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作品情報
タイトル:リターン・ザ・ギフト
監督:大山 晃一郎
脚本:三浦 毎生
原作:法月 綸太郎
公開:2026年4月24日
配信:Hulu
放送時間:54分
ジャンル:サスペンス,ミステリ,警察
個人的評価:★3.0/5.0
※出演者は「登場人物」を参照
主な登場人物(出演者)
法月 綸太郎(矢本 悠馬)
小説家。父・貞雄と2人暮らしで家事を担当。
貞雄が担当する難事件に首を突っ込み、解決に導く。
法月 貞雄(田辺 誠一)
警視庁捜査一課・警視。綸太郎の父。
守秘義務を理由に渋りつつも事件の詳細を綸太郎に漏らす。
沢田 穂波(井桁 弘恵)
図書館司書。
綸太郎らが事件解決のため協力を仰ぐ。綸太郎とは以前からの知り合い?
新宮 和也(戸塚 祥太) ※「新宮」読みは「しんぐう」
OA機器会社のセールス。40歳。
殺人未遂の現行犯で逮捕される。
武藤 誉子(寺本 莉緒) ※「誉子」読みは「たかこ」
売れっ子のホステス。27歳。
和也の被害者。個人輸入雑貨の店という夢のため貯蓄に励む。
武藤 浩二(柾木 玲弥)
無職。誉子の異母弟。
昨年の夏に勤めていた会社が倒産し、たちの悪い借金もある。
誉子には金絡みでたびたび迷惑をかけている。
新宮 妙子(富永 沙織)
和也の妻。37歳。
昨年9月末の事故で右半身不随に。多額の示談金と保険金を手にする。
長澤 晴代(櫻井 淳子)
新宮家に通っていた派遣ヘルパー。
妙子殺しの犯人は和也だと譲らない。
解説
動画配信サービス・Huluが「ミステリーシネマ」と銘打つ1話完結型の本格ミステリードラマ。
第1弾として有栖川有栖、法月綸太郎、麻耶雄嵩の人気短篇小説3作を実写映像化し、4月17日(金)より毎週1作品ずつ、3週連続で独占配信。
『リターン・ザ・ギフト』は4月24日(金)に配信が開始。
原作は1999年に発表され、2017年刊行の『名探偵傑作短篇集 法月綸太郎篇』(講談社文庫)にも収録されている同名小説。
原作は未読。
あらすじ

神楽坂のマンションで、帰宅したホステスの武藤誉子(寺本莉緒)が襲われる事件が発生した。
殺人未遂の現行犯で逮捕された新宮和也(戸塚祥太)は、「たまたま居酒屋で出会った男に交換殺人を持ちかけられ、脅されて犯行に及んだ」と自供。
事件の10日前には和也の妻・妙子(富永沙織)が自宅で何者かに殺害されており、誉子の異母弟・浩二(柾木玲弥)が容疑者として浮かぶ。
小説家の法月綸太郎(矢本悠馬)は父・貞雄から情報を聞きだし、独自に調査を開始。
浩二が殺人計画の参考に借りたと思われる3冊の文庫本から、単純な「脅迫による交換殺人」に疑問を抱く。

