今回はラブラドールの吠え声や鳴き声について書いています。
ラブラドールの吠え

ラブラドールは比較的吠えない犬種とされています。
一概にラブラドールといっても、個体差やしつけの有無、飼育環境にもよります。
本記事では無駄吠えしないようしつけた、のりまき家の愛犬あずがロールモデルとなりますが、確かにラブラドールはあまり吠えない犬種だと思います。
たまに吠える時も、小型犬のようにけたたましく吠えることはありません。
ただラブを飼う上では、吠え声に関しては事前に知っておきたかったというのが正直なところ。
もし飼う前にラブの本気吠えを聞いていたら、飼っていたかなぁ…と今でも迷うほどです。

初めて聞いた時には正直びびった…

しつけは頑張ったけどコントロールしきれるかというと

今でも吠えには過敏…
ラブが吠える時

あずが吠えるのは、興奮した時と警戒した時、それから驚いた時。
ごはんを食べ終わる直前から、しっぽを振りながら「ゴフルルル…」とくぐもった唸り声を上げるのですが、それが行き過ぎてひと吠えすることがあります。
またラブにしては人見知り・犬見知りがひどいので、散歩中は鉢合わせしないよう気をつけていますが、暗がりで黒づくめのランナーさんと出くわした時など、吠えてしまうことがあります。本人なりに吠えないよう「ハフッハフッ」とエア吠え?や「グルルルルゥ…」と唸ったりして我慢していますが、どうしようもなくなると小さめにひと吠え。
排泄前などは特に興奮しやすく、警戒度MAXだったり、突然でびっくりした時にはノータイムで連続吠えをすることも稀にあります。
吠えるのは散歩中の意に添わぬ遭遇時が最も多く、家の中では殆ど吠えません。家での頻度としては1~2週間に1回程度でしょうか。
外で他の犬たちが吠えていても、つられ吠えすることもありません。
動物病院は怖い&嫌いですが、診察時はへっぴり腰で、吠えたり噛んだりはありません。
他のわんこも、大型犬種で吠える子はあまり見かけません。「ヒイ~ン」と情けない声が聞こえてくることはありますが(笑)。敵愾心むき出しで吠えたてるのは柴犬ちゃんが多い印象です。
例外として、爪を引っかけたりしてパニックになった時は、悲鳴のような高い声で「ワキャキャキャキャンッ」と文字通り喚き続けます。
8年以上一緒に暮らしてきて、聞いたのは2~3回でしょうか。
ちなみに肛門腺液噴出のオマケがついてくることもあります…。

事態に慌ててるところに「ちょっ、まっ、虐待かと思われるじゃない」って意味でも焦る

しかも対処した相方を押しのけて、一目散にのりまきに駆け寄るの納得いかない…
ラブの甘え声
あずの場合、パピーの頃から「キュンキュン」「クゥーンクゥーン」と鼻にかかった声を出して甘えてくることはありませんでした。
今もごはんの前などに、必死に抑えてたけど漏れ出ちゃいました!といった感じに「クフフフフゥ…」と小さく鼻声?を出すくらいです。
甘えたい時、なでてほしい時、何か要求がある時は、ひっくり返ってお腹を見せたり、鼻先や前足でチョイチョイしたり、じいっと見つめてきたりと、鳴き声ではなく態度や視線でアピール。
特に「のりまきにはオスワリが効く!」とばかりに何かとオスワリしてきます。
音量は特大

野性味が強く、家族以外に警戒心が強いあずは、ラブのわりには吠えることが多いと思いますが、社会化がきちんとされフレンドリーな、ザ・ラブラドールタイプの子は、おそらく滅多に吠えないのではないでしょうか。
後述するように無駄吠えや要求吠えのしつけは必要ですが、成犬になれば、日常的に吠え声でご近所に気兼ねするようなことは殆どなくなるでしょう。
ただし、その代わりにラブの吠え声は特大です。
「ヴォンッ」という濁音が入った独特の低い吠えは、非常に大きく、よく通ります。
咬傷事故は少ないと言われる犬種ですが、その吠え声の大きさで事故が起きています。
判決も含め、ラブ飼いにとってはゾッとする話です。
ラブラドールの吠えが原因で起きた訴訟

