守ることが最優先のグレースはサラを置き去りに。
グレースが強化の副作用で意識不明となったところへサラが現れ、隠れ家で治療し、共に逃げる中で情報を共有した。

サラは「スカイネット」の出現を防いだこと、ジョンの死、そして匿名で送られてくるメールの情報通りに現れるターミネーターを狩り続け、今回のグレースの出現もそのメールで知ったことなどを明かす。
グレースは自分がダニーを守るため送り込まれた強化人間であること、自分の未来では「リージョン」が人類と戦っていることを2人に伝える。

グレースが教えられていた協力者と、サラへのメールの送信者が同じであることを知り、3人はダニーの叔父の協力を得て国境を越え、アメリカはテキサス州に向かった。
そこで「カール」と名乗る、かつてジョンを殺害したT-800と出会い、サラは激しい憎悪を抑えきれない。だが3人ではどうにもならず、カールと共闘することに。

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あらすじ続き

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ダニーを危険に晒したくないグレースの反対を押し切り、カールらはダニーを囮としてRev-9をキル・ボックス(罠箱)に誘い出すことにした。
彼らは旧知である米軍少佐と接触し、Rev-9を破壊できるEMP兵器を入手するが、Rev-9にヘリコプターで強襲され、EMP兵器を破壊されてしまう。

輸送機で上空へと逃れ、なおも立ち向かおうとするダニーに、グレースは「抵抗軍の指導者になるのはダニー自身」であり、「リージョンの反乱によって孤児となった自分を助けてくれたのもダニーである」と真実を明かす。
その直後、空中給油機を奪取したRev-9に追いつかれ、衝突の末、輸送機はダムに墜落した。

墜落直前に脱出したダニーらは、逃れた水力発電所のタービン室をキル・ボックス(罠箱)にすることにするも、Rev-9との戦闘でグレースは重傷を負い、T-800も機能を停止。
グレースは自らの動力源「パワーパック」を最後の武器として用いることを提案し、拒絶するダニーを説き伏せてパックを摘出させ息絶える。

だが結局Rev-9の破壊には至らず、怒り狂ったダニーの突撃も虚しく再び絶体絶命に陥る。
再起動したT-800の助力でダニーはRev-9の頭蓋骨格にパワーパックを突き刺し、T-800はRev-9を引きずり発電所のピットへと落下。「ジョンのために」と言い残し互いに機能を停止する。

生き延びたダニーとサラは、幸せに家族と共に過ごす少女時代のグレースを密かに見に行き、来るべき未来に備えようと車を走らせた。

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感想

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評価と興行収入

アメリカの映画評論サイト「Rotten Tomatoes」には300以上のレビューがあり、支持率は70%でその平均評価は6.2/10。観客満足度は82%と決して悪くはない。

Amazon japanのカスタマーレビューは10,586 件、平均星4を獲得している。
うち星4以上が70%を占め、最低評価の星1はわずか4%。『ターミネーター』シリーズの熱心なファンからすると許しがたい駄作だった模様。

製作費は1億8500万ドル。広告宣伝費等を加味すると、損益分岐点は約4億8000万ドルと見られていたが、世界興行収入は最終的に2億6100万ドルにとどまっている。
評価では劣るシリーズ5作目『ターミネーター:新起動/ジェニシス』(2015年公開)の4億4000万ドルに遠く及ばない。
そのせいで公開半年後、グレース役のマッケンジー・デイヴィスは続編についての質問に「本作は観客にあまり求められていなかったと思う。私達は観客が何を求めているのかよく考えるべき」と語っている。

日本では全国映画動員ランキングで2週連続1位を獲得し、累計興行収入は23億5000万円となっている。

いち作品としては面白い

あまり監督の名前を覚えないし、監督で観る映画を選ばないが、ジェームズ・キャメロン作品は感情の流れが日本人的に無理がないというか、受け入れやすいので結構好き。

本作は1991年公開『T2』の続編という位置づけのようだが、「たぶんテレビか何かで観たかもしれないけどよく覚えてない」レベルなので、いち作品として鑑賞した。
サラ・コナーはやっぱり戸田恵子さんの声で観たかったので吹替版を選択。
『ターミネーター』マニアというほどではないが、「おっ、『ターミネーター』の新作!? 観よう観よう!」という程度のファンには非常に面白い作品だった。

細かいところでの違和感はあるものの、そこはド派手なアクションで押していく。
ドーン!バーン!ドカーン!シュワルツェネッガー!
そこへ加わるAI要素。そしてさすがの映像加工。
カーチェイスから肉弾戦、ついには輸送機から四輪駆動車での脱出という、見るからにお金のかかったアクションには大満足。
…もうね、そんなに小難しいこといらなくない?

