今回はのりまきが子供の頃のわんこ環境について書いています。
のりまきが育ったのは、地方の片田舎ですが、昔はネットが発達していなかったので、地方は中央の10年くらい遅れていた感覚があります。
犬や猫も、今では考えられないような飼い方が普通でした。
動物病院なし
人間用の医療機関は何軒もありましたが、入院施設のある大きな病院はなく、個人の小さな医院ばかり。
当然、ペットショップや動物病院はありません。
中学生の頃にやっと「隣町に動物病院ができるらしい」と聞いて期待していたものの、なぜか建物だけが建てられて、病院が開業することはありませんでした。
詳しい事情は知りませんが、かなり大きな建物だったし、ペットを受診させるという概念がなかったあの時代では、オープンしたとしても早晩、経営は行き詰まっていたかもしれないと、今では思います。
犬用品はホームセンターで
首輪など犬用品は、少し大きな街まで出て、ホームセンターで購入する家がほとんどでした。
品ぞろえはあまりよくはありませんでしたが、中でも中~大型犬用が大多数を占めていました。
小型犬を飼う家は、当時はかなり少なかったせいもあり、猫用品と兼用というくくりだったようです。笑
一応、犬小屋や鳥かごなども置いてはありました。
犬用の小屋やサークルは、中型犬以上の、外に置くのが前提の商品ばかりだったように記憶しています。
首輪については、猫用はそれでもリボンやキラキラした装飾がついた、かわいらしいデザインの商品もありましたが、犬用はザ・武骨。笑
赤や緑の皮に、平たい鋲が並んでいるのがせいぜいといったところ。
「かわいくない…」と子供心に思ったものです。笑
リードについては、外飼いが一般的だったため、係留用の金属製チェーンがほとんど。
太さや形状が少し違うだけで、バリエーションはあまりありませんでした。
黒ラブのあずきを飼うことが決まり、本腰を入れてペットショップに犬用品を見に行った時には、「今はこんなに色々あるのか」と驚きました。
何よりも、チェーンがまったく置かれていないことに衝撃を受けました。
室内で遊ばせている時に、暴れっぷりとイタズラがひどく、片時も目が離せないため、リードでケージにつないでいた時期がありました。
そのリードは散歩用の平たい紐状だったため、あずの格好の餌食に…。
あの時だけは、「昔ながらのチェーンがあればいいのに…」と切実に思いました。笑
狂犬病の予防接種率は100%
動物病院もない地域な上、ペットの飼育本なども一般的ではなかったので、当時はワクチン接種どころかフィラリア予防の知識も、ほとんどの人がなかったようです。
ただ狂犬病の予防接種だけは、わりといい加減な飼い方をしている家でも、きちんと受けさせていました。
予防接種は役場の広場で毎年行われることになっており、春になるとお知らせが来ます。
この時だけは、普段まったく世話をしない父が連れて行っていました。
狂犬病の予防接種は、地域の飼い犬が一堂に会するので、行かないと注射を受けさせていないことがバレるのです。笑
あからさまに抗議などはされませんが、「あそこの家の犬は狂犬病の予防接種を受けていない」と、万一の事態に備えた暗黙のチェックが入ります。
隣近所の目がある、田舎ならではの長所といえるかもしれません。
雑種の中型犬がメイン
近所の飼い犬は、中型サイズの日本犬系の雑種がほとんどを占めていました。
わんこの出自までは把握されていないものの、ほとんどが同じ地域で生まれた子犬ではなかったかと思います。
メスを飼っている家は、妊娠させられないように気をつけていましたが、避妊・去勢手術をしている家はほとんどなく、たまに子犬が産まれて、ご近所や知り合いにもらわれていきました。
のりまきが飼っていた子も、知り合いからもらってきた柴系の雑種(たぶん)でした。
血統書つきの純血種は、知る限りではシェパードのオス1頭だけです。
小学校の通学路の途中にある家で、朝と夕方、通学時間を避けた時間帯に、散歩させていました。
外に出る時は、金属製の網のような口輪と、かなり太いリードをつけていました。
その家のお父さんが、どうしても飼いたいと、わざわざ取り寄せた子だったそうです。外飼いではありましたが、手入れやしつけは一番行き届いていたように思います。
のりまきが初めて見た頃には、もう落ち着いた成犬になっており、主人の横を悠然と歩くその姿は王者の風格で、機能美にあふれていました。
小型犬は超レア
当時ほとんどいなかった小型犬については、室内飼いのため、出自はよく分かりません。
なぜか美容院を経営されている女性が飼っていることが多かったです。笑
当時は外飼いが一般的で、室内飼いはとても珍しく、小型犬に限られていました。
家の中からキャンキャン吠える声が聞こえて、「家に犬を上げているのか」と驚いたことがあります。
大人たちが「あそこの家は、小型犬を家の中で飼っている」と、たまに噂するほどの珍しさだったように記憶しています。笑
わんこの衣食住
わんこに服を着せるという概念はなかったので、「衣」はパス。笑
わんこの住
基本的に外飼いですが、犬小屋はどこの家も必ず設置していました。
そして冬には小屋の中に毛布。
うちは中庭の軒下に犬小屋があったので、天候にはあまり影響されませんでしたが、命に危険があるような台風や大雪の時には、わんこを土間に入れていました。
わんこの食
わんこの食事は、ご飯にお味噌汁をかけた猫まんま。
ドッグフードは簡単に手に入らなかったので、どの家でも猫まんまが主食でした。
当時はあまり品質のよくないフードが、ホームセンターの棚ざらしになっているような状態だったので、猫まんまの方がかえってよかったかもしれません。
うちでは、お味噌を溶く前のお出汁をかけていました。
そしてトッピングに、動物性たんぱく質。
いつもは出汁を取った後の煮干しや鰹節でしたが、たまに塩をかけない焼き魚や、煮魚の頭などが載せられることも。
それでも、今にして思えば栄養状態はあまりよくなかったと思います。
わんこのストレス解消
猫も、昼間は自由に外遊びをしていた時代・土地柄でした。
犬の場合は、基本的にはつないでおくのが常識でしたが、運動不足やストレス解消のために、たまに鎖を外して、半日ほど自由にさせる家も結構ありました。
中には脱走の常習犯も。笑
それなりに暗黙のルールがあり、よその犬や人間に吠えかかるような犬は、出歩いていませんでした。
首輪をしていれば、野犬ではない証。
狂犬病の予防接種は、どの家もきちんと受けさせていたので、万一噛まれても安心、という認識でした。
飼い主なしで歩く犬と道で出くわすと「あそこの家の犬だな」と誰もがスルー。
犬猫好きで、よその子もよくかまっていたのりまきは、出会うと大喜びでなで回していました。笑
存分に息抜きをした犬たちは、ほどよい頃合いに、自分で家に帰ります。笑
日中に放されていた犬の場合は、午後から散策し、夕方の食事に間に合うように帰宅していたようです。
のりまきの実家でも、たまに愛犬を放していましたが、交通量のない(田舎なので夜はほぼゼロ)+よそ様に迷惑をかけない夜間を選んでいました。
いつ帰ってくるのか正確には分かりませんが、いつも朝には帰宅しており、自分の小屋から出て迎えてくれていました。
ノーリードはNG
たまに犬を外遊びさせるのはOK。
脱走してほっつき歩く飼い犬も基本的にスルーでしたが、ノーリードはNGでした。
今よりもずいぶんゆるくはありましたが、「散歩の時は必ずリードをつける」・「人けのある場所でノーリードはダメ」・「誰かと出会いそうになったらすぐリードをつける」のが常識でした。
人けのない場所でのノーリードは各犬飼いの責任に委ねられますが、民家や人通りのある道で、わざわざノーリードにする人はいませんでした。
のりまきが、自分だけで散歩させていた時(子供だけでの犬の散歩も当たり前でした)、チェーンが絡まったのを直そうとして、誤って首輪から外れ、わんこが駆け出してしまったことがあります。
しつけらしいしつけはほとんどしていない子で、性格はよく攻撃性もないのですが、格下ちびすけ(=のりまき)の言う事は聞かない。笑
半泣きになりながら追いつくと、畑に埋めた生ゴミだかを熱心に探索中…。
畑仕事をしていた渋い顔の大人に、注意されてしまいました。笑
今では考えられないほどゆるい時代でしたが、飼い犬の咬傷事故はゼロ。
車通りも少なかったので、犬が轢かれるといった事故もありませんでした。
今は犬飼いの意識も全方位に高まり、犬も家族として大切にされ、周囲への配慮も当然に求められ、また殺処分が当然ではなくなってきました。
ノーリードに対しても、厳しい目が向けられるようになりました。
ただ「噛まれたのは、手を出した人間や飼い主が悪い」という認識が当たり前で、犬が処分されることのなかった子供時代も、大らかでよかったなと思う時もあります。