平成11年(1999年)4月、神奈川県鎌倉市で、71歳の女性がラブラドールの吠え声に驚いて転倒したという事故が発生。
リードをつけて散歩に出た1歳半のメスのラブラドールが、杖をつき路肩の支柱につかまっていた女性にひと声吠え、犬の存在に気づいていなかった女性が支柱を離してしまい転倒。
大腿骨骨折、7か月の通院治療が必要となりました。
飼い主の男性は「本来、犬は吠えるものであり、犬が1回吠えた事実と女性の骨折事故の間の因果関係はない」と主張。
さらに「女性は先天的股関節脱臼により身体障害者等級表4級の人で、通常の人であれば犬が吠えただけで転ぶはずがない」と女性の過失を指摘しましたが、横浜地裁は「犬の飼い主には、犬がみだりに吠えないように犬を調教すべき注意義務がある」と因果関係を認め、休業損害と弁護士費用を含め約440万円の支払いを命じました。
「障害者である女性が転倒の危険を認識しつつ公道に立っていた」という理由での過失相殺は認められず、「女性の過失を肯定することは、身体障害者に対し外出を禁ずることにもなりかねず、社会通念上相当とはいえない」としています。

ラブ飼いとしてはめっちゃ怖い

ノーリードでもなく、わんこも1回吠えただけだから、飼い主さんも被害女性もお互いに運が悪かったとも言えるよね

「吠えないように調教すべき」はちょっと厳しすぎるかな?
結果が結果だから仕方ないけど、わんこだって驚いて吠える時もあるし「みだりに」の定義が何か納得いかない

裁判官の人は犬を飼ったことないんじゃないかね

裁判員制度は2009年5月からだから、この裁判は裁判官だけなんだよね
今ならどんな判決になったのかな
ちなみに夫の経営する税理士事務所に勤める女性の月収は37万円。休業損害額は、8月の賞与も含めた8ヶ月分、合計296万円とされました。
これについても飼い主側は基礎収入が明らかに過大である旨を主張していましたが、認められませんでした。
犬飼いの第三者としては「でも専従者給与(名目的支給が多い)でしょ?ボーナス分までふんだくるの?」という気がしないでもありません。
吠えのしつけは必須かも

あずがパピー期の頃は、無駄吠え・要求吠えのしつけには手を焼きました。
「ラブラドールだから無駄吠えしないだろう」は誤りです。少なくとも子犬のラブはとんでもなく鳴きます。
お腹が弱かったので、フードをふやかす時期が長かったのですが、それは空腹時にいい匂いを嗅ぎ続けるということで、物心つかないうちは遠慮なく吠えていました。
吠えのしつけは、あずの場合1~3か月ほどかかりました。
反抗期なのか、食事時の吠えが復活した時期もありましたが、「お茶碗カコーン事件」以来、外での吠えには気兼ねしつつも、家の中では無駄吠えの悩みとは無縁です。
詳しい吠えのしつけに関しては、下記をご覧ください。
今でもごはんの要求は絶対に呑みません。「静かにしている時に、飼い主のペースで」与えることを死守(笑)。
食い意地は随一のラブなので、本人の要求のままに喜んで聞いていたら要求吠えがエスカレートする可能性は十分にあるからです。
散歩中の吠えについては、飼い主側が注意して人や犬を回避する以外にも、今でもあの手この手でトレーニングしています。予め来るのが分かっている通行人や自転車に対しては、完璧ではありませんが吠えずに見上げるレベルには改善できました。
犬の吠えに関しては、本能や警戒によるものもあるので仕方がない面もありますが、このご時世、他人に危害や迷惑が及ばないためのしつけは当然と個人的には考えています。
犬側が吠えるべき状況を判断して、自分で完全にコントロールできるのが理想ですが、そのレベルに至るまでのトレーニングは、素人には(少なくとも自分たちには)無理です。
犬の無駄吠え(と人間側には捉えられる吠え)は、運動不足や愛情不足、ストレスなど飼い主側に原因が求められることもあります。
体調不良が原因のこともあるので、問題はないか気をつけてあげましょう。
またラブに限らず、外飼いや室内フリーのわんこは、テリトリー意識の点から吠えやすくなる傾向があるようです。

ラブラドールといえば盲導犬(=賢くて従順でおとなしい)のイメージだけど、無駄吠えも含めてトレーニングやしつけは必要だよ

パピー期よりは緩くなったけど、わんこのしつけは一生続くって本当だった
参考:
日本同伴犬協会 「犬の暮らしの手帳_犬の事故と訴訟例」
ジン法律事務所弁護士法人「犬が吠えただけで400万円以上の賠償義務を負った裁判とは?」
アミ・インターナショナル行政書士事務所「(3A)犬の吠え声・襲撃等の事故判例」
岐阜県公式ホームページ「飼い犬による咬傷事故が多発しています!」
はなみずきクリニック「ラブラドールにご用心」
リビングウィズドッグズ「あるドッグランでの咬傷事故顛末記」
誠文堂新光社『ラブラドール・リトリーバーと暮らす』
誠文堂新光社『レトリーバー・ファン』