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下手をすると命の危険もある高所のベランダから和也が飛び降りたことに引っかかる綸太郎。
夫婦仲は冷え切っており、和也には妙子に死んでほしい理由があるが、妙子が殺害された後では誉子よりも脅してくる浩二の方が邪魔になると考える。
和也が妙子を殺害していないのは明白なので、協力者がいる筈。
姿をくらましたままの浩二は、本当は真の協力者に殺されているのではないか?
互いに初対面だと証言していた和也と誉子は、本当は事件の半年前に知り合っており、事件当時は不倫関係にあった。
2人の関係、さらに妙子の示談金額まで調べ上げていた浩二に脅され、暴力をふるわれる誉子を庇おうと和也は浩二を撲殺してしまう。
2人は交換殺人を偽装するため、和也の出張時に誉子が妙子を殺害。
10日後、和也は再会を約束して誉子のマンションのベランダから飛び降りた。
すべては真実の愛のため。
男は深く反省して罪を償う、女は男を許し更生のために尽くす。
誰にも勘繰られない、完全に自然かつ潔白な出会いを作り出すためだった。
事件の時系列
偽りの時系列
- 4月20日和也と浩二が居酒屋で出会う
和也がトイレに立った際、名刺を抜き取られたと思われる
- 4月25日浩二が図書館で本を借りる
- 5月9日浩二が和也をカラオケ店に呼び出す
妙子の財産、誉子の貯金を目当てにした交換殺人を持ちかけられる
和也の自宅の鍵を抜き取られたと思われる - 5月20日八王子の自宅で妙子が絞殺される
和也は仙台市に出張中
凶器は浩二の指紋がついた延長コード
誉子の自宅の鍵が和也の机の引き出しに入っていた - 5月29日和也が誉子を襲う
ベランダから飛び降り、足を負傷して動けなくなり確保される
本当の時系列

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- 昨年9月末以降和也が社内の不倫相手と別れる
- 昨年10月以降和也と誉子が知り合う
輸入雑貨店を開きたい誉子に、店の常連客が和也を紹介する
当初はメールのやりとりのみ - 昨年の暮れ和也と誉子を引き合わせた常連客が死去
葬儀で初めて顔を合わせ、関係が深まる
- 4月24日誉子の誕生日
誉子の誕生日を和也と祝っているところに浩二が現れる
浩二を和也が撲殺、あきる野の山中に埋める - 4月25日誉子が図書館で本を借りる
帽子、マスク、サングラス、レインコートで変装
図書館に掲示された海外ECサイトのポスターを熱心に眺めていた姿を司書が記憶
借りた本に浩二の指紋はなし - 4月25日浩二が歯科の予約をすっぽかす
歯科医院は図書館の目と鼻の先にある
痛みがある状態だったと歯科医院のスタッフが証言 - 5月20日誉子が妙子を絞殺
和也は仙台市に出張中
凶器は浩二の指紋がついた延長コード - 5月29日和也が誉子を襲う体を装う
ベランダから飛び降り、足を負傷して動けなくなり確保される

どっちにしても救いがないね

浩二は最初から最後までクズだけどね
感想

ヨメかムコか
冒頭でいきなり、ランニング姿でアイロンをかけている田辺誠一に、思わず飲んでいたお茶を噴きそうになった。「ミステリーシネマ」と聞いてたけど、そういうノリ?
さらに少々ロマンティックめな花柄のエプロンをつけた綸太郎が登場して、むせた。
「おと~ぉさん♥」と呼びかける口調がまた独特で、まるで義父に対するお嫁さんのよう。
いや、男だから娘婿になるのか?
綸太郎役の矢本悠馬という俳優さんは、代表作を軒並み観ていないので今まで知らなかったが、一気見を楽しみにしている映画『ゴールデンカムイ』の白石役と聞き、「あれが?ハゲになったの?」と戦々恐々。
顔の感じは似ている…のか?あの「おと~ぉさん♥」から想像するに、ハマりすぎてそうでちょっと怖い。
綸太郎は前髪が長め、茶色っぽいウェーブヘアなので、どんなハゲ白石に仕上がっているのか、『ゴールデンカムイ』がますます楽しみ。

若く見えたけど35歳の既婚者だそう(2026年5月現在)

