本記事中にはセンシティブな表現があります。ご注意ください。
基本的には個々人の自由

私は俗に「犬垢」と呼ばれるSNSアカウントを持っており、今は自分が疲れない程度の距離を保ちながら、他の方々の投稿を楽しませてもらっています。
自分が投稿する際にも、わんこ写真には趣味を兼ねて、自分が見て楽しい、かわいいと思う装飾や加工を施しています。
犬飼いの中には、介護中・闘病中の愛犬の様子や、亡くなった愛犬の遺体を投稿する方もいらっしゃいます。
私にはペット介護の経験がなく、正直、自分の愛犬の将来を見るようで苦しくなりますが、飼い主さんへの労わりの気持ちの方が強いですし、「これも誰かの役に立つんだろうな」とも思います。
普段は相互フォローの方の投稿を拝見することがほとんどで、目を背けたくなるような画像がタイムラインに表示されにくくなっていることもありますが、投稿は基本的に個人の裁量に委ねられており、問題があれば運営側が対処するものと考えているので、例え自分にとって苦手・不快であっても、投稿主に物申すことはありません。
ただ個人的には、あまりに直接的な画像は、投稿するなとは言わないまでも、何らかの対処が必要ではないかと思っています。

心ない批判に晒されないためにも、自衛するのは大切だと思う

相手に非があるからって何でも言っていいわけじゃないんだけど、顔が見えないとどうしてもね…
一般の方と犬飼いの温度差

愛犬を「投稿する」というより「晒している」と、批判されている飼い主さんを見かけたことがあります。
X(旧Twitter)の場合、リプライはフォロワーさんたちの心配や励まし、お悔やみ等の優しい言葉、引用RP(リポスト)で批判や非難が目立つ傾向にあるようです。
批判している方たちの意見を大別すると
- 飼い主の承認欲求により、犬が利用されている
- 犬とはいえ、普通は家族の遺体など投稿しない
- 気持ちが悪いので、そのまま投稿しないでほしい
1について

「頑張っている自分」「精一杯やった自分」を誰かに認めてほしい、共感を得たいという思いは、多少はあるかもしれませんが、同じ犬飼いとして「承認欲求のために愛犬を利用」というのは違うんじゃないかなとは思います。
SNSにおいて、犬を使って注目を集めることが最大の目的なのであれば、もっと違うやり方があります。
身も蓋もありませんが、被写体としては愛らしい子犬の方が断然人気です。わざわざ老いた犬や亡くなった犬を利用する意味は薄いのです。
愛犬が亡くなったポストには、「いいね」やリプライがつきやすい傾向にはありますが、それも犬界隈に限られ、一時的なものです。
愛犬を大切に思うからこそ、飼い主さんもつらい介護をやり遂げ、最期を看取っていらっしゃいます。犬を承認欲求のために利用しているだけなら、なかなかできないことではないでしょうか。
2について

この意見はわりとよく見かけます。
昨今は、他人はもちろん、自身のお子さんの写真を投稿するにも神経を遣って然るべき、という風潮なので、遺体などに限らず「個人情報が洩れそうなペットの画像や動画」そのものが疑問視されたり、極端なところでは「ペットの人権(?)を無視している」という声もあるようです。
犬界隈では、愛犬が亡くなった報告とともに画像をアップする場合には、①骨箱や生前の写真が飾られた祭壇、②亡くなった直後の遺体、③元気だった頃の写真や動画、のいずれかが一般的です。
①②はお花やおやつがいっぱいで、飼い主さんの深い愛情を感じる画像なので、私自身はあまり違和感や嫌悪感はありませんでした。
犬猫も家族という意識はあるのですが、確かに人間の家族に対しては絶対にしないので、言われてみると不思議です。

うーん、でもさぁ、ちょっとズレてるかもだけど、ペットって飼ってる人には家族だけど、法律上は未だにモノ扱いでしょ?そのへんの違いみたいなのと似てる感じ?逆に?

そういや「あずはのりまきの犬」とかよく言ってるけど、どこかで所有物(というと何か抵抗あるけど)みたいな感覚あるのかなぁ
3について
これは最も頷ける意見でした。
「犬がいる初めての夜-トイレ編-その①」で書いていますが、のりまき家では排泄物や不妊手術などのデリケートな話は、他のどなたかの耳に入らないように注意しています。
どのような姿であっても、飼い主さんにとっては愛おしい存在であることは理解できますが、「他者にとってはそうではないこともある」という意識は持っておいた方がよいと個人的には考えています。
こちらについては次項で詳しく書いています。
投稿は望まない人も目にする

SNSの「おすすめ」などで自動的に表示される投稿に、ぎょっとしたことが私も何度かあります。
病み衰えて骨と皮ばかりになった犬や、原形をとどめない病理部分が大写しになった犬の姿が、望むと望まざるとに関わらず、いきなり目に飛び込んでくるのは、犬好きであっても無理でした。
「かわいそうで見ていられない」という同情、「うちの子もああなってしまうんだろうか」という不安や恐怖、そして申し訳ないけれど「気持ち悪い」という感覚もありました。
その犬の存在が気持ち悪いわけではないのですが、一般的なイメージとしての「犬」から大きくかけ離れた姿や、あまりに生々しい傷口や病理部分に対して、生理的な嫌悪を覚えてしまうのです。
それがまったく知らない犬であるなら、なおさらです。
ショックを受け、よく眠れないこともありました。
その後は、そんな画像を何の加工も設定もせずに投稿した飼い主に対する怒りが湧きました。
嫌悪、動揺、不安、恐怖といった負の感情から自分を守るために、それらを怒りに変換したのかもしれません。
投稿主を批判する人たちの中には、意図せずに表示された人もいて、たぶん、いきなり惨いものを見せられて、心が傷ついたのではないでしょうか。
受け入れられない人にとっては、グロ画像になってしまう可能性も考慮した上で、自分も愛犬が年老いた時には投稿の仕方を考えようと思いました。
ただ、汚い言葉やきつい言い方で飼い主さんを責めるのはやめてあげてほしいし、誹謗中傷や揶揄などは許されないことだと思います。
また、一つひとつの批判ポストの内容はそこまでではなくても、数が集まれば大きな暴力となります。
「RP(リポスト)や引用RPだから大丈夫」にはなりません。
怒りを感じたとしても「この人は悲しみやつらさで麻痺しているのかもしれない」などという可能性を考えることができれば、引用RPなどの言葉も変わってくるのかなと思います。

「数は暴力」なのは実感として解る

言われる方は「1:不特定多数」だからね

面白半分で「うまいこと言った」みたいにいっちょ噛みすんのはいちばん下品
投稿の対策

ではセンシティブな投稿の際、どのように気をつければよいのでしょうか。
X(旧Twitter)の場合は、以下のような対策が考えられます(2024年1月現在)。
個々の投稿にセンシティブ設定を行う
投稿する写真や動画にセンシティブな内容を含むとして、その1回だけの設定ができます。
画像にはモザイクがかけられ、相手がタップするまで表示されません。
ポストに写真や動画を添付したあと、編集から警告アイコンをタップします。
投稿した後は画像の編集ができないので、忘れないようにします。
画像を加工する
画像のセンシティブと思われる部分に、ステッカー(スタンプ)を貼ったりモザイクをかけたりしてから投稿します。
Xで編集する場合は、投稿用に選んだ画像の右下に出てくる顔マークをタップすると、ステッカーの一覧が出てきます。
ステッカーは指で広げたり移動させたりすることもできます。
現段階ではスマホのみ対応、PCやブラウザ版では使えません。
鍵をかける
アカウントに鍵をかけると、投稿はフォロワーのみに公開されます。
鍵を外すと、鍵つき期間の投稿も全アカウントに表示されますが、リアルタイムではないのでマナーとして推奨されています。
アカウントにセンシティブ設定を行う
センシティブな投稿を行うアカウントとする設定です。
自分のタイムラインにセンシティブな画像や動画を表示しない設定ではありません。
ドロップダウンメニューから[設定とプライバシー] → [プライバシーとセキュリティ] →[ツイート]→ [ツイートする画像/動画をセンシティブな内容を含むものとして設定する] の横のボックスにチェックを入れます。
正解は?
個人的には「個々の投稿にセンシティブ設定を行う」もしくは「画像を加工する」いずれかがバランスがよい気がします。
特に「個々の投稿にセンシティブ設定」は、投稿前のひと手間で済むので、画像の編集が苦手な方にもお勧めです。
犬アカウントの場合は、応援や情報交換の意味でも、病状など詳細な様子が知りたい方もいらっしゃるかもしれませんので、一般向けにセンシティブ設定を行っておくと、全方位に角が立たない上、投稿主さんの負担も最小限で済みます。

自分がやるとしたら、今のところは画像のセンシティブ設定か加工だな

普段からあずの写真を飾ってるよね

でも本当のかわいさは全然伝わってない!

お、おぅ…
まとめ

この記事を書くことで、自分が投稿する際にも、反応する際にも、「全世界に公開されている」「望まない人にも届く可能性がある」ことを念頭に置いておきたいと、見つめ直すよい機会になりました。
のりまき家の愛犬あずも、もう7歳。
今のところは健康で元気いっぱいですが、これから大きな病気が見つかるかもしれないし、ピンピンコロリとはいかないかもしれません。
飼い主もSNSで相談したり吐き出したくなったり、一緒に見送ってほしくなったりするかもしれません。
そういう時がきたら、自分は見慣れた愛犬が、無関係の他人にはどう映るのか、ひと呼吸置いて投稿しようと思います。