28年ぶりに復活

サラが登場した時の印象は、失礼ながら隔世の感があった。
(実際は「サラ・コナー老けたなあぁぁ!」と目を見開いてしまったが、このご時世あまり大きな声では言えない)
それもその筈、演じるリンダ・ハミルトンは1984年『T1』、1991年『T2』に出演後、本作で28年ぶりに復活。
シュワルツェネッガーとは23年越しの再会とのこと。

記事のために調べたら2024年2月現在67歳。
えっ、予想よりも高齢でいらっしゃる…。
作中では動きも俊敏でカッコよく、もっとお若いかと思っていた。
出演依頼に6週間ほど熟考する時間をもらった上、トレーニングを積み撮影に臨んだそうで、現場では腕立て伏せや懸垂を披露してシュワルツェネッガーを驚かせたという。

余談ながら彼女はキャメロン監督と1997年から1999年の間、婚姻関係にあり、一女をもうけている。

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“イケオジ”シュワちゃん

アウトドア好きが喜びそうなテキサスの森の中の素敵なおうちから現れたシュワルツェネッガー。
往年時よりは筋肉が落ちた印象で、裸体を見せることはなかったが、圧倒的な存在感は健在。
白髪混じりの髭がまたいい感じのイケオジに仕上がっていた。

設定としては体重180㎏のアンドロイドなので「木造の床が抜けるんじゃないか?」「妻と息子は騙しとおせないだろ?」などなど疑問が浮かんだが、「妻と肉体関係はない」とキッパリ。
思わず「下世話な疑問に直球で答えをくれてありがとう…」と呟いてしまった。

キャメロン監督は、2022年にはシュワルツェネッガーの復帰は間違いだった、本作を過大評価しすぎだったことを認めている。
どういう意味かは分からないが、個人的には別に悪くはなかったと思う。
興行収入的には失敗と言わざるを得ないし、わざわざ映画館に観に行くかと言われれば行かないけど、それは『鬼滅の刃』でも同じだからさ…。

Rev-9はチート

最新型のターミネーターとはいえ、擬態のみならず何のデメリットもなく分身の術が使えるのはずるいし、ハッキングして情報操作できるのもひどい。
おまけに直接的な戦闘能力も並外れており、ダニー側が束になってかかっても本当は勝てないのでは?という、存在自体がおかしいほどチートな最新型。
それでも最後にはやられてしまうのは主人公補正と言えるだろうか。それくらい完璧に強い。

作中では終始、当然だが無表情。
ニコリともしない中年男性はあまりにも華がない。
演じたガブリエル・ルナという俳優さんは、テキサス州出身のメキシコ系アメリカ人。Wiki掲載の近影では人懐こい素敵な笑顔なので、設定をグレース役のマッケンジー・デイヴィスと逆にすればよかったのにと妄想。

ガブリエルが未来のダニーの恋人で、彼女を守るために強化人間となり、過去に戻る。
Rev-9はクールビューティのマッケンジー。特に黒い液体金属が顔の半分を覆うところとか映えそうだわー。
パワーパックを外させる時に「僕は強化人間にならなければ大怪我で死ぬ運命だった。だから君を守るために命を捧げると決めたんだよ」と説得。満足そうに笑う。
…うん、これ、よくないか?『T1』のカイルを彷彿とさせるが、個々人で賛否は分かれそう。

ちなみに見応えあるアクションシーンは数あれど、Rev-9がタービンに擦りに擦られて火花が散りまくるところは圧巻。

舞台はメキシコ

最近の映画はポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)に配慮してか、多様な人が出演傾向にある。
中には無理やり感が過ぎて不自然極まりない作品も見受けられるが、本作はバランスがとれていたように感じた。

『ターミネーター』といえば高速道路。舞台はアメリカと思っていたので、いきなりメキシコの風景、メキシカンの若い女性がヒロインということに最初は驚いたものの、すぐに作品に引き込まれた。
メキシコからテキサスに向かうのも違和感がなく、却って国境警備隊に捕まったりと楽しめた。
『T3』でサラが荼毘に付されたのもメキシコだったが、その辺りを踏まえての設定だろうか?

ダニーを演じたナタリア・レジェスは、実際はメキシコではなくコロンビアの女優で、2019年公開のニコラス・ケイジら主演『Running with the Devil』(日本では未公開)に出演している。

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大いなる勘違い

『ターミネーター』=シュワルツェネッガーというイメージしかないライトファンな上、『ターミネーター』自体、鑑賞するのが久々だったため、完全にシリーズのコンセプトを忘れていた。

そもそもT-800は量産されたアンドロイドであり、どれもシュワルツェネッガーが演じてはいても、作品ごとに違うT-800であることを失念していた。
カール(T-800)がRev-9と刺し違えて機能停止したラストでさえ「これで『ターミネーター』シリーズは終わりか!?」と焦ったほどだった。

自分の勘違いはさておき、シュワルツェネッガーとリンダ・ハミルトンのアクション&共演は、年齢的に今後は難しいのではと思われる。
もしかしたら本作で最後になるかもしれない。
それならダニーではなくジョンを採用して、コナー親子&T-800の共闘が観たかった気もする。

『ターミネーター』シリーズの今後

『ターミネーター』新作については、キャメロン監督が、2023年5月、米国ラスベガスで開催された「Dell Technologies World 2023」にゲストとして出席した際、『ターミネーター』の新作の脚本を執筆していると明かしている。

だがキャメロン監督はすでに多くのプロジェクトを抱えている。
『アバター』は2031年公開予定の5作目まで製作が決定しており、最新作の『ターミネーター:ニュー・フェイト』が振るわなかった今、『ターミネーター』シリーズの打ち切りも囁かれている。

できればサラではなく、もう一度シュワルツェネッガーの、痺れるような渋い重低音の「I’ll be back.」が聞きたい。てかさ。
『エイリアン』の新作が出るのなら『ターミネーター』の新作も出してよ!!!
(製作側にはあんまり関係ないだろうけど、日本での興行収入は『エイリアン:コヴェナント』8億2599万円、『ターミネーター:ニュー・フェイト』23億5000万円)

参考:
東洋経済ONLINE 「ターミネーター最新作」が世界中でコケた理由
THE RIVER「ジェームズ・キャメロン、『ターミネーター』新作の脚本を執筆開始か」
Wikipedia