2003年に子役でデビュー、2011年から本格的に活動を始め、多数の作品にご出演です
初期推理

登場人物が少ないので、土壇場で視聴者の知らない犯人を出すような禁じ手がないのなら、怪しいのはヘルパーの晴代(櫻井淳子)と最初は思っていた。
だって知名度も高いベテラン女優を単なる目撃者や証言者には使わなさそうじゃない?
しつこく和也の犯行を主張していたし、逆張りなのかとも思った。
実は晴代と和也(戸塚祥太)が歳の差不倫、もしくは晴代が一方的に思いを寄せており、老いらく(というほどでもないが)の恋に狂った晴代が、和也との結婚+妙子のお金を目当てに妙子を殺害という寸法かなと。
誉子を襲わせたのは二股をかけられており、カムフラージュと腹いせのため、とか?
もしくは、恋愛は関係ないが和也のアリバイを確保することで、後で和也を脅して分け前をぶんどる算段で、単にカムフラージュのため誉子を襲うよう指示したとも考えた。
晴代はメイクのせいかわりと老けて見えたので、「流石に年齢差がありすぎかなあ」と推理に迷いが出たが、20代後半~30代前半くらいに見えた和也は40歳との設定。
歳の差はあれど、最近はそれほど珍しくもない程度なので、案外この推理はありだったかも?
ちなみに配役の俳優は、櫻井淳子53歳、戸塚祥太39歳だった(2026年5月現在)。
上司に言え

守秘義務を盾に捜査協力を拒む司書・穂波(井桁弘恵)だが、窓口の若いスタッフの一存で突っぱねるのはいかがなものか?
普通は上司の判断を仰ぐものじゃない?
貞雄たちも断固拒否されて引き下がっているし、いやこの人がダメなら上司にねじ込めよ。
殺人が絡んだ事件なのに、のんびりしてるなあ。
イライラしていると、綸太郎が搦め手から聞き出していて、直情型の自分を反省。
というか。まあ最初からすんなり協力してもらってたら、綸太郎の出番がないもんね。
余談だが、令状を取って再訪した際の穂波の服装は、赤白のボーダーシャツにデニムのオーバーオール。その上に後ろで紐を結ぶタイプのエプロンを重ねていたが、トイレが大変じゃない?
それにオーバーオールは肩も凝るし足さばきが悪い。動き回る上にしゃがむ動作の多い司書には向いていないんじゃないかな。

可もなく不可もない青い安物エプロン、同じのバイト時代につけてたわ

自分もバイト先で支給されたわ~
身内は厄介
最初から誉子は弟・浩二(柾木玲弥)に嫌悪感丸出しで、わけあり臭がプンプン。
勝手に保証人にされる、誉子が勤務する店から無断で借金される、誉子本人も金の無心に来られる、のフルコンボで、そりゃうんざり通り越して殺意がわきそう。
ただ浩二が誉子を殺す動機が薄いのよね。
いくら売れっ子ホステスでも、貯金を奪うために殺すのは割が合わなくない?生かしといて長く引っ張る方がよくない?と思ったが「一千万や二千万ではきかない」で納得。
もちろんかなりの大金ではあるが、一生の安泰が約束されるほどの額ではない。だがクズならその程度でもあっさり姉を殺す方向にいくのだろう。
誉子本人は将来の夢があって、真面目に働いて貯蓄に励んでいただけに、自分ではどうしようもできない身内がいると人生がハードモードになるなと、大いに同情した。
かわいい小道具
法月家には、さほどそそられるものはなかったが、誉子のお誕生会は大人っぽくキラキラしていてかわいい。
特にインコが立体的になったマグカップは気になった。インコ飼いには絶対刺さる。というかインコ界隈では既に有名な商品かもしれない。

暗がりでチラッと見えただけなので確証はないが、便器のカレー皿で有名なサンアートのペアカップではないかと思う。
同じシリーズで黒猫と白猫のペアカップもあったが、犬はないようだった。

猫があるなら買えば?猫グッズ好きでしょ?

ほしいけどマグカップはたくさんあるし、今はラブラドールグッズが優先かな

…愛だねえ…
冷えひえピザ

綸太郎が事件の詳細を聞き出すために、風呂上りの貞雄に差し出したマルゲリータ風ピザは、おいしくなさそうだった。
素っ気ない白い平皿に、いかにもレンチンしました風に載せられたピザは、貞雄が持ち上げても形が崩れず、湯気はもちろんチーズも伸びない。
貞雄も「アツアツをホフホフ」という体ではなく、普通に口に運んでいるのを見ても、冷めているのが判る。
そんなピザを貢ぎ物にされてもなあ、と田辺誠一が釣られている演技をしているのを空々しく眺めた。
たかが冷めたピザで、作品から冷めて無表情になってしまう瞬間があったのは残念だった。シズル感って大事。
ただ和也と浩二が会っている居酒屋の再現シーンの奥に、ピザを前にした綸太郎と貞雄が実際に店内にいるかのように座っている演出はよかった。

ラスト、誉子のお部屋でも、誉子たちの後ろに綸太郎が座っていたね

何だかピザが食べたくなってきちゃった
ダブル交換殺人

「当然、絶対、この通りではいかないんでしょ?」と言わんばかりの和也&浩二の交換殺人をなぞるように真の交換殺人が存在しているのはセオリー通り。
登場人物が限られているのでまったく複雑ではないが、中盤で司書に綸太郎が言葉で説明している間、図式が出てきたのは解りやすくてとても親切。
ただ普通に端正な顔立ちの俳優とばかり思っていた戸塚祥太が、A.B.C-Zのメンバーだと知った後では、あのキスシーンにはちょっとびっくり。
あ、アイドルなのにちゃんとやるんだ。
A.B.C-ZだとSASUKE常連の塚田僚一と、ドッキリGPの河合郁人(元メンバー)しか知らなかったが、こんな人もいたのかと、何だか馴染みの人の交友関係を知れたような嬉しさがあった。

見てる番組かたよってない?

異論は認める
ダメンズ和也

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地味だが真面目で誠実そうな影のあるイケメン面と、自己犠牲を厭わない誉子へのひたむきな愛ときて騙されかけたが、ちょっと待て。
誉子とも不倫だが、その直前にも社内不倫をしている。 スパン短くない?
おまけにリストラ寸前ときたもんだ。 いいとこなくない?
作中では妻の妙子が示談金や保険金を夫に一切触らせず、ヒステリックに和也を責めるシーンが何度か出てきたが、半身不随の八つ当たりが入っていたとしても妙子だけが悪いとは思えない。
こんな夫なら当然の仕打ち…とまではいかなくとも、和也にあまり同情はできなかった。
浩二の殺害については、正当防衛は無理としてもそこまでの罪にはならなかったのではと思われるが、死体を遺棄した挙句、妙子まで殺しちゃったらもう救いようがない。
浩二の件を公にすれば不倫が露見し、2人とも慰謝料を取られて離婚にはなっていたと思うが、それでも計画的な殺人犯と共犯になるよりは、まだましだったのではないだろうか。
誉子の貯金はたっぷりあるのだから、そこから再出発すればよかったのに。
誉子もろくでもない弟に寄生されつつ頑張っていたのに、違う方向でろくでもない男をつかんじゃったんだな。
まとめ

ミステリーシネマ第1弾の3作のうち「どーれーにーしようかな♪」と、申し訳ないが出演陣を田辺誠一(と櫻井淳子)以外知らず、いちばん軽く観られそうな本作にしたのだが、軽いは軽いがよい意味で軽く、塩味のスナック菓子のようなサクサク感。
「あ、この新作スナックいけるじゃん」みたいな。
少々あっさりしすぎという気もしたが、主人公・綸太郎役の矢本悠馬の親しみやすいビジュアルや、飄々とした綸太郎像とマッチしてもおり、楽しく鑑賞させてもらった。
謎解きも難解ではないが、程よく視聴者に考えさせてくれる。
真実という名のどんでん返しは、意外性も説得力もそこそこだが、ラジオ体操のように模範的できちんとまとまっている。
がっつり2時間超の映画は重すぎるという時に、1時間の1話完結型ミステリードラマは、観る敷居が大幅に下がり、とてもありがたい。
ドラマ自体もライトな感じでサクッと観られるし、個人的には好き。オススメ。

グロくない程度に絞殺シーンなどもちゃんとあって、サスペンス欲も満たしてくれます♥

Huluオリジナルっていうのも何かいいよね♥

