９月28日は世界狂犬病デー

９月28日は「世界狂犬病デー」です。
日本では、狂犬病の予防接種の期間は４月から６月と定められていますが、どうして９月28日が「世界狂犬病デー」なのでしょう？

狂犬病とは？

狂犬病について、詳しくは「国内14年ぶりに狂犬病の発症を確認」をお読みください。

国内14年ぶりに狂犬病の発症を確認

2020年５月22日(金)、国内で狂犬病の発症が確認されたとの発表がありました。「日本国内で感染」ではなく、「日本国内で発症」ですが、それでも2006年以来14年ぶりとのことです。 ニュース概要 2020年５月22日(金)、静岡県静岡市と愛...

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2020.05.25

ざっくりご説明すると、狂犬病とは「狂犬病ウイルスによる感染症」です。
狂犬病に感染した動物の唾液にウイルスが含まれており、咬まれることで感染します。
ヒトを含む哺乳類全般に感染する「人獣共通感染症（ズーノーシス）」です。
発症すると治療法はなく、致死率はほぼ100％です。

世界狂犬病デーとは？

2006年、狂犬病対策を目的とした世界規模の団体「Global Alliance for Rabies Control（狂犬病予防連盟/GARC）」が欧米の専門家や研究者を中心に結成されました。

その活動の一環として「世界狂犬病デー」が定められ、世界中に向けて活動参加の呼びかけが始まりました。

世界狂犬病デーは国際デー（国際機関によって定められた記念日）であり、国連の記念活動日にも指定されています。
世界保健機関 (WHO)、汎米保健機構（英語版） (PAHO/AMRO)、国際獣疫事務局 (OIE)、アメリカ疾病予防管理センター (CDC)、世界獣医学協会など、いくつかのヒトおよび獣医の国際的保健機関に承認されています。

なぜ９月28日なの？

９月28日は、フランスの細菌学者ルイ・パスツール（1822-1895）の命日です。
ルイ・パスツールは、1885年、同僚とともに世界で初めて、狂犬病に効果的な弱毒ワクチンを開発した人物です。
その彼の命日にちなんで、毎年9月28日に開催されています。

世界狂犬病デーの目的

狂犬病の影響について注意を喚起し、予防法についての情報と助言を提供し、狂犬病の撲滅に向けて啓蒙活動や予防接種の取り組みを行います。

世界狂犬病デーのイベント

最新の狂犬病制御法に関するシンポジウムや、効果的な予防を実践するための注意喚起に向けた公共イベントのほか、慈善ウォーク、マラソン大会や自転車競走が開催されます。
また犬を対象に無料の狂犬病予防接種が施されます。

世界狂犬病デーの成果

第１回の世界狂犬病デーは2007年９月８日に、「Global Alliance for Rabies Control（狂犬病予防連盟/GARC）」と米国アトランタのアメリカ疾病予防管理センターが共同で開催されました。

３回目の2009年には、狂犬病予防連盟によると、世界105か国で300を超えるイベントが実施され、775,000人以上が参加しました。推定2000万人に対して狂犬病に関する教育がなされ、130万頭の犬に狂犬病ワクチンが接種されたとしています。

2020年９月28日

2020年は第14回の世界狂犬病デーになります。
テーマは「End rabies（狂犬病の終焉）」「Collaborate（コラボレーション）」「Vaccinate（ワクチン接種）」

狂犬病による人の死を2030年までにゼロにする「狂犬病の撲滅キャンペーン」まで、あと10年であると意識を新たにする、犬に予防接種をすることを忘れないようにする等のテーマの元、様々なイベントが開催されます。

世界の狂犬病の現状

狂犬病は今でも世界の多くの国や地域で発生しています。
毎年59,000人（ＷＨＯ（世界保健機構）の報告では毎年35,000〜50,000人）が狂犬病によって死亡しており、その95％をアフリカとアジアが占めています。

2020年６月現在、狂犬病が撲滅され、存在しないとされている清浄国・地域は、全世界で日本・オーストラリア・アイスランド・ニュージーランド・ハワイ・グアム・フィジー諸島の６地域（農林水産省の指定）のみです。

清浄国から外れた国も

台湾・イギリス・ノルウェーなども、長らく狂犬病清浄国でしたが、2012年から2013年にかけて、野生動物で狂犬病の発生が認められました。
これを受け、農林水産省はこれらの国を非清浄国として扱うこととしています。

台湾行政院農業委員会は、2013年7月23日、台東県で人を咬んだイタチアナグマが狂犬病ウイルスに感染していたことが確認されたことを公表しました。
このイタチアナグマは捕獲後、まもなく死亡。
台湾では、犬・猫・捕獲された野生の犬に対する、狂犬病の予防接種を強化しています。

日本では

日本では江戸時代・明治時代にも狂犬病が猛威をふるっていました。
1950年に狂犬病予防法が制定され、1957年以降は、国内での狂犬病感染例は報告されていません。

しかし現在の狂犬病ワクチン接種率は、厚生労働省の発表によれば72％程度です。
これは登録頭数の接種率であり、実際には50％以下ではないかとも言われています。

WHO（世界保健機構）は、「狂犬病の流行を阻止できるワクチン接種率は70％である」と勧告しており、現状の日本に海外から狂犬病が侵入した場合、狂犬病の流行を抑えることは難しく、大流行する危険性が大いにあると考えられます。