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ツリーイング・ドッグとは-本日のわんこ番外編-

タ行
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俳優の東出昌大さんの愛犬として、「ツリーイング・ウォーカー・クーンハウンド」しーちゃん6歳なるわんこが東出さんの記事でちょこっと書かれているのを見かけたのですが、初めて見る犬種名でした。

興味がわいていろいろ調べてみましたが、「ツリーイング・ウォーカー・クーンハウンド」を単に犬種として紹介するには前提が多いので、こちらでまとめました。
ここでは「ツリーイング・ドッグ」全般について書いています。「ツリーイング・ウォーカー・クーンハウンド」については別記事をご覧ください。

「ツリーイング」とは

「ツリーイング/Treeing」とは狩猟方法の一種です。
アメリカ、カナダ、メキシコ以外では行われていないため、狩猟形態として他の国ではあまり知られていません。
日本の狩猟の世界では「揚げ木(あげぎ)」と言われ、犬は「揚げ木犬(あげぎいぬ)」と呼ばれます。

途中まではセントハント(嗅覚猟)と同じで、獲物のにおいを嗅ぎ取ったらパック(群れ)で吠えながら追いかけます。
通常は追いついた獲物を集団で襲って倒すか、待ち伏せている主人の前に獲物を誘導するかになりますが、ツリーイング猟の場合は獲物を木の上に追いつめ、主人の到着まで逃がさないように吠え続けます。
主人が猟銃で仕留めるか、木に登って獲物を振り落とし、犬が仕留めます。

獲物がアライグマや大型獣の場合は猟銃で、リスなど小型獣の場合は犬が仕留めるのが一般的です。
熱心な犬の中には、獲物が木に登る前に仕留めたり、獲物と一緒に木に登ろうとする犬もいます。

現在は生活の糧としての実猟だけではなく、フィールド・トライアルとしても行われており、大会も開かれるなど広く楽しまれています。
フィールド・トライアル絶頂期には多くの人と犬が参加して賞金がかけられました。勝ち負けに絡んで違法な賭博が行われ、地域によっては当局の規制を受け禁止に追い込まれたこともあるようです。

「ツリーイング・ドッグ」について

「ツリーイング・ドッグ/Treeing Dog」は、樹上で生活する動物を獲物とする北米の猟犬です。
アメリカ合衆国、カナダ、メキシコを原産とする特殊な猟犬のグループの総称で、猟犬の身体の大きさや対象とする獲物によって細かく分類されています。

15世紀から16世紀にかけて、移民とともにアメリカに渡ったイギリス原産のセントハウンド(嗅覚ハウンド)が猟に使われていましたが、ヨーロッパでは獲物はアナグマやネズミなど地面にもぐるもの、イノシシやシカなど地上を逃げ続けるものの2つのタイプに限られました。

そのためアライグマやフクロネズミなど追うと木に登ることが多い北米の獲物に対しては、木に登れない犬たちは狩りを諦めてしまい、獲物をとることができません。
そこで獲物を木に追いつめたまま吠え続ける粘り強さと体力を求めて、イギリス産セントハウンドを基に改良・作出が行われました。

広い地域で独自に改良・作出が行われたため、犬種数はアメリカだけでも50種類以上、カナダ、メキシコも合わせると100種類以上のツリーイング・ドッグが確認されているようです。
地方の非公認のツリーイング・ドッグも含めると、さらに多くの犬種が存在すると見られます。

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「ツリーイング・ドッグ」の分類

「ツリーイング・ドッグ」は、犬のサイズや獲物の種類により分類されています。
例外はあるものの、ほとんどの犬種名に分類名がつけられています。

カー/Cur

Wikipediaによると、ごく一般的なツリーイング・ドッグのタイプで、獲物を木に追いつめた時に他のツリーイング・ドッグよりも激しく吠えるものを指すとされます。
現代では「Cur」は通常、雑種犬、特にその気質が非友好的または攻撃的である場合に使用され、「不平を言う、うなる」という意味を持つため、犬の唸り声をもとにしていると言われます。

語源については諸説あり、「American curs」といえば、アメリカ南部で開発された狩猟や牧畜に使われる短毛の犬を「cur-tailed(カーテール)」、または略して「cur(カー)」と呼びます。
「ツリーイング・ドッグ」のほか、区分によっては「キャトル・ハーダー(牛追い犬)」とも呼ばれる犬たちも含まれています。
「ブラック・マウス・カー」、「マウンテン・カー」、「ブルー・レイシー(別名:レイシー・カー)」、「カタフーラ・レオパード・ドッグ(別名:カタフーラ・カー)」などが含まれており、一部はUKC(ユナイテッド・ケネル・クラブ)に認められています。
猟のほか家畜の管理、迷子になった家畜の追跡など多用途に使われます。
体高30〜64cm、体重18〜43kgと中型犬~大型犬までの多様なサイズが存在します。

クーンハウンド/Coonhound

アライグマ(Coon)を狩るために作出されたツリーイング・ドッグです。北米ではアライグマは害獣とされ、駆除と毛皮をとるため猟が行われます。
気性の激しいアライグマに対抗するため、吠え声が大きく勇敢な気質の大型の犬種です。
アライグマのほかボブキャット、野生のブタやピューマ(クーガー)、クマも狩ります。

クーンハウンドには「ブラック・アンド・タン・クーンハウンド」、「ツリーイング・ウォーカー・クーンハウンド」など6つの犬種が存在し、UKCで認定されています。

ファイスト/Feist

19世紀、アメリカ南東部の山岳地帯で小動物を狩るため、テリアとハウンドから交配された小型の犬が「ツリーイング・ファイスト」として知られるようになりました。
従来「ツリーイング・ファイスト」は、ツリーイングを行うことのできるすべての小型犬を指していましたが、能力の高い犬を厳選して改良した末に作り出された犬を「マウンテン・ツリーイング・ファイスト」または「アメリカン・ツリーイング・ファイスト」と呼ぶようになり、2015年にUKCにより別の犬種として認定されました。

リスを始めとするげっ歯類、オポッサム、鳥などの小型獣だけでなく、アライグマやピューマなどのツリーイングができる犬もいます。
体重5~16kgほどの小型犬~中型犬ですが、「Feist」が「元気がよい」「独立心の強い」など意味するように、活動的で用心深く、猟の際は非常に好戦的になるとされています。

「デン-マーク・ファイスト」、「マリンズ・ファイスト」などの犬種が挙げられますが、ほとんどの犬がアメリカ国外では飼育されておらず、詳しくは分かりません。

スクウィレル・ドッグ/Squirrel Dog

リス(Squirrel)猟を目的に作り出されたツリーイング・ドッグです。「ファイスト」と名のつく犬が「スクウィレル・ドッグ」と見做されることもあるようですが、調べた限りではよく分かりませんでした。
軽量で小型の犬種のため、他の獲物のツリーイング猟にはほとんど使われません。
ペットとして飼育されるものも多いようです。

1980年代後半にカーとファイストを交配させて作られた犬種「オリジナル・ケージャン・スクウィレル・ドッグ」は、中型犬サイズながらリス以外の獲物に興味を示さず、リス猟に最も優れていると言われます。
ペットとして飼育されることも多く、頭数は年々増加していますが、アメリカ国外ではほとんど知られていない希